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死にたくないと主要キャラ達に取り入っていたら、いつの間にか最強部隊が出来てたんだが  作者: 毛糸巻巻


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第一話 俺の名前はアルザス・リアン。平凡な日本男児だ。

「リアン様、学園に準備はすでに整っております」


「分かった、ありがとう」


突然だが、俺の名前はアルザス・リアン。バレンシアン王国の伯爵家、アルザス家に一番最初に生まれた男の子だ。


そして本名、三好悠人(みよしゆうと)。日本に生まれ、日本で育った生粋の日本男児である。

本当にいきなりであるが、どうか最後まで聞いて欲しい。

早朝出勤、残業退社というThe日本のサラリーマンを全うしていた俺は、ある日一つのゲームと出会った。


その名も『ウィクステルム』。


クリア率0.01%―――

RPG史上最もクリアが難しいとされる無理ゲー「ウィクステルム」。

勇者属性を持つ主人公フランとして、いくつもの試練をかいくぐり、最終目標である魔王を倒せばクリアというシンプルなゲームだが、実際はパーティー編成はプレイヤーにおまかせ、能力・スキルの振り分けや、各キャラの好感度によって異なるステータスなど、様々な要素を考慮する必要がある。

しかも一つでもミスをすれば魔王討伐はおろか、途中の試練で即詰みという恐ろしい難易度設定だ。


幼い頃から三度の飯より無理ゲーで育った俺にとって、「ウィクステルム」は喉から手が飛び出すほどやりたいものだった。


結果、


ブラックな会社+帰宅後も休みの日も全てゲームに溶かす日々


=死


俺はラストステージである魔王討伐にいざ行かんという所で突然の凄まじい頭痛によって気絶し、そのまま一生を終えてしまった。


わずか二十五歳で日本男児の生涯を終えた俺。そんな可哀想な俺に、神様がプレゼントをくれたのだろうか。

目が覚めた俺は、「ウィクステルム」の世界にいた。



わーい、神様仏様ウィクステルム様!ありがとう!!



―――なんて言うと思ったかこの野郎!!!

確かに俺はこのゲームが好きだ、死にゲーも無理ゲーも愛してる。だがな、それはあくまで非現実の場合であって、誰もSA◯の世界に入りたくなんてないんだよ!!!


それに俺の場合、その世界に新たに生まれるんじゃなく既存のキャラクターの転生だ。



アルザス・リアン

伯爵家、アルザス家の長男であり、後半ではあまり登場しない、序盤のみのキャラクターだ。

しかし俺はこのキャラに転生したと知った時、絶望した。

なぜかって?それはこいつが、


主人公、フランに殺される脇役キャラだからだ!!!


途中退場したのもそのためである。


こんなんがプレゼントでたまるかよ!

せっかく会社生活にも慣れてきたっていうのに!!

まぁ、俺の体調管理がダメだったというのもあるとは思うが⋯⋯そんなのは過ぎた話だ。唯一の心残りがあるとすれば、一緒に育った唯一の家族である妹だけだが、こっちの世界と時間の進みが一緒なら、もうあいつは五〜六十歳だろう。

⋯⋯いや、思えば俺、あいつに親切にされたことってあったっけ。俺が死んでも尚「ふーん、で?」って言いそうだ。やばい、久しぶりにあいつの顔思い出したらなんか腹立ってきた。


「リアン様、いつでも出発できます」


「よし、じゃあ行くか」


まぁこの際、妹もどうでもいいな。

この世界に来て早十六年。俺は、ウィクステルム最初のステージ “学園” に向けて、馬車に乗り込んだ。



◆◆◆◆◆



生まれた時から勇者の特性を持つ主人公フラン・レイン。

ゲームはフランが王国中央に位置する学園に入学するところから始まる。

辺境の地、育ての親である老夫婦が亡くなり、悲しみに暮れていた頃。その老夫婦の知り合いが、ある日、フランに向けて一通の手紙を送った。

そこには、簡単な試験を突破したら学園に入学させてやろう的な内容が書かれており、寮もあることから、フランはこの学園への入学を決意する。


実際の所、入学試験というのは決して簡単ではない。むしろ勉強や戦闘などする機会も無かったであろうフランには難しいはずだが、あれ、おかしいな。

さも当然と入学試験をあっさりと突破したフランは、こうして寮付き学園で新たな暮らしを送り始めることとなった。


以上がゲーム最初に流れるプロローグである。そしてここから本格的にプレイが始まっていくわけだが、正直言ってこの学園編はメインストーリーの“魔王討伐の旅路”より断然短いし、すぐ終わる。

しかし、ここでの重要ミッションをクリアできなかった場合、学園卒業後にすぐ訪れる一つ目の試練にて無事、詰みを発動することとなる。


問題はここでのフランには意思があること。ゲームと違って、俺が自由に操作できるわけではない。

しかしその場合、もしフランが最初の選択を誤って、物語の最初で“詰んで”しまえば、


フラン詰み ⇒ 後の魔王討伐が不可能 ⇒ 世界滅ぶ


という事態になりかねない!!!

それは後の二つ目の目標を遂行するにあたって、重大な事件となりうる。


そう、俺は、学園に入学する前に、二つの目標を立てた。


一つは、アルザス・リアンが物語の前半、最後のシーンで殺される原因となった“例の事件”を回避すること。せっかく生まれ変わったんだ、予定通りに死んでたまるか!!

そしてもう一つが、この人生を満喫すること。学園入学までの生活で俺の体はすっかりダラダラ生活を欲するようになっていった。


順番的に一つ目の方が先だと思うが、そのミッションを終え次第俺は、親の金で一軒家を建て、そこでダラダラゴロゴロと怠惰な生活を送ることにした。


しかし、ここは普通の世界ではない。「ウィクステルム」という、無理ゲーの中でも最も難しいとされた死にゲーの世界だ。たった一つのフランの行動によっては俺の目標が直ちに消え去ってしまう可能性もある。

しかしそれと同時に。俺はそのゲームをクリア間近まで突破した超猛者プレイヤーだ。

幾回も死亡し、再起を繰り返した男。魔王討伐までの道筋は完璧に理解している。なにより、今の俺にはこの“眼”がある。


フランが生まれつき勇者の力を持っていたように、俺にも生まれつき備わった能力がある。

その名も、“慧眼”。目にした人物の名前、好感度、スキル、特性が分かる。試しに、目の前に座っている執事、アルバーゼンを見てみよう。



名前:アルバーゼン・ベルク


スキル:観察

    └ 広い視野で観察できる


特性:隠密

   └ 誰にも気づかれずに移動することが可能


好感度:70




特性⋯⋯生まれ持った能力のこと

スキル⋯⋯後に備わった能力のこと




なんとまぁ、ご丁寧に解説付きだ。

自分にこんな特性があると知った時は「あれ、これ弱くね?せっかくならもっと使えるのが良かった」と悲観したものの、「ウィクステルム」では主人公フランと各キャラとの好感度によって、各キャラのステータスが変化する。


俺はフランと旅をするつもりはない。死にたくないからな。

しかし、フランに詰んでほしくないのも事実。幸い、旅のメンバーの半分はこの学園で出会う。

だから俺は、学園卒業までに主人公フランと各キャラの仲を良くし、ステータスを最高状態にまで保つことを学園を過ごすうえでの目標にした。


そう、名付けて


“フラン君と旅のメンバーをくっつけよう大作戦”


だ。これも全て今後の俺の快適でゆる〜い生活のため。


学園後に出会うキャラについては⋯⋯まぁ、大丈夫だろ。その時には旅のメンバーだっているし、関係が最悪になるというのは無いだろ。


ということでまずは、俺はフランと仲良くならないといけない。後の“例の事件”にも大きく関わってくるはずだし、そこで死なないためにも頑張らないとな。


「リアン様、着きました」


長時間の移動の末、アルバーゼンが扉を開ける。先に外に出て、こちらに片手を差し出したアルバーゼンのその手を掴み、俺は馬車から飛び降りた。


「ここが最初の舞台、“ルビークダル学園” か」


アルバーゼンに見送られ、俺は一人学園の門をくぐり抜けた。


やっとここから、俺の人生が始まると言っても過言ではない。ここでの選択を誤れば“詰み”。

ハッ、上等じゃねぇか。やってやる。

“仲良し作戦”の始まりだ!


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