カウントダウンざまぁ
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◇
私は守部留理、不本意ながら人妻だ。
不本意と言うのには理由はもちろんある。
結婚してから運命の相手に会ってしまったからだ。
たとえそれがマッチングアプリで知り合ったとしてもだ。
「翼くぅーん。 今日も一緒だねぇ♡ 嬉しい♡」
「熱海旅行から帰ってきてもだもんなぁ。 旦那さんの無能っぷりに感謝だな」
「女友達と旅行って言えば信じちゃうしぃ? しかも旅行から帰ってきたら『仕事でやらかしたからしばらく泊まり込みで仕事』だもんねぇ。 ほーんとアイツってば無能だわ」
「ま、おかげでこうやって留理ちゃんの家に二人で居れるわけだけど」
そう言ってアイツと選んだ高級ソファの上で抱き合いながら座る。
旅行中ずっと一緒だったけども全然足りない。
もっともっと翼くんが欲しいと思ってた所に、『家にしばらく帰れなくなった』だもん。
有効に使わなきゃ。
翼くんともっと早くに出会ってさえいれば私はあんな奴と地獄みたいな生活を送らずに済んだのに。
大学の時に出会った時のアイツはそれなりに?
まぁ影のあるイケメンって感じで女子から結構人気があったのよね。
傷ついた感じがちょっとセクシーな感じがして。
私の方からグイグイ迫っていったら、拒絶されるわけでもなくそのままゴールイン。
アイツにとっては迫られたら、相手なんて誰でもよかったんじゃないかしら。
そう、アイツは10年も前に亡くなった幼馴染にずっと心を囚われっぱなしの未練タラ男。
周囲には『イケメン・高収入・家事もしっかりやる優しい旦那』なんて羨ましがられたけど、とんでもない。
アイツは私に暴力をふるい続けてる。
何も実際に手を上げるだけが暴力じゃない。
妻という私以上に大事な存在をずっと持ち続けられるのがどれだけ惨めで傷つけられたか。
そんな生活である時、感情が思い余ってアイツを殴ってしまった。
家事のやり方が気に食わないとか、そんなくだらない理由で。
殴られたアイツは驚いた顔を見せる訳でもなく、ただただ悲しそうな顔をしてた。
だから日常的に気に入らない事があるとヒステリックにアイツをぶってやった。
私に対して感情を露わにするアイツが珍しかったからだ。
それも最近は無くなって、アイツは私に何の期待をしないような視線を向けてくるようになった。
ふざけんなよ、アイツの妻は私なのに。
アイツは幼馴染以外、愛せない無能だったんだ。
そんな無能と結婚した私はなんて可哀想なんだろう。
「翼くぅーん♡ずっと一緒だよお♡ 好きぃすきい。 ねぇちゃんと伝わってるぅ?」
「留理ちゃんこそ、俺が好きって伝わってんのかよ」
「えぇー伝わってないかもぉ♡」
上目使いに、物欲しそうな視線を翼くんに向ける。
胸元もはだけさせてやれば、翼くんは私を求めてくれる。
「じゃあ……どうすれば伝わるんだよ」
ゴクリ、と生唾を飲む音が聞こえる。
翼くんのこういう所が可愛くて、好きだ。
「わかってるくせにぃ♡」
両手で翼くんの頭を引き寄せて、ソファを横たわる。
いつもはこれだけで翼くんはとっても元気になるのに、彼の視線はテーブルの上に置いてあるノートパソコンに向いている。
「旦那さん……仕事中はこのパソコン持ち歩かないの?」
「? まぁいつもは持って行ってたかなぁ? でも自分のデスクにもパソコンあるって言ってたよぉ」
「そうか……なんか開きっぱなしだから気になって」
スリープ状態だからか画面は真っ暗。
特に気にする必要もないだろう。
「録画でもされてるってぇ? ないない、 アイツ他人に興味ないもん。 それよりもぉ」
焦らされた分こっちはもう限界。
早く私の口を塞いで欲しい。
視線でそう訴えかけると翼くんがまた生唾を飲む。
その時、パソコン画面が突然起動して2次元?ぽい金髪ツインテールの少女が画面いっぱいに映し出される。
「? 何これ?」
「ああ……アイツがハマってるの。 vtuberだっけ? ぷっ。 私たちが熱海行ってる時にアイツこんなの見てたんだ」
私たちが愛し合っている中でアイツはこんなので一人寂しく、そう思うと笑えてくる。
パソコンの中のvtuberは配信時間でないのか無表情で固まっている。
「気にしなくていいよぉ♡ ねぇ早くぅ? いつまで待たせるのぉ?」
「あ…ああ」
少しずつ服をはだけさせて私の胸はもう外気に触れている。
それを見てようやく決心固まったのか、ソファの上で覆い被さるように翼くんの顔が私に近づいてくる。
私との唇が重なり合う直前で翼くんが動きを止める。
「留理ちゃん」
「もう……何ぃ?」
いい加減待たされすぎてイライラしてくる。
「なんか、そのバーチャルな人がこっち見てはわはわしてるんだけど」
「配信かなんかでしょ? 気にしないでったら!」
視線をパソコンに映すとvtuberメイマナ?だったかな。
メイマナは目を慌てたように左右に動かし顔を真っ赤にしている。
ちょうど配信のタイミングでこんな表情をしていたのだろうか。
「た、助けて」
メイマナが両手で顔を隠しながら声を発する。
アイツこんなの見て楽しんでるんだろうか。
結構、面白みのある人間だったのかもしれない。
そんな風に思考を巡らせていると画面のメイマナが叫ぶ。
「ゆ、ユート! 助けて! 未成年になんてモノ見せてんのよぉ!?」
本当に配信なんだろうか。
まるでこっちの情景に合わせて発言してるようにしか見えなくて翼くんと二人で画面を見入ってしまう。
「ユートーー! 助けてってばー!?」
タイミング的に奇妙だ。
私の旦那の名前を呼びながら助けを求めるメイマナ。
その時リビングのドアを開ける音が聞こえる。
「はぁ……だからやめとけって言ったのに昔っから言い出したら聞かないから」
仕事でしばらく帰らないと言っていた旦那が目の前に現れる。
おっぱい丸出し状態の私の上に覆い被さる翼くんの姿を冷たい視線と、録画でもしているのかスマホのカメラをこちらに向けている。
「だって、だってユートを傷つけた相手に一言言ってやらないと気が済まなかったんだもん」
どういう仕組みになっているかわからない。
画面越しに見えるメイマナのアバターが両手で涙を拭いながら旦那と会話している。
状況が読み取れずにいると、旦那が冷たい視線のまま口角を上げた。
「ああ、初めまして井田翼さん? 妻がいつもお世話になっています」
その冷徹な笑みを受けて全てを悟る。
全部、旦那の手のひらの上で踊らされていた事に。
「ズビー!!」
本当にどういう仕組みかわからないがメイマナは鼻をかんで平静を保とうとしているようだ。
「……ちょっと! カッコつけた分恥ずかしいんだけど!」
その情けない音を受けて旦那が三枚目の様な仕草を見せる。
私には……こんな風に取り乱してくれた事なんかなかったくせに。
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