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第六章 始動、第四部隊

マスターまだ起きないのかなぁ





 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ


 心音計の音だけが空白の病室を満たす、入隊試験が終わってから三日間、昏睡状態の希来だけがその病室で眠っていた。


「先生、彼が来てから三日たちました、容態はどうなんですか?」


 白衣を着た白髪の老人がカルテを見る。


「入院当時は全身に及ぶ重度の筋肉疲労、二日目には破壊されていた筋肉繊維の完治、今に至っては心音まで戻っておる、」


 そして医者は顔から眼鏡をはずし目頭を押さえる。


「早すぎる」


「そうですね」


 基本、筋肉疲労とは最低でも三日、最高で七日、全身ならば一週間以上で治るものなのだが、希来はたったの一日で完治しているのであった。


「彼はやはりフェーズワン、うちには置いておけないな」


 彼は何の迷いもなく彼の病室を隔離するという判断を下した、だがその必要はなかった。


「先生!、病室に少年がいません!」


 その病室には空白になったベットと、カーテンのなびく音だけがあった。


(キング!、うちの弟子を無力化隊まで持ってって!!)


 病棟の外壁に、希来を抱える眼帯の男が包帯まみれの右手で外壁に張り付いている。


(このガキをよりにもよって無力化隊にか、)


 考えているとダーツ矢がキング一行めがけ飛んでくる。


(覇眼)


 キングがダーツ矢を睨むと、その場で矢が停止し落下していった。


「名のない隊だから楽だと思ったのにな~」


 矢が飛んできた方向を見ると、白髪の黒のコートをまとった女が立っていた。


(あのコートの色、コードブラックか、厄介だな)


「ねぇ~無視~?、そんなとこ張り付いてないで遊ぼーよ~」


 そんなことお構いなしに撤退しようとするキング、だが、女は逃がさなかった。


「セレクト、プレイヤーワン、プレイヤーツー、ゲームスタート」


 その瞬間キングたちは亜空間に吸い込まれカジノのような場所に来た。


「さてと、何してあそぼっか?」


 キングはこの状況を見て(避けるのは不可能)と判断した、だが、避けるのが不可能なだけであり突破は可能なのだ。


「傲慢権限」


 そしてキングの目は黒く落ち、身に着けていた黒いマスクを外し言葉を発す。


「ログアウト」

 

 その瞬間カジノは消え先ほどの病棟、外壁付近に戻っていた。


「急いでるんだ、帰れ」


 その後、白髪の女はもと来た道を戻り、キングはマスクを再びつけその場を去るのであった。



 場所は変わり、無力化隊本館


「どうなっている!一希来はどこだ!」


 中年のおっさんが会議室で怒鳴りつける。


「防犯カメラにも映っていないんだ、捜索は無理だ」


 だが安息の時は突如訪れる。


「見つかりました!」


 会議室のドアを勢いよく開けたスーツの女が息を整えながら入ってくる。


「コードブラック、キングの善意によって」



 五時間後


「んっ」


 三日ぶりの光に眼球がゆがみそうになる希来。


「ここは」


 仰向けのままベットからあたりを見渡す。


(マスター、お気づきになりましたか?)


 頭の中で黒が話しかけてくる。


「あぁ今」


 口を開こうとした瞬間。


「やぁぁぁぁぁぁぁっとぉぉぉぉぉぉぉ起きたぁぁぁぁぁ!!」


 美少女がドアを蹴破り寝室に突入してくる。


「君!新人君だよね!名前教えて!」


 目を輝かせこちらを見つめる美少女。


(、、、誰!?)


 目の前の少女からの明るすぎるまなざしに目が恨む。


「私、雲母癒履!、固有エモーションは名前の通りヒーラーだよ!」


 元気よく挨拶してくれた癒履に、こちらも名乗らなければならないという礼儀勘が働き自己紹介をしようとした途端。


「これからよろしく、」


「ファ!?いつの間に!?」


 いつの間にかベットの横に座っている片目の隠れた少年がいた。


「ちょっと、まだ寝起きで病み上がりなんだし驚かせちゃダメでしょ」


 リビングの方から優しい女性の声が聞こえる。


「ちょうどお昼ご飯もできましたし、みんなで食べましょう、新人さんも」


 そのままつられるまま昼を食べ、一息つく。


「そういえば、まだ自己紹介がまだだったわね、私は小鳥遊、小鳥遊奏っていうの、よろしくね」


「それと、影ちゃ~ん」


 影ちゃん?の部屋に入り探り出す小鳥遊。


「勝手に私の部屋に入るな」


 小鳥遊を追い出す片目の隠れた少年。


「あ~ごめんね引っ張り出そうと思ったけど、今はお取込み中だったみたい」


 そんなことは気にしない希来だったが少し気になったのは何故”ちゃん”付けなのかぐらいだった。


「あ、あ、僕の番ですね、一希来、一と書いて”にのまえ”って読みます、固有エモーションは炎ですよろしくお願いします」


 そこで小鳥遊が「あ!」っと何かを思い出したようで洗面所の方に向かう。


「これこれ、確かコードレッドだったよね」


(?、コードレッド?)


 聞きなじみのない言葉に少し首をかしげる希来。


「あらあら、その様子だと何も聞かされてないのね」


 そう彼女が言うと再び洗面所に戻り、先ほど持っていた赤色のコートとは別の緑や青、黄色などを持ってきた。


「こほん、まずは説明、」


 一度息を整え説明を始める。


「簡単に言えば色による危険度のグラフだね、コードグリーン、一番安全かつ、危険な能力が持たない子たちがこの階級に分類される、次にコードブルー、コードグリーンより少し危険な人物がよくこの階級にされる、戦闘向きな性格だったり、または戦闘に向いた能力を持った子たちがコートブルーよ、次にコードイエロー、ここからはむやみに近づいたり変に刺激すると何を起こすかわからなかったり、癇癪を起し一般人に危害を加えかねない人たちが中心よ、最後にあなたの階級コードレット、簡単に言えば一軍、隊を引っ張て行く人たちや、主戦力になる人たちがこの階級になりやすい、そして世界を変える力を持つコードブラック、いわば一番手が付けづらく、一番危険なのよ」


(師匠の階級ってどこなんだろう)


 そんなことを思っていると急にコキ1が着信音を鳴らす。


「みんな準備して」


 先ほどまでバラバラだったみんながリビングに集まる、そしてファックスから今回のターゲットの情報が送られてくる、小鳥遊は詳細の書かれた紙を素早く回収しテーブルの上に置く。


「一通り目は通したわね」


「え、ちょっ、まだ僕m」


 希来のことはお構いなしに皆それぞれ着替え始める。


 癒履は緑色のローブを身に着け、小鳥遊びは青の耳飾りをつけ、影は青い首飾りを身に首にかける。


『第四部隊出動!』


 皆、支度が終わると影の固有エモーション”影”に飛び込む。


「君も入らないの?」


「あっ、あ、入ります入ります!」


 赤いコートを素早くまとい、影の中に飛び込む、影の中は何も見えないが、感覚でどこを走っているのか、地上で何が起こっているのかだいたい分かった。


「見えなくても移動できるものですね」


「しゃべらないで、音は遮断できない」


 彼女の声のトーンに少し恐怖を覚える希来。


「そろそろ到着する構えて」


 そうつぶやくと彼女は我先にと速度を上げ飛躍する、それに続きまた一人と飛躍する。


(次は僕の番)


 希来は心の中でつぶやき足に精一杯に足に力を籠め飛躍する。


 ゴンッ


 鈍い音が影全体に響く。


「痛ってぇ!」


 思いっきり叫んでしまう希来、それはそうだろう、コンクリートの外壁に頭を打ったのだから。


(クッソ、誰がこんなとこに)


 そんなことを思いながら頭を影から出すと。


「おい!頭出すな!死ぬぞ!」


 とっさに頭を引っ込めると外壁の切れる音がした、そして地上から彼女たちの声が聞こえる。


「小鳥遊!聞いてねぇぞ!ターゲットがフェーズツーってこと!」


 フェーズツー?と思い顔を出すと、そこには二階建ての家よりも大きい狼が通常サイズの狼たちを従え、仁王立ちをしていた。




 







 


  



あのワンちゃん大きかったなー

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