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第五章 終戦、入隊試験

「見せてもらおう、世界を変えるほどの力を持った、コードブラックの弟子、一希来」





「見せてもらおう、コードブラックの弟子」


 そう言い放つと眼鏡は構えていた水玉を希来にめがけ放つ、目にもとまらぬ速さで激突し希来を吹き飛ばす。


(なんだ今の、見えなかった、何が当たった?)


 考える間もなく眼鏡は先ほどよりも二つ多く水玉を出し、今度は三つ同時にぶつけてくる。


(割り振り、目に7、足に3でどこまで見える!)


 エモーションを大量に流した目は先ほどまで見えなかった水玉の姿をしっかりととらえ、肉眼で確認しながら避けた。


(よし、これで渡り合える!)


 だがだんだんと増えていく水玉、6、12、24、48とだんだん捌ききれなくなっていく、まるで実験台にされているようにじわじわと削られていき、ついに。


「102、行け」

 

 102個に増えた水玉はまるで壁のごとく希来に迫りくる、そして希来はその壁を超えるほどの跳躍力を見せギリギリで避けた。


(嘘だろ、足に10振ってやっと避けれるのかよ、糞が!)


 そう考えているうちに、髪の逆立ちが解けスパーリング状態の終わりを告げる、空中に放り出された状態でなすすべなしかと思われたとき師匠の言葉を思い出す。


「緊急事態の時は黒を呼べ」


 落下中の体、下には待ち構えている敵の攻撃、この状態を緊急事態と言わずして何と呼ぶのか希来は思い、名を呼ぶ。


「変われ、黒」


 そしてすぐに返答が返ってくる。


(了解です、主様)


 変色した右目を中心とし、暗黒が希来の半身を飲み込む。


(出力50%、始動)


 頭の中で響く声とともに希来は思考を放棄した、そして黒が動き始める。


 すぐさま空中で体制を変え自分を撃ち抜かんとする水玉たちを黒く染まった腕で全て吸収する、その後目にもとまらぬ速さで眼鏡と同じ水玉を生成し構える。


「あなたのエモーションは水なんですね」


 次の瞬間、構えていた水玉を何十倍にも増やし眼鏡にめがけ放つ、そしてその一瞬の隙に眼鏡の真正面に立ち拳をふるうのだが、簡単に避けられてしまう、眼鏡はその一瞬の隙を見て黒の腹に回し蹴りを入れ吹き飛ぶ黒、だが彼女の真骨頂はこんなものではなかった。


 すぐさま体制を立て直し土に埋もれている試験者たちを片っ端から黒く染まった手で触れる。


「解析完了」


 眼鏡も(何をしている?)と言わん表情でこちらの様子をうかがう。


「なぜ攻撃しないのですか?」


 次の瞬間、眼鏡の髪の毛が何本か切り落とされる、切られた本人もわかっていなかったようだが黒の能力の確信に気づいた瞬間先ほどよりもエモーションの量が増え空気も重くなる。


「お前は殴り殺す」


 その瞬間、眼鏡の姿が消え、その拳にはさっきまで水玉として使っていた水がまとわれており、瞬時に避ける黒、拳を空振りコロシアムの壁に打ち付ける眼鏡、だが威力は恐ろしくその壁一帯にひびが入りガラスのように一瞬で崩れた。


 黒も負けじと見えない斬撃を飛ばす、だが感情の密度が足りず眼鏡にとってはそよ風そのものだった、またも距離を詰め拳を振る眼鏡、対策を考えたものの全く思いつかず避けるだけの黒、そして一つ希来に提案を持ちかける黒。


(私の出力を80にさせてくださいマスター、このままでは死にます)


 そして希来が応答する。


(なら出力90だ)


 その指示に答えるか如く彼の体を漆黒が侵食し始める。


(出力90%、始動)


 先ほどまでそよ風だった斬撃は眼鏡の体にダメージを与え、速度は眼鏡を超えるものになり無数の斬撃が眼鏡を襲う。


(これほどの斬撃、そしてこの威力やはりお前は、クッソババァが!)


 そして死に物狂いで黒に接近する眼鏡。


「アクアバレット!」


 エモーションをまとった右手で一瞬にも満たない計8発の乱れうち、不意にもそのうちの7発を喰らい吹き飛ぶ黒、さすがの彼女もノーダメではなく少し喰らってしまった。


(申し訳ありませんマスター、不意にもあなたの体を危険にさらすような)

 

 頭の中で反省している黒の言葉を遮り希来は言う。


(大丈夫だ、ありがとう、それと、ここからは僕にやらせて)


 それとともに漆黒が無くなり元の希来に戻る、その不意を突こうと思った瞬間。


(、、、、殺す)


 眼鏡とのタイマンを挑む希来、黒の余韻があるのだろうか先ほどの黒と変わらない速度で距離を縮める、次の瞬間互いの拳がぶつかり合ったかと思った瞬間、眼鏡の方が吹き飛ばされる。


(嘘だろこのガキ、今の一瞬で俺の密度を超えたって言うのか!?)


 そして希来を一瞬横目で見、思う。


(嘘だろ俺の一年がこの半年ぽっちのガキに負けるのかよ!)


 そして遠くにいる希来は構える。


(あの時、師匠を破ったあの感覚)


 目を閉じるとともに彼の体全身のエモーションが増えていく、そして希来の右目に心火が宿る。 


(なんだあのガキ、調子こいて自分の目に火なんてつけて、中二病かよ)


 バチッ、バチッっと心火がはじけ左目を大きく開く希来、その目は夕暮れのごとく神秘的で太陽のように明るく、見惚れてしまうほどだった、その瞬間。


(消え、)


 気づけば眼鏡はコロシアムの壁に叩きつけられ,壁と同化してると勘違いするほどにめり込んでいた。


(え、って、!?)


 眼鏡の体に異変が起き、体が忘れていたかのように血反吐を吐き始める。


(オエェ、何しやがったあのガキ、オエェ、クソ、再生が追い付かない)


「あ、殺り損ねた」


 まだ眼鏡の息の根があることに気付く希来はじりじりと眼鏡と距離を詰める、だがタイムリミットは来た。


「あ、倒れ」


 言い終わる前に希来は気絶した、スパーリング状態に続き心火の発動によるダブルパンチにより希来の体はすでに限界を迎えていたのだった。


「よくもやってくれたガキ」


 再生し終わった眼鏡はステージの頭上に水を集め始める。


「集滴重砲、発」


 コロシアム全体を覆えるほどの大規模な一撃、避けるのはもちろん耐えきることすらできないであろう物量でのゴリ押し、気絶している希来はもはや万事休すであった。


(どれだけ耐久のあるやつでもこの一発は耐えれない、十トン以上の水が落ちてくるのと同じこと、無理だな)


 だが運は味方したのだった。


「メタいこと言うけど、五話ぐらいで主人公ぶち殺す奴がどこいるんだよ」


 そこには見覚えのある黒い長髪と、右目に眼帯をし右手には包帯を巻いた男がいた。


「キング、よろしく」


 その瞬間、男は包帯で巻かれた腕を動かし大規模な一撃を止めた。


「いや~、君のことどうやって報告しようかな~」


 あぐらをかきニヤニヤする黒髪の女、とても態度の悪い眼鏡、互いに隙を見せず沈黙が続き、最初に動いたのは眼鏡だった。


「死ね!婆ァ!」


「アクセラレータ」


 その瞬間攻撃を仕掛けたはずの眼鏡が逆に吹き飛ばされ、その体には無数の痣が刻まれていた。


(何をしたあの婆ァ、)


「チェックメイト」


 女は眼鏡の顎をデコピンで弾き、眼鏡は気絶した。


「キング~、後は頼んだよ~」


 眼鏡をかたずけた女は希来のもとに向かう、そこには体の疲労により昏睡している希来がいた。


「あちゃ~、まぁ見てたけど結構な無理をしたようだね」


 そして希来の寝顔を見て彼女は微笑むのであった。


「お疲れ様、よく頑張ったね、少年、、それと、黒」



 数日後、


 無力化隊本館、会議室


「あの日の戦闘結果から、」


 すこし間を開け資料を見るなんか偉そうな人、そして。


「今回の合格者一希来を、コードレットに昇格し第四部隊への配属を承認する」


 そして資料の上に大きなハンコが押されたのであった。


 


「いい活躍できなかったな~」by黒

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