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死にたくないと主要キャラ達に取り入っていたら、いつの間にか最強部隊が出来てたんだが  作者: 毛糸巻巻


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第二話 勇者攻略法

と、いざ大口をたたいてはみたものの、フランと仲良くなるのは想像以上に難しいだろうな。


入学前にあらかじめ伝えられた教室への道中、俺はゲーム途中に出てきたフランの過去を思い出していた。


各キャラと違って攻略したことがないってのもあるが、一番は彼が貴族に対し強い嫌悪感を抱いていることだ。実際、フランが最初にメンバーに入れたキャラは、平民出身の生徒だった。


後に分かることだが、フランが貴族を嫌う理由は、彼を育てた老夫婦の過去にある。元は貴族だった二人は、濡れ衣で家を追われ、辺境に追いやられた。

その話を聞いて育ったフランは、貴族を信用しなくなったらしい。


全く、とんだ風評被害だな。

ていうか俺は、今からそんなやつを落とさないといけないのか。⋯⋯本当にできるのか?


⋯⋯いや、待てよ?


俺はフランとメンバーの絆を深めないといけない。でもその過程で、俺はフランと仲良くならなくてもいいんじゃないか?あくまで俺は、フランがメンバーと仲良くなるための補助要員ってことで、たまーに好感度アップ時期が来たと思ったら、助言してあげる。それだけでいいんじゃないか?


そうじゃん!別に俺はフランと仲良くならなくても、たまに話すモブ的立ち位置に付けばいいんだ!

なんだ、モブくらいの立ち位置ならすぐにでもゲットできる!なんせ俺には、特性の慧眼だってあるし?いくら俺が貴族だからって、モブ友に配置するくらいの許容心はフランも持ってるだろ。


「おーい、リアンくーん!」


ん?誰だよ、俺の完璧な作戦計画を止めたやつは。

後ろからの声に応じ、振り返る。すると、門付近からこちらへと走ってくる、一人の男が見えた。

大勢の生徒の注目を浴びながら、余分に蓄えられた脂肪を揺らしてこちらにやってきた男は、誰がどう見ても太ってるように見えた。


「四歳の頃の交流会以来だね!まさか最初にあうのがリアンくんとは思わなかったよ!」


あっ、こいつは⋯⋯!!⋯⋯いや、マジで誰だ?四歳の頃に会っただって?そんな昔のこと、覚えてるわけ無いだろ。


「忘れたの?僕だよ僕、ハムだよ!ほら、キミのすぐ隣に住んでる!」


隣⋯隣⋯⋯あぁ!隣の地方に家を構えるハム家のやつか!いや隣の地方まで言ってくれよ!

まぁ確かに、今思えばリアンの絵の後ろにいた気がしなくもない。

――って、あっ、そういや俺には慧眼があったな。



名前:ハム・シュペッツ


スキル:吸収

    └ 満足するまで食べられる能力

特性:無し


好感度:20



おいおい、名前と見た目とスキルがこんなにも相性バツグンなやつは見たことがない。

しっかし、おかしいな。こんな濃い情報のやつを忘れるなんて。

知らないやつが多いこの学園で、知り合いがいるってのは結構良いスタートだ。まぁ覚えてなかったんだけど。

⋯ん?仲良さげに話しかけてくる割には好感度が低いような⋯⋯⋯⋯まぁいっか!これから仲良くなればいいんだもんな!


クラスは違えど教室までの道のりは一緒ということで、俺達はそのまま一緒に向かうことにした。

別に今日フランに声をかけなくても、話しかける機会なんていくらでもある。まずは自身の友好関係が重要だ。人生をラク〜に生きるためには人間関係もちゃんとしてないと。いくらでもツテは必要だからな。


「そういえばリアン君、今年入ってくる平民のこと知ってる?」


はいはい、知ってますとも。もちろん知ってますとも。俺達の英雄、我が国の宝、勇者フラン様でしょう?―――なんて口が滑っても言えないから、とりあえずは知らない体で話を通しておこう。


「へ?誰それ?」


「フラン・レインって言って、平民のくせに特待生に選ばれたやつだよ」


へぇ、フランあいつ、特待生だったのか。

あぁ、だからこの後⋯⋯


「凄いじゃないか、平民で特待生なんて」


「冗談じゃない!僕はあいつが気に入らないんだ!なんで貴族の僕より平民の方が上なんだよ!!」


あぁー、これは所謂嫉妬ってやつだな。こいつがサラリーマンだったら、絶対即追放だっただろうな。

⋯⋯そうだな、どうすべきか。

ここでこいつの意見に賛同すべきかどうか。そうだな、せっかく出来た最初の話し相手なんだし。


「⋯⋯いや、お前よりフランの方が凄いからな」


ッダハハ!俺が未来の英雄様に楯突くわけねぇだろ!!なんてったって、俺の人生はあいつに掛かってるんだからな!!!



好感度:5



あ、好感度が下がった!みみっちいやつめ!

心のなかでハム野郎の愚かな発言をバカにしていると、突然ハム野郎が歩みを止めた。いつの間にか、ずらりと教室が並ぶ廊下まで歩いていた。


「それじゃ、またいつか会いましょうね。ハムさん」


そうハム野郎に別れを告げた俺は、“1-A”と書かれた教室へと入る。

1-Aから順に、B、C、D 。Aクラスが一番優秀で、Dクラスがその逆。Aクラス全員が金持ち貴族や優秀な貴族で構成されている。


⋯⋯⋯いや、今年に限っては例外がいたな。


―――フラン・レイン

今までのAクラスの、貴族のみという常識を跳ね飛ばした超人で、俺の(未来の)友人だ。

今まで平民出身は最高でもBクラスだってのに、流石主人公。


ちなみに俺は、金持ちというより成績でこのクラスに入ったぞ☆

テストの問題が地球の高校入試と同じような内容で助かったぁ。


そうして、自分の名前が書かれた札がある机まで歩く。背負っていた鞄を椅子の後ろに掛け、椅子に座る。


ーどうですか?貴族御用達の椅子、座り心地良いですか?


ー⋯⋯いんや、アルザス家の俺の部屋の椅子のがふかふかだった。カァー、おいおい、この椅子は勇者様も座るんだぞ!もうちょっといいものにしろよ!!


頭の中の一人二役会話ほど悲しいものはない。やるたびに虚しさが増していく気がする。


「おいお前!ちょっと面貸せよ」


⋯⋯ん?なんか端が騒がしいな。

不幸にも前方の席となった俺は、後ろ端から聞こえた声に顔を向ける。

一番後ろの一番端。そんな当たり席に幸運にも当選し、他の貴族に今現在囲まれているやつ。

直接見るまでもない、フランだ。


貴族だけが所属を許されたAクラス。そんな中突如やってきた平民。それはもう、平民に対し偏見を強く持つ貴族のやつは黙っちゃいないだろうな。


「おい、無視してんじゃねぇっ!!」


ガァンッ――おいおい、早速学校のものを壊す気か?フランのやつも、強いんだからあんな奴らのことコテンパンにしたらいいのに。


⋯⋯ゲームのストーリー上、イジメられる現場は何回も見てきた。その後のコテンパンにするシーンも、何回も、何回も。だから実際にもそうなることは知ってたけど、やっぱり、目の前でされると気分悪いな。

それに、ゲームプレイ時の俺はフランだった。つまり、フランをいじめる=俺へのイジメだ。


俺への侮辱は、誰であろうと許さない。


フランの机を囲む貴族らのうちの、一人の男が、フランの胸ぐらをつかんだ。手を構え、今にも殴ると脅している。

他の囲んでいる奴らもまた、口を手で抑えて笑いをこらえていたり、調子に乗って机を何度も足で蹴っていた。


ここはゲームだが、フランにはちゃんとした意思があるはず。あんなやつら、はやく倒したら良いのに。

どっちみちコテンパンにされる未来なんだ、時期はいつでも構わないだろ。


「何とか言えよ!!!」


怒鳴る声は最初よりも更に大きくなっていた。教室にいる生徒はもちろん、他のクラスのやつらまで、廊下から様子をうかがっている。しかし、それらはフランが心配だから見に来たというものではない。殆どが、フランが貴族らにイジメられてるのを楽しんでいるんだろう。


「おい!クソッ、まじで何とか喋れって―――」


脅しても、殴ろうとしてもなんら反応を見せないフランに苛ついたのか、男が構えていた拳をフランの顔めがけ殴りかかる。


誰も動かない。見てるだけの傍観者ばかり。

クラス替えしてこんなにも早くクラス替えをしたいと思ったのは、今日が初めてだな。


拳とともに勢いよくふりかかる腕を、ピタリと止める。

貴族の男は、いや、見ていた全員が俺の方を向いた。フランもまた、瞑っていた目を開けたと同時に俺を見た。


⋯⋯正直、こんな形で喋るとは思わなかった。仮にも長い時間旅したキャラなんだ。もうちょっと落ち着いた場所ではじめましてを迎えたかったよ。


「そこのお前っ、おい、フラン!なんでなにもしないんだよ!!」


「⋯お前には関係ないだろ」


「はあぁ!?」


こいつ何言ってんだ!?別に助けはいらなかったって?

何だよこいつ、いじめられたいのか!?え、Мなのか!?


「何ふざけたこと言っ―――」


突然、掴んでいた腕が、フランを殴ろうとまたもや動き出した。精一杯力を込めても、男の力は俺より上だ。正直もう止められる気がしない。


「おい、早く避けろ!しゃがむでも何でもして!!」


そう叫んでも胸ぐらを掴まれたまま一向に動こうとしないフランを見て、段々と腹が立ってくる。


「おい、何とか言えって!!!」


殴る邪魔をしては、隣でキィキィ言ってる俺が鬱陶しかったんだろう。貴族の男は胸ぐらを離し、そしてその手で俺の顔を殴りかかった。

流石に貴族に手を出すのはまずいと、机を取り囲んでいた貴族の何人かが男をなだめようとしたが、ただの言葉だ。実際にこいつの行動を体を張って止めようというやつは一人もいなかった。


「死ね!」


クソッ、俺はただ、ささっとこいつらを散らして、ちょこっとフランの好感度を上げたかっただけなのに!!

⋯⋯避けられないか!


せめてもと、顔をそらしこれでもかと目を強く瞑る。やってくる痛みに備えるため。


⋯⋯ん?まだか⋯?

⋯さてはこいつ、焦らしプレイが好きな変態か?


片目だけを薄ぅ―く開き、状況を確認する。

すると、殴りかかる男の拳を、誰かの掌が止めている光景が見えた。


いやいや、あの力を片手で止めるって⋯⋯そんなん、一人しか無理だろ。


「おいあんた、なんで抵抗しなかった」


声の主へ視線を向ける。


⋯⋯やっぱり。お前は、自分がされる分にはいいが、自分のせいで他のやつが傷つくのは絶対ダメってやつだからな。


睨みつけるように俺を睨んだ後、フランは男に拳を引っ込めろと言わんばかりに拳を前へ押し出す。男も負けじと力を対抗しているが、到底勇者様には敵わない。結局、力を振るうことに自信満々な男の子節は、あっけなく突っぱねられてしまった。


「こ、こいつらっ⋯⋯!!!」


「ほら、もういいじゃん。行こっ!」


自身の力の無さを露呈され、再び男が怒りをあらわにしようとしたタイミングで、机付近に佇む男女数名が男に声をかけた。そのうちの一人の女子生徒は、男の腕に自分の腕を絡め、男をなだめていた。

これもみな、これ以上恥をかくわけにはいかないという必死な思いからだろう。そんな気持ちが伝わったのか。男は拳をおろし、フランの机を再度蹴りつけた後、机を囲っていた数名と教室から出ていった。


おいおい、もうすぐ担任のクラス挨拶があるってのに。あいつらはなんだ、不良枠か?

⋯⋯と、まぁあいつらへのツッコミは一旦置いといて。


顔にグサグサと突き刺さるかと思うほどに一人の生徒が俺を見つめていた。いや、睨んでるのか?


「なんだよ、そんなに見て⋯⋯俺は、あいつらが気に入らなかっただけだ」


そんなの知らない、とでも言うようにフランは俺の話を切り捨て、自分の質問を優先させた。


「なんで、抵抗しなかった」


そのグイグイとくる様子に、俺は意図せず後ずさった。⋯⋯おいおい、こいつ、こんなキャラだったか?


「そんなん、俺には力がないからに決まってるだろ」


「俺には散々殴り返せと言ったのに?」


「⋯それはお前、勇者の力持ってるだろ」とは言えないしな⋯⋯


「それはお前、その⋯⋯特待生なんだろ?だから俺より力あるだろ」


そう言い返したきり、フランは黙り込んだ。

なんだ?なんか俺、変なこと言った⋯?

それともあれか?助けてもらってありがたいけど、今思えばこいつ貴族じゃーん、的な?

それだったら、俺殴るけど⋯⋯いやいやいや、俺のフランに限ってそんなことはないだろ。そう、フランはそんな子じゃない!フランはできる子、やさしい子!


「⋯その、」


急に黙りこくったと思えば、急に口を開けるフラン。なにかな、勇者様?


「⋯ありがとう」


え、それだけー?リアン、もっと欲しいなぁ、ねぇねぇ。⋯⋯ちょっとキツイな、やめとくか。

⋯⋯まぁ、別にいっか。こいつが貴族に礼をすること自体、凄いことなんだし。


「別にいいって」


そういや、俺、こいつのことまだ見てないよな。⋯⋯慧眼



名前:フラン・レイン


スキル:剣豪

    └ 剣に関する能力値が+15アップ


特性:勇者の力

   └ 生まれた時から全てのステータス+10


好感度:0



おぉー、流石勇者。まだ実践もしてないはずなのにもう立派なスキルをお持ちのようで⋯⋯⋯って、はあぁ!?おいおい、助けてやって好感度0かよ!!

え、低すぎないか!おいこれ、あばよする前のハム野郎より下じゃねぇか!!


ちょっと、繋げてみるか。


俺の特性、慧眼にはもう一つの能力がある。

それは、相手が特定の相手にどのくらい好感度を持っているかが分かることだ。

例えば、フランの他の貴族に対する好感度の場合、


フラン ⇒ なんかの貴族


の順に人差し指を向ける。今のところ、これで分かるのは好感度だけだが、後々レベルアップとかしたりすんのかな?ゲームではあったけど。


ということで、早速どっかの貴族を生贄に〜⋯⋯って、はぁ!?なんであいつがいんだよ!!?

ハム野郎のやつ、Dクラスじゃなかったのか!!

まぁいいや、ハム野郎にしよう。


フラン、ハム野郎の順に、両者の間に糸をつなげる感覚で⋯⋯って、これはヒドイな⋯


好感度:-100


おいおい、基本がこれなのか?

流石に疑いざるを得ない好感度なので、他の生徒相手にもやってみることにした。

まぁ、ハム野郎の姿が生理的に受け付けない場合もあるよな⋯⋯って、


好感度:-100 好感度:-100 好感度:-100 ⋯⋯⋯


⋯⋯俺はだいぶマシな方なのか。ていうか好感度マイナスて。初めて見たぞ⋯⋯

てかさっきからずっと気になってはいたけど、なんでこいつは一向に俺を見つめてるんだ。

なんだよ、もしかして助けてもらってちょっとキュンとした的な?すまんなフラン、俺にはそっちの趣味はな―――


「なぁ、いつまでここにいるんだ」


⋯⋯こいつ、本当に好感度0なんだよな?-100じゃないよな?


「はいはい、そんじゃ俺はもう行きますね」


うーん、おかしいな。俺結構あいつのこと知ってると思ってたけど、知ったかだったのか?


とりあえずまずは戻るか、俺は自身の記憶に少し疑いを持ったまま、自分の席へと戻っていった。



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