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第1話
むかしむかし、あるところにヤマタ国というクニがありました。
ヤマタ国の王、ヤマタ王にはとある悩みがありました。
「う~む、子供ができぬ……どうしたものか……」
悩むヤマタ王に彼の妻はこう言いました。
「桃を食してから子供ができた、
という話を聞いたことがありまする」
ヤマタ王は妻の知識に感心し、毎日桃を食することにしました。
するとどうでしょう。
日を追うごとにヤマタ王は覇気が増し、昼も夜も元気になっていきました。
そして、ついにヤマタ王は子供を授かりました。
ヤマタ王はたいそう喜び、妻に感謝しました。
「でかしたぞ! さすがは私の妻だ!
そなたが勧めた桃を食すようになってから、
体は軽く、気が張り、まるで生まれ変わったかのようだ!」
そしてこうも言いました。
「よし! これから生まれる私達の子供には、
桃、の字をつけることにしよう!」
そして月日は流れ、待ちに待った子供がこの世に生まれ落ちたのです。
ですが、その子供は普通ではありませんでした……