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殴れリリアス  作者: 紅葉
第三章 聖覧大祭動乱編
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74.5.『薄暮の一幕』

三章開幕!

 ココロ・ローゼマリーはふと目を覚ました。


 まだ日は昇りかけて、窓から見える空は薄ぼんやりとした紺色に染まっている。


 ふと、腰に重みを感じて目線を下ろす。そこには水色の可憐なパジャマに身を包み、よだれを垂らしてぐうすか寝ている『親友』の姿があった。腕を回して、ココロにしっかりと抱きついている。


 もう片方の手はお腹に伸ばされて、かきかきしている。その拍子にぺろりとめくれて、真っ白なお腹がちらりと見えた。


 それに胸のボタンが外れて、真っ白な肌が見えてしまっている。肝心の胸は嘆かわしいほどに真っ平らだった。ちなみにブラはまだしてないという。驚きである。


「……ふふっ。お腹冷えるよ、リアちゃん」


 布団をかけてあげると、リリアスは「にゃむらて!」という名状しがたい謎の寝言を突然叫んでそのまま動かなくなった。


 ぐうくぅと寝息が聞こえる。

 ほっ、と息を吐いた。


 疲れているんだろうか。この頃本当に色々あったからゆっくりしてほしい。


 ゆっくりと起こさないように、ココロは自分に絡みつくリリアスの手をほどいて、ベッドから立ち上がった。


 ペンギンの寝袋を脱ぐと、現れるのは薄手のネグリジェだ。


 今日は晴天。いい天気だ。

 窓の側にある銀の水差しからコップに水を注いで飲む。


 ココロの朝は早い。特別早起きというわけでもないが夜遅くまで起きていても、翌朝にはしっかりと起きられる。そういう特技を持っている。


 そうしてまだ寝ているリリアスの顔を先に起きて眺めるのが最近の密かな楽しみだった。なお、リリアスにバレると顔を真っ赤に染めた彼女に背中をぽかぽか叩かれるので、いつもぎりぎりのスリルを楽しんでいたりする。


 リリアスより先に起きたココロは、ボサボサになった髪をあげると顔を洗い、しっかりと水気を切ってクシで髪を整える。


 そうして、肌から滑らせて寝間着を脱ぐとクローゼットからルナニア帝国の軍服一式を着用する。鏡の前で確かめてちょっとだけ微調整。


 くるりと回って、にっこりと表情を決める。

 ちょっと固いかな?

 もう一回──


「よし」


 人前に出しても恥ずかしくないココロ・ローゼマリーの完成だ。


 部屋を見渡す。

 漫画本や小説が乱雑に積まれて、コルクボードにもいっぱいメモ書きが貼り付けられている。


 昨日は確か、一週間ぶりに医務室から解放されたリリアスのために小さなパーティーを開いたんだっけ。

 その途中で、眠ってしまったんだった。


 窓の向こう側から金色の陽光が漏れ出している。


「……あれ?」


 片付けの最中、ココロはふと、見慣れない様式の手紙を見かけた。


 昨日の晩にリリアスが貰ったと得意げに話してきて、結局一度も話題に上がることなくそのまま漫画本の下に挟まれていた。


 貰った? 誰に貰ったんだろ?


 手紙の差出人を見る。


 ──聖女 ヒメナ・エスメラルダ


「……エスメラルダ……?」


 聞いたことがある。

 ルナニア帝国の聖女たちは、それぞれが何らかの派閥に属しているのだと。つまるところ、影響力のある人物のところに皆が集まるような感じだ。


 ヒメナ・エスメラルダ。

 最大派閥の『エスメラルダ』のリーダーにして、今まさに次代の大聖女を狙っているという噂がぷんぷんの女だ。


 そんなのがなぜ今になって……?


 吊り下げたカレンダーを見る。


「……」


 ああ、そっか。

 そろそろ聖覧大祭が始まる。だから来たのだ。


 ベッドで未だに寝ているリリアスを見つめる。

 きっと、この手紙は派閥にリリアスを『勧誘』するものだろう。


 この手紙をリリアスが開ければ、ドロドロとした聖女同士の派閥争いに飛び込んでしまうかもしれない。


 リリアスはこの間までラーンダルク王国で国家存亡の戦いに巻き込まれてきたのに、また面倒事を起こすのか。


「……リアちゃん」


 思わず力が入って、手紙の端っこがくしゃりと歪んだ。

多忙につき不定期更新です。

書き溜めぇ……。

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