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殴れリリアス  作者: 紅葉
第一章 神殿事件編
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17.『ボロボロの勇者ちゃん』

 夜風に当たるために、中庭に出てみたらアズサがぼろぼろの身体で地面にぶっ倒れていた。


「あの男……絶対頭おかしい……なんなのよ、あれ……見習いの癖に、私よりも強いだなんて……!」


 何かあったのかは知らないが、別にこのまま死んでも誰も悲しまないだろうということで、放置したまま先へ進む。


「ちょっと!」


 声が背後から飛んできた。振り向くと同時に小石があったので軽く蹴っておく。

 蹴られた小石は魔弾のような速度で、ぱこーんっと勇者の頭にクリーンヒット。うん、十点中十点満点。おめでとう、わたし。


「いきなり何するの! 私を殺す気!?」

「むしゃくしゃしてやった。反省はしてる」

「ごめんで済んだら警察はいらないの!」


 そういえば、女神とやらから貰った勇者のスキルとやらに『物理耐性』とか『堅牢』とかあった気がする。言葉通りなら、この勇者は頑丈だ。すごいな女神。

 『痛覚無効』とかそういうのじゃなかったのが惜しい。


「ちょうどいいじゃない、喧嘩なら買ってやるわ。今私もすごくむしゃくしゃしてるところだから……!」

「どうしたんだよ、そんなかっかしてるとすぐにハゲるぞ」

「私の家系はハゲない家系なの! それよりも、皇帝が私の練習相手に差し向けたあの化け物はなんなのよ!?」

「帝国軍の見習いか。その人がどうしたんだ?」


 大体想像できるけど。


()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()!? 私のこれって女神からもらったやつなのに、一個も役に立たなかったんだけど!?」


 アズサは「【ステータス、オープン】っ!!」とヤケクソ気味に叫んで、目の前に現れた薄い板をバンバン叩いた。ステータスくん、かわいそうに。


「役に立ってるよ。たぶんスキルが無かったら三回ぐらいぶっ殺されてる」

「訓練場で、力試しするって体なのに、なんなの……? 本気で殺しに来てるじゃない……!」


 傷の具合から、本当にぼこぼこにされたのだろう。帝国軍のバーサーカーどもは、女子供だからといって手加減などしない。

 これだからわたしはバーサーカーどもと関わり合いになりたくないんだ。これから一緒に平和主義者にならないか、勇者ちゃん。

 ココロのことは許さないが、これだけは意見が合う気がするぞ。


「あんた、リリアス・ブラックデッドって名前よね」

「そうだけど──」

「ふんっ!」


 アズサは手をチョキ(目潰し)の形にすると唐突にわたしの目玉めがけてつき込んできた。

 反射的に後ろっ跳びで躱す。木の根が盛り出しており盛大にすっ転んでしまった。お風呂で洗った身体があっという間に泥まみれだ。


「なにすんだよ!」

「仕返しよ」

「ぜってぇ八つ当たりだろ!」

「あんたに決闘を申し込む! あんたになら、なんか勝てそうな気がするし、その生意気な口を恐怖でガタガタにしてやる!」


 これが世界を救う勇者の姿か?

 皇帝よ、どうやら召喚するやつを間違えたようだな。こいつ、全然善に与する存在じゃないぞ。


「なんで決闘なんてする必要があるんだよ!」

「あんた、私のことが嫌いなんでしょ? 私もあんたが嫌いだからよ!」

「やだよ、面倒くさい! 決闘って戦うんだろ!? 殴られたら痛いじゃん!」


 腕を身体の前で交差させてバッテンを作る。それを見たアズサはこめかみをピクリとさせて。


「ならばあんたがやる気になるようにすればいいんでしょ。……あそこを見なさい」


 指をさす方向へ目を向ける。中庭の端っこでココロが控えめに手を振っていた。かわいい。……とかそんなんじゃなくて、やつめ、ココロに一体何を──


「決闘であんたが勝ったら私はココロちゃんを諦めてあげる。旅に連れて行く聖女をもう一度選び直すわ」

「……わたしが負けた場合は?」

「あんたをぼこぼこにしてゴミ箱に突っ込んだ後、ココロちゃんと一緒にお風呂に入って身体を洗いっこする。そして、一緒のベッドで寝る」


 衝撃が脳天を突き抜けた。


「……ふ、ふーん? そ、そんなことでわたしの心が揺らぐとでも!?」

「めちゃくちゃ揺らいでるじゃない」


 くそう!


「え、えっちなことをする気だなっ!?」

「女同士なんだし、多少くっついても変わんないでしょ」

「セクハラ! パワハラ! モラハラ!」

「……本当にここが異世界かどうか分かんなくなるわね。『言語理解』って意訳までしてくれるのかしら……?」


 何やら勇者が微妙な顔で訳の分からないことをぶつぶつと呟いているが、我慢のできなかったわたしはピシっとアズサに指を突きつけて、叫んでやった。


「決闘を受けてやろうじゃないか! 死んでも文句言うなよっ!!」

「こっちから挑んだんだもの! 死にものぐるいでかかってきなさい! イライラしてるんだから、一発ぐらいその生意気な顔をグーで殴らせてもらうわ!」


 ……本当にこいつ勇者か?

次回決闘!

果たして勝つのはどちらなのか!?

気になる方はプロローグを読んでみてください。

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