1
フィクションA
バタン、バタン、バタン、バタン、バタン、バタン、バタン、バタン、バタン、バタン、音がなる。死刑囚が10名原因不明の死を遂げた。ニュースがやっている。臨時ニュースだって笑笑笑笑笑笑。これを起こしたのは誰なんでしょうか。ニュースではこう述べられた。「臨時ニュースが入りました。今日、午後2時ごろ10名の死刑囚が死亡しました。警視庁によりますと全員、監獄の中で次々と倒れ原因不明の発作のようなものを起こして死亡したとのことです。現在、この騒動を起こした犯人を追跡中とのことです。」ネットには自分が殺した殺したという声が大量に溢れかえっている。警察もネットをまるで相手にせず他の容疑者を探している。
「これって誰がやったんですか。やる理由ってあるんですかね。一体どうやってやるんですか。身体検査をしても毒物や食中毒はなかったみたいですしそれ前後は特に死刑囚なので業務もなかったはずですよね。ウイルスとかですか?けどその反応も出ていませんよね。新型コロナウイルスみたいに急に出てきたんですかね?」
「自分の仕事に集中しろ。俺らはその犯人を追ってるんじゃないだろ。連続殺人犯の手掛かりを見つけないと。」
「それもそうですね。けど本当に連続殺人なんすかね。ただの似たような現場なだけとかじゃ。」
「バカかお前は。おんなじ凶器で殺害されている。傷の位置や傷の形までもが一緒なんだぞ。おんなじ犯人じゃなかったとしてもなんらかのグループのはずだ。」
漆原と宮下は連続殺人と見られる事件を調査している。ただこの事件は証拠が遺体以外ほとんどない。指紋はもちろん刃から出る錆ひとつない。足取りが全くと言っていいほど掴めないのだ。この事件の被害者の数は7名、去年の10月31日から今月の始めの4月1日まで1ヶ月に一回必ず殺人が起きている。それも全く同じ切り傷で。始めは月末、その次は1日、その次は月末、その次は1日、その次は月末、その次は月末といったようにバラバラだった。だから別の事件の可能性も高い。殺人鬼が何か企んでいるのなら、おんなじ日であったり何かのイベントでやったりするはずだ。ただ、同じ犯人の場合また5月に同じ切り傷の遺体が見つかるかもしれない。それまでに犯人を見つけないと死人が増えるかもしれない。
ラーメンを啜る音が聞こえる。
「犯人探しても出てこないっすね。てか、なんで犯人は1日かあるいは月末を狙うんすかね。おかしくないっすか?そこまで狙って犯行して証拠は先輩がさっきも言ってた切り傷しかないのって。普通全く同じ箇所におんなじ傷入れるのって難しくないですか?殺された被害者も抵抗はするはずですよね?そしたらおんなじ箇所に刺すのは流石に無理じゃないですかね。もしかすると何かで拘束したとかですか?拘束された後はなかったんですかね?」
「お前はほんっとよく喋るな。飯が静かに食えないじゃねぇかよ。拘束じゃなくてもっと証拠が残りにくいものでもあるんじゃねえのか?」
「なんなんすか?それ。」
「しらねぇよ。」
捜査に2人は戻った。
警視庁本部
捜査会議が開かれる。昨日起きた原因不明の死刑囚の死についてだ。死刑囚たちを調べても何も出てこない。しかも全員、共通点が探してない。つまり、この事件は無差別大量虐殺といったところだ。会議はわからないという結論しか出てこない。10名の不審死ということもあり数十名が集められたがヒントとなり得そうな発言も出てこない。
すると突然1人の男が会議室へ入ってきた。そこでその男が報告した。また10名の死刑囚が死亡したとのことだ。すぐ、その場でウイルス検査や食中毒について、薬物等の捜査が行われたが手掛かりは「ゼロ」だった。おかしい。何がおかしい。なぜこの人たちは殺される。死刑囚とはいえ全員バラバラだ。身元も職業も母校も全部が違う。誰に妬まれているのかもわからない。犯行の手口もわからない。これは本当に謎解きなのかそれとも無差別大量虐殺なのか。こんな事件は今までにない。傷もなんらかの反応も見られない。捜査会議は一時中断された。
「臨時ニュースをお伝えします。本日午後2時ごろまたもや死刑囚が死亡しました。被害者数は昨日と同じで10名です。警視庁によりますと誰かによる反抗なのかウイルスなどによる死なのかはまだ何も分かっていないということです。」
またニュースが取り上げているよ笑笑笑笑笑笑。取り上げて変わることはひとつもない。視聴率をただとりたいだけだ。その方がお金が稼げる。現実なんてそんなものさ。だってお金がなかったら何もできないし権力、地位、何ひとつ手に入れることなんてできやしないんだから。こんなに分かりやすいことなんてないさ。あったとしても人間の欲に見舞われた感情とそれが本能であるクズくらいだ。簡単に人の人生を奪っても何にも思わないクズだ。人をいじめてもいじめられた奴が悲しむだけでいじめている方はなんのデメリットもない。快感に促され誰かを傷つけても傷つくのは自分じゃないのだから。例え警察に被害届を出されてもお金さえ払えば簡単に解決する。だってお金が全てものを言う社会なんだから。だからニュースでも新聞でもこう言う事件を載せたがる。たかが人の恨みから出た犯罪なんて誰も気にしない。取り上げられない。大量に殺すという負が人を楽しませる。自分には関係のない現実からかけ離れたフィクションのようなものを提供したいんだよ。それは別に変なことでもなんでもない。それが人間の心理だから。怖いと思ってもフィクションだから絶対に大丈夫だと思っている。その上での物語がより一層好奇心が湧く。自分の目の前で起こり得ることなんてのは怖いだけだ。誰も考えようとしない、ニュースなどにも取り上げにくい。フィクションではないフィクションのようなものは実に面白く実に現実味がなく実に面白い。そう感じさせる。現にニュースは視聴率20%にも及んだ。ネットなどの閲覧も一夜にして300万を超えた。これだけこの事件は人々に興味を持たせられたのだ。
漆原と宮下に移る。彼らにも知らせがいっていた。死刑囚についてだ。2人は別の事件を捜査しているはずだが警察、いや世の中全体がこの事件に呑まれていく中で捜査をしたくなってきていた。必然と言ってもいいくらいだ。誰だって興味を持ってしまう。話を戻す、2人は元々追っていた事件と今回の事件を並行して捜査していくことになった。
「先輩、これ」
「なんだ、これ、。おい、応援読んで来い。大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
「分かりました、すぐに呼びます。」
倉庫の中に遺体が広がる。3人だ。血だらけで身元確認が無理なくらいに無惨な姿になっている。1人は小さい男の子、なはず。それから男性が2人。よく見てみると死んでから少し時間が経っているみたいだ。小さい子まで殺されていた。
すぐに連絡し、搬送され身元確認が行われたが手掛かりになる免許証などはすべて抜かれていた。ぐちゃぐちゃになっていて顔もよくわからない。遺体が洗われ傷口が見える。そこには2人が元々追っていた事件と同じ傷口があった。
「先輩、これって」
「ああ、位置は違うが全く同じ形だ。凶器はおそらく同じだ。だが位置がなぜか違う。全部バラバラだ。」
「先輩、必ずこの犯人を捕まえましょう。小さい子供までも殺してしまうなんて僕、許せないっす。」
「命は全員平等だ。子供だからではない。人を殺している時点でもう絶対捕まえないといけない。」
2人は捜査に戻る。
ガザガザ、ズーー
「今から50万円の現金を東京都内のどこかに置きます。これは見つけた人に全額譲渡いたします。ちなみにこれを企画しているのは今、ニュースで話題になっているあの事件の犯人です。みなさん探してみてくださいね。」
東京都内の全てのデジタル機器がハッキングされこの動画が映し出された。なお、この動画の声は変えられており誰の声かもわからない。これにより死刑囚の不審死は何者かによる他殺だということになった。これが放送された後、東京都内の各所で現金を探すものたちが現れた。完全に犯人の虜にハマっている。警察は、市民がそれによって何らかの危険に巻き込まれることを想定し市民には探さないよう呼びかけ、警察側も犯人の足取りを追うため現金を探した。漆原と宮下も上からの命令で正式に二つの事件を追うことになる。2人が先程出会った遺体はニュースに一応取り上げられたが視聴率は特に上がらず、皆が死刑囚の方へと興味を持っていた。
「ニュースをお伝えします。本日、東京都内全域のデジタル機器がハッキングされテレビ、巨大スクリーン、スマートフォン等で50万円が東京都内に置くと言った謎の動画が流れました。この動画の企画者は先日などの死刑囚の不審死の犯人と同じである可能性があります。警察はこの50万円を探さないよう呼びかけています。」
またニュースが取り上げた笑笑笑笑笑笑。死刑囚の事件と何かの関連があるかもしれないってだけで視聴率は稼げる。本当に都合の良い事件で面白い。やっぱり、フィクションのようなものだったり金のことには人間はすぐに噛み付く。都合が悪いことはないからだ。死刑囚はもともと死ぬ予定だ。それなのに税金を使って衣食住を賄っている。それを嫌がる人間は少なくない。だから裁きを下されているような気がして逆に正義のようにも感じる。そして金はあればあるだけいい。何でもできる。死刑囚と金が結びついた事件なんて市民からしたら最高のストーリーだ。
死刑囚、倉庫、動画の出来事が全て2日間で行われたことだ。こんなにも分からなく大きな事件は警察含め東京都内の人々を混乱に招き入れた。楽しんでる人もいれば怖がっている人もいる。ゾクゾクする。
次の日もまた死刑囚が死んだ。気の毒だ。
漆原と宮下に無線で一本の通知が入った。都内のビルが爆破されたとのことだ。そこで爆弾を見つけた警察2名が解除を試みたところ失敗し2名は死亡。一般人も巻き込まれ1人が死亡、5名が重症だった。その現場近くに漆原と宮下はいた。2人はビルに迎う。その過程で他の警察とも合流、合計5人になった。合流した3人は森下と柳と口川だ。ビルからは大量の人が出てくる。爆発音を聞いた市民が怖くて出てきていた。
「何なんすか、これ。こんなのおかしいだろ。ビルは燃え上がってて、人は混乱している。こんなのありかよ。」
宮下はつい口に出してしまった。だが、誰でも思うくらいに悲惨であった。5人はビルに入って行った。中にはもう人はすっかり消え静まり返っていた。怪我人はもうすでに搬送されており、なにがあったのかや犯人の追跡、残りの爆発物がないかの捜索に当たった。だが残りの爆発物は見つからずらあったのはハンドメイド製の爆弾が爆発してボロボロになっているもののみだ。すぐにその現場は警察の管理下に置かれ捜索が行われた。5人はそこでわかったところを話すため本部へ戻り事情聴取が行われた。ただわかったことは限りなくゼロに近い。
漆原と宮下はまたラーメンを食べに行った。
「実は2日後彼女と入籍するんですよ。まぁ結婚って言ったら照れくさいっすけど。お腹に赤ちゃんもいて、僕がパパになれるんですよ。すっごく楽しみで。また紹介しますわ。」
宮下、死亡
宮下はその次の日の現場で死亡。爆破させた犯人が再び現場に現れた。現れたと言っても自分がやったとしか言っていないが。そいつが宮下の首を絞め宮下は死亡。取り調べが行われた。
「お前が爆破させたのは本当か。」
「もちろんです。この私が爆破させた張本人です。あれで警察さん含め3人が亡くなったそうですね。いやー、恐ろしいぃ。恐ろしくて、、、たまんないですねえ?アハッアハッアハッアハッ。」
「なぜ爆破した。お前の職はただの寿司屋だろ?あそこのビルとは関係がない。あそこの現場に知り合いがいたのか?」
「私は寿司屋ですがあのビルに知り合いもいなければ誰とも話したことない。ビルのオーナーすらも知らないただの赤の他人です。爆発は自分で起こしました。水素を用意してその中にガソリンも入れた、それを時間が経ったら爆発するようにしたんです。本当はもっと死人が出る予定だったんですけど思っていたより死人が少なかったです。少しショックでした。」
犯人は悲しそうに言う。まるで自分の思った通りにいかず拗ねる赤子のように。
「連れて行け、こいつを。」
漆原は怒りをあらわにしながら言った。すると、
「いいんですか?あなたや警察全体が求めているものの答えを私は知っているのに。あなたの妻が殺されたことについてもね。アハッアハッアハッハッ、ハハハハハ。」
漆原は目を見開いた。ただでさえ宮下を殺した奴が自分の妻を殺した犯人を知っているということを聞き喉から血が出るくらいに嗚咽した。精神が不安定になってしまうほどに。すると突然あいつは言った。自分の首を抑えながら
「私はどうしてここにいるーぅ!!!ぅぅぅゎん、ぁぁぁぁぁぁ!!私はなぜだー!!なぜここにいるー?!!なんでだ、どうしてー?!、!、、、、い、ろ、は、に、ほ、へ、と、ち、り、ぬ、る、を、、、、。さてこれはなにと関連があるでしょか。アッハアハッアハッハッハッ。」
サイコパスと言っても過言ではない。いやサイコパスである。いろは歌なんて何の関係があるのだろか。分からない。これはフィクションにしか思えない。何なんだこれは。
捜査会議が開かれた。この爆破の犯人と名乗る宮下を殺した奴についてだ。いろは歌についても取り上げられたが結果は何にも分からないだけ。宮下を殺した奴は名前すらも言わない。言ったのはいろは歌と爆破の犯人だということ、それから他にもいろいろ知っているということだ。こいつを警視庁は『A』と置くことにした。これにて会議は終わる。
次の日の深夜2時、あるところの花畑が爆破された。死亡者はいない。
取調室にてこのことをAに公表した。
「やったー!!成功だ!嬉しいねぇ。ハッハッハッハッ。」
「これはお前の仕業か?」
「さぁどうでしょうか。私か、他の誰かか、それとも神か、仏か。」
漆原は外に出た。外に出て森下にあいつを呼ぶと告げる。
「君か、例の犯人の容疑者。いいねー、不気味で。じゃあ始めましょうか、取り調べを。」
「おおー!!私に付き合ってくれる方が増えました。これはとっても幸運なことです。お名前は何でいうんですか?是非とも教えていただきたい。」
「別にいいよ、君なんか怖くも何ともないしね。奥田です。普通でしょ、どこにでもいるような普通の名前。君も、教えたんだから教えてよ。」
「教えられません。面白くないですしね。あなたが爆破を一回でも止められたら教えてあげましょう。ヒントはもう、出しましたよ。」




