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第四章 入隊試験

入隊試験を許された希来はその場で思い知らされた

 



 

 合格をもらい入隊試験への準備をする希来、少し寂しげな雰囲気を出しながら朝食を作る師匠、一日家を空けるというだけで二度と会えないような雰囲気を醸し出す、希来も少し親のような鬱陶しさを感じ始める、いつも明るい彼女が暗いのだ居心地もあまりよいものではない。


「少年!」

 

 急に明るい師匠の声が聴こえ驚く、先ほどまでしーんと静かな空間に大きな声が響くのだから驚くのも無理ない。


「急にどうしたんですか?大きい声出して」

 

 要件があり呼んだのだろうから対応する、「ん」と差し出された手元には黒い球が一つが置いてあった、師匠の固有エモーションは”飴玉”対象の能力を奪いこの黒い球に変換する能力、勿論能力の例外はある、自分より感情が強いものに対して能力を奪うことはできないといった単純な能力だ。

  

 そして、この黒玉単体にも能力がある”飴玉”の名前がついている通り摂取することができる、そして摂取した後の効果それはエモーションの伝授つまり相手の固有エモーションを自分の物にできる、簡単に言えば能力の強奪である。


「どうしたんですか、僕もうこれ以上ウイルスを体に入れたくなんですけど、」

 

 そんなこと関係ないと言わんばかりに無理やり口に突っ込んでくる、そして黒玉を摂取してしまった、そして反応が始まる。


(うぁ、なんだ耳鳴りが、頭が、、、痛い)


 ものすごい頭痛と耳鳴りに襲われる希来、おまけに吐き気まで出てくる始末、そして希来は耳鳴りが誰かの声に聞こえ始める。


(あ、あ~マイクテス、マイクテス、大丈夫ですか?)


 誰がどう見ても大丈夫ではないであろう状況に対して言っているのかと思うとブチギレれる希来、さすがにリビングで吐くなんてしたくなかったので洗面台に向かう。


「うるせぇ、すっこんでろ、」


 キレるあまりに固有エモーションまで発動しかけるが、その途端、頭痛も吐き気も耳鳴りもしなくなった、だが自分では気づかなかったが鏡を見ると右目が変色していた。


「は?」


「あらー、綺麗なオットアイですね」


 声がする方を向くと自分の肩から黒い口が伸び人の言葉を発していた。


「初めまして、私は黒、マスターからあなたのアシスタントを任されましたよろしくお願いします」


 以外にも声は女性の物であった、実際師匠の能力に人の精神を強奪するような神業ができるとは思っていなかった、そう考えているうちに朝食ができ食卓に座る。


「どうだ、黒とは仲良くやってるか?」


 そんなこと言われても今さっきであったばかりの人と仲良くできるほど希来のコミュ力は高くなかった。

 

「まぁ、黒には緊急時対応できるように固有エモーションを持たせておいた、緊急事態になったら黒を呼ぶといい」


 そんな話を聞いていると希来の料理がこのさじ一つの上に載っているものだけになってしまっていた、この一すくいを口に入れてしまったら、この家を出なければならないという恐怖が最後の一口をさせまいとしている。


「おい、どうした、腹でも痛いのか?」

 

 そして恥ずかしくも最後の力を振り絞って最後の言葉を交わす。


「もし僕がこの家を出た後、帰ってくるとき、、また家族と言ってくれますか」


 恥ずかしかった自分でも何を言っているのかわからなかった、だが自分の勘ではあるが次会う時は一緒に笑えない気がした。


「当たり前だ、私にとって希来、お前も私にとっての家族だいつでも帰ってきていいんだぜ?」


 そして希来は家を去るのであった。



 場所は変わり


 無力化隊本館


(ここが本館か、)

 

 実際かなり大きく優に二十階は超えているであろう本館の前に立つ、受付も終わり試験となるのだが、そこに待ち受けていたのは。


(ちょっと待ってよ!、コロシアムなんて聞いてねぇよ!)


 目に見えない斬撃を自分の固有エモーションの炎で無理やり視覚化し必死に避けている希来の姿がそこにはあった。


(目に5、足に3、腕に2で必死に避けることしかできねぇ!)


 炎の壁を生成し必死に避ける希来、そして不意にも別の男に背後を取られる。


「一人目!」

 

 死角からの攻撃に対応策を考えようとする、だが彼の「一人目!」という言葉が引っ掛かりスイッチが入る。


(お前ごときに俺が倒せるとでも思ってるのか、カス)


 監視席


 そこには見覚えのある黒い長髪の女がいた。


(おっと、入ったようだね、スパーリング状態に)


 監視席から見える希来の姿は、髪が赤く逆立ちエモーションの量が急激に増えた。


 スパーリング状態とは、感情がある一定にまで達すると起こる現象である、そしてスパーリング状態の時のスペックは通常時の約1.3倍、感情による野生本能の刺激による一時的な戦闘センス向上がよく見られる、まさにこの状態はバーサーカーと言える鬼人化状態なのである。


「お前が俺に勝とうなんて百億年早いわ!」


 叫んだ瞬間彼は姿勢を裏に返し、背後の男との距離を詰める、そして腰のひねりと純粋な速度とエモーションによって強化された彼の拳は男の顔を貫いた、そしてすぐさま体制を立て直し斬撃男のもとに向かう。


「次はお前だぁ!」


 鬼の形相で彼を見つめる希来、それに負けじと男の姿も変わり互いにスパーリング状態に突入する、そしてたがいに拳が激突する、その瞬間鈍い音が響き渡る、だが互いにスパーリング状態に加え大量のアドレナリンが出ているため痛みなんてお構いなしに拳をぶつける。


「お前なかなかやるな」


 だが返事が返ってくることはなく腰に差していた刀を抜く、その瞬間希来はとっさに距離を取り構えなおす、そしてまた距離を詰め刀の刀身に腕を絡め刀をへし折った。


「こんな棒切れで俺と戦えるとでも思ってんのか?」


 へし折った瞬間素早く拳を二発叩き込む、一発は頭に、もう一発は顎にクリーンヒットした男は気絶し、ひと段落ついたと思ったが急に地面が動き始める。


(地震!?)


 だがこの状況誰かの固有エモーションと考えるほかなかった、何かの予備動作と思い飛躍する希来、そしてその勘は当たり地面が破裂した。


(アイツの能力か、)

 

 希来の見る先には震源地になっただろう人が一人仁王立ちしていた、そして一瞬目が合う、それが火種となりその人物は腕に土をまとわせ始める。


(まずい!、このままアイツが攻撃を始めたら)


 だが刻一刻と相手の腕は膨張していく、そしてこの一瞬のうちに希来は思い出す。


(あの日、師匠は虚空を蹴って俺に突進してきたなら俺もできるはず)


 その瞬間、希来の足から炎が展開されその炎よりも感情の密度が下がるように足にエモーションを籠め燃えさかる炎を足場とし、膨張し続ける腕めがけ突進した、そしてその速度を無駄にしまいと拳を構える希来、そしてたがいに拳を合わせる。


 膨張した腕は実際とても重くすぐ跳ね返されると思った、だが垂直直線運動による質量の底上げと感情の密度によるバフは凄まじく膨張した腕を簡単に吹き飛ばしてしまった。


(そして応用による空歩で上に回る!)


 先ほどと同じ要領で空中に炎をばらまく、そしてその炎を足場にし相手の頭上に回る。


「オラァ!、ぶっ潰れろぉ!」


 そして自分自身の頭上に炎を展開し地面に狙いを定め蹴りをかまそうとする、コロシアムの天井から降ってくる音速の物体は土操作をした男の頭に見事クリーンヒットした。


 その場に残ったのは蹴りをかまされた男と希来しか存在しなかった、はずだった。


「君の見事なまでのエモーションの操作、そしてスパーリング状態による戦闘センスの向上、実に素晴らしい!」

 

 言葉のする方を向くと、眼鏡をかけた男が立っていた、そしてその男は小さい水玉を空中に展開し構える。


「さぁ、次の相手は私だよ、」


(見せてもらうよ、コードブラック、金香の一番弟子君)












 

 

楽しみだよ希来くん

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