第八章 出会う運命
Q フェーズツーって何ですか?
「おい!フェーズツーなんて聞いてねぇぞ!」
複数体の狼を相手しながら叫ぶ影。
「うるさい!それより体動かして!」
緊迫する戦場、荒ぶる狼、戦いながら言い争う二人、影で見聞き耳を立てる希来。
(あの二人、言い合ってるけどそんなに強いのかなぁ~)
ジンジン痛む頭をさすりながら思う希来。
(さてと、このまま影の中でぬくぬくしてるのもなんだし、加勢でもしますかな)
そんなことを思い颯爽と飛び出す希来。
「バカ!だから影に隠れ」
そんな一言を言う間もなく、希来は痺れを切らし攻撃を開始する。
「黙って見てろ」
影から出た瞬間、髪の毛が逆立ち一瞬で一番大きい狼に突進する。
「嘘、だろ」
召喚した狼にも苦戦していた影と小鳥遊にすれば、ありえない行動だった。
「バカ!そんなことしたら死ぬぞ!」
炎をまとった回し蹴りを大狼の顔面に食らわし、反吐を吐く大狼。
そして、うろたえる大狼を横目に影に向かい言い放つ。
「格が違うんだよ、弱犬」
燃え盛る足を下ろす希来、再び起き上がる大狼。
「一発じゃ無理か」
そして希来は火の粉を床に落とす、するとどうだ。
「お、お前何やってんだ」
火の粉は消えず、ボールのように跳ね先ほどよりも少し大きくなる、希来はもう一度少し大きくなった火の粉を落とし、またもう一度大きくなる火の粉、そして三度目の落下の時に火の粉に大きな変化が起きた。
火の粉が落ち、跳ねる、その瞬間、爆発を起こす、二度目とは比にならないくらいの大きな飛躍だった、そして希来はその行動を何度も繰り返し、四度目になった瞬間、大狼ぶつける、その速度は弾丸と思うほどの速度だった。
その弾丸は大狼の頭部に命中し、その衝撃に耐えきれずコンクリートの壁に頭をぶつけ、よろめく大狼。
「ガァルゥゥゥ」
唸る大狼。
「アオォォォォォン!!」
大狼が雄叫びを上げると、どこから素もなく狼が20体弱出現する。
「数だけはいっちょ前だな」
希来は一揆に火の粉を30ほど落下させ三回落ちた瞬間、狼たちにぶつける、だが先ほどよりかは精度が落ちている、だが火の粉は落ちずに再加速する。
「1,2,3!」
カウントとともに大きく跳ね上がる火の粉、だがまた外れる、しかし、火の粉は消えず膨張し三回再び跳ね先ほどよりも早く、高火力な火の粉に変わる。
(は、速い、私の肉眼でも追えない)
火の粉はカウントを進めれば進めるほど加速し、一体、また一体と命中していく。
「火の牢獄に囚われろ、犬っころ」
一体、また一体と命中する狼たち、混乱し興奮し始める大狼。
(なんだアイツ急に攻撃をやめた)
そんなことを考えていると10発程度の加速した火球が大狼に襲い掛かる、だがその火球は当たらなかった。
「ガァァァァァァ!!」
大狼が雄叫びをあげると大狼の右目に火が灯る。
「まさか!」
そのまさかだった、先ほどのピンチ、仲間の大量死、一人の戦場、もし野生下であれば絶望する状況、だが大狼はあきらめなかった、野生本能、生存本能すべての感情が刺激され、その思いは心火に達した。
(まずい、このままだと)
だがそんなことを考える時間もなかったのだった。
「グハァ!」
吹き飛ばされコンクリ壁に激突する希来。
(調子に乗りやがって)
痛みもあるがそれよりも怒りが勝つ。
(黒)
それに応答する黒。
(なんでしょうか、マスター)
(九割)
その瞬間、希来の体は漆黒に染まり一瞬にして傷を回復する。
(この感覚、癒履がまだ地上にいるのか?)
その予想は外れていた。
(あの手を握ってくれた時にコピーしといてよかったです)
黒の能力は相手の能力のコピー、入隊試験の時、眼鏡が警戒した能力、そしてこの能力にはもう一つ使い方がある、固有エモーションの統合だ。
(火と水の統合)
水の重さと火の火力を合わせた攻撃。
( 火鳥水月 )
希来から発射された火の鳥は、大狼に向かって突進する。
「ガォォォォォォ!!」
その鳥を迎え撃つかのように突進する大狼、だがその突進は凄まじく火の鳥を一瞬で無に帰した。
(やっぱり無理か)
火の鳥を煙幕代わりに使い、自分の影の中に潜伏する、そして、大狼は攻撃を空振り希来を探す。
(このあたりかな?)
次の瞬間、大狼の影を伝い腹にドロップキックを喰らわせる。
(さすがに不意打ちは効きますか)
不意打ちを喰らい激高する大狼、まず最初に地面を必要以上に攻撃し、黒に向かってくる。
「ガァァァァァァァ!!」
大狼は先ほどよりも早く突進し衝撃波を出しながら突進していく。
(”動くな”)
その瞬間、黒の脳内に知らない声が聞こえる。
(誰だ?)
その考えた瞬間に大狼の突進をそのまま喰らう。
「グハァ!」
そのまま吹き飛び壁にめり込む、背中の激痛と後頭部衝突時の脳震盪で意識が飛びそうになる。
(あ、あぁ、)
意識が飛びそうな中、大狼がこちらに噛みつこうとしているのがわかる。
(あ、終わった、私の神経も何もかもが今となっては一体化している、九割のメリットは私の能力を最大限使用できること、デメリットは今までできていた片方の戦闘不能時、臨戦状態になることができないこと、最大限まで片方の精神に干渉しないのは最大五割まで、私もまだ未熟だったな、あきらめ)
だが大事なことに気付く。
(私?この体はマスターの、一希来様の、)
その瞬間死んではならない、この体を安全に返さなくてはならないという使命感が沸いた。
(あきらめて、堪るか!)
その意志に答えるかのように感情が沸く。
(今の感情を全部コイツにぶつける!)
黒は大狼い向かって自分の持っている固有エモーションのを全て一つに凝縮し、今できる最大火力を放つ。
( 終龍終覇 )
金香の技、終龍終覇よりは固有エモーションの量もエモーションの密度も足りない、だが今は違う大狼は心火の代償を知らない、それは心火はどんなものであろうと”十秒”しか持たないこと、そして今時は”十”を超え”十一”になった。
「死ね、孤独な王よ」
噛みつこうとしていた瞬間一気に体の力が抜け戸惑う大狼、よろけふらつき相手の様子をうかがおうとした瞬間、固有エモーションの塊を大狼が襲う、逃げようとしてももう力は入らない、心火のインターバルおよびエモーションの再発動には約五分かかる、そして強制解除まで酷使続けた体はもはやエモーションの力なしではもう動かないほど疲弊していた。
万事休す、大狼は負けを認めその一撃を真正面から受けるのであった。
(音が、止んだ?)
潜伏していた影の中から外の様子を覗く小鳥遊たち。
(嘘だろ、アイツ一人で、フェーズツーを?)
まさかの光景に息をの影一行。
「やっと、でできましたか、僕が戦闘している中、何やってたんですか?」
先輩だがドヤァといった態度をとる希来。
「お前どうやったんだよ」
自分たちの寮に帰ろうとする希来に問いかける影。
「言ったじゃねぇか、格がちげぇ」
この対応を見て小鳥遊は思った。
(影ちゃん嫌われてる)
影から這い上がり希来の後を追う三人。
だがその後方に爆発音が響き渡る。
「おっと~、僕たちがいるのに帰るの~?」
第四部隊全員、気付かなかった、すでに攻撃が始まっていることに。
「 暗黒虚無 」
賢人の手から漆黒の何かが放たれる、その漆黒の何かは光すら歪ませ希来に迫ってくる。
(今、僕の出せる最大火力を!)
両手を花のように展開し、感情を籠める。
「 バーニバル・カノン!! 」
轟音を轟かせながら賢人に迫る業火、だがマイナスの攻撃の前では無意味だった。
暗黒虚無を通し賢人に伝わるバーニバル・カノン、プラスの攻撃であるのを承知済みの彼の行動はいたって簡単、無のエモーション発動中の自分の腕を自分の体よりも前に出すこと、それだけで希来の攻撃はマイナスによる軌道の変更により賢人には当たらなかった。
(クソ!対消滅は無理だったか)
そのまま前進する暗黒虚無、破壊するのは無理と判断し空中に炎を出す希来。
(師匠のところで習ったあの技を)
空中に出した炎を足場にし暗黒虚無をやり過ごす。
(避けられたか、あっそ)
避けられた賢人は、中距離攻撃ではなく接近戦で仕留めることにし、希来に急接近する。
(君は僕には勝てないよ)
接近するや否や一瞬のうちに三発拳を当てる。
(あれ、炎が出ない、というよりか、何も感じない)
無のエモーションの真骨頂は相手にも影響するという点である、無とは有とは違い上限がないゆえに賢人は永遠に動き続ける、だがそれゆえに反動も大きく、1分発動すると思い出が一つ消える、今現在賢人は3分間発動している、ゆえに1分ごとに人らしさが消えてゆき最終的には”人間兵器”になる。
(あ、このまま終わるのかな)
死を悟りあきらめる希来、というよりは最低限の生存本能しか存在しない、抵抗という二文字がすでに脳内になく万事休すのまま賢人の拳が希来のほほに当たりかける。
「強そうな奴、発見!」
空から刀を持った剣士が降ってくる。
「 我流 覇斬龍王 」
着地と同時に一閃の構えを取り抜刀する、その斬撃は龍の幻影のようなものが見え幻龍が咆哮する。
「ガァァァァァァァ!!!」
幻龍を正面に合掌する。
(あの時爆発したのは、マイナスとマイナスが掛けられたからだ、だがあの威力ならいける)
合掌した手に無のエモーションを多量に流し込む、その瞬間、訓練の時よりも大きな爆発が生じ、幻龍を巻き込み爆裂する。
「賢人君!?」
後ろで足止めをしていた五十嵐が爆発音に驚き後ろを振り向く。
「ちょっと、何やってr」
賢人の安否を確認しよとした瞬間、五十嵐の真正面に黒い狐の面をつけた少女が降り立つ。
「 憤怒威圧 」
少女の瞳が赤く輝き、五十嵐を恐怖で雁字搦めにする、そんな五十嵐を見ながら少女はつぶやく。
「これ程度で動けなくなるなんて、弱いわね」
そうつぶやくと剣士と少女は合流する。
「あんた先先行き過ぎ」
少し怒りながらほほを膨らませる少女。
「いやぁだって強いやつがいt」
その瞬間、剣士のたちの上空で大爆発が起きる。
「おっと、自爆したかと思ったのに」
彼らの前には、黒いオーラをまとった賢人が立っていた。
「師匠は僕が守る」
その言葉を聞き剣士はニヤリと笑った。
A 感情が暴走したフェーズワンのことだよ