レトロゲーム限定配信
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「メイマナはどうして俺に限定配信してくれる気になったんだ?」
すっかり打ち解けた空気になって敬語を使う方がおかしい気がしたからざっくばらんに尋ねる。
「ソロモンキーがクリアできないからユートに手伝わせようと思って」
「そんな10数年来の友人みたいな扱いしてくれて光栄だけど、俺もうろ覚えだぞ。 酒も入ってるし」
「ユートお酒飲めるようになったの!?」
「? 俺の歳ならそんなに変なことでもないだろ。 メイマナは飲まないのか?」
「……未成年だし」
どうにも気が合いすぎてしまうのか話の本筋がすぐにずれてしまう。
メイマナはどうやら超難易度レトロゲーム『ソロモンキー』をクリアするために俺からアドバイスをもらいたいという事らしい。
アドバイスくらい、べつに俺でなくてもいいんじゃないかと思うが。
「ユートにだったら、アドバイスくらいさせてやってもいいんだからね!」
様式美すぎてもはやツンにも見えないが、せっかく限定配信までしてくれてるんだ。
それに留理の奴が夜中出かけたときは、酒を浴びるように飲まないといまだ眠れない。
おとなしく俺はメイマナの誘いに了承する事にした。
「あーもう! これ絶対にクリアさせる気ないわ!」
vtuberに転生したことでチートスキル『超反応』をゲットしたと豪語するメイマナだが、FPS等では使えるスキルでもアクションパズルゲームにはあまり役立たないらしい。
「まぁ、これすごい難しいゲームだけど、メイマナなら練習してればクリアできるんじゃないか?」
「そんなの当然だけど、あんまり時間かけてたら成仏しちゃうかもしれないから、早く教えてよ」
「さらっとすごいこと言うな」
まぁ、成仏ネタは彼女の鉄板だしな。
とりあえず子供の頃の記憶を辿って、当時どんな風に考えてプレイしていたかを丁寧に伝えた。
俺のアドバイスを受けてもなかなか上手くいかず、メイマナはますますイライラしている様子だった。
「大丈夫だよ。 ゲームが上手くなるのに時間がかかることだってあるさ」
「そうかもしれないけど、 このゲームは絶対にクリアしたいのよ」
何度となく行われた挑戦。
気づけばかなりの深夜を回っていて、明日も仕事がある身としてはそろそろお暇したい。
「ユートもしかして明日仕事だった?」
「そうだな。 まぁいつもこのくらいに眠るから特に問題ないよ」
むしろ、留理が朝までコースの場合は不眠になる場合が多い。
今回は熱海旅行だ。
何日も眠れない所だった。
真夏に似ているメイマナと会話していると、安心感があるのかなんだか眠くなってきた。
「あの……明日も」
口ごもりながら言葉を探している様子のメイマナ。
真夏にそっくりの彼女が何を言わんとしてるか俺は察する。
「ああ。 明日も同じ時間だったら大丈夫だよ。 応援する」
俺の言を受けてメイマナのアバターがパアっと明るく笑う。
「ゆ、ユートにだったら応援ぐらいさせてやってもいいんだからね!」
テンプレの返しを受けてどこまでも真夏そっくりの彼女に失笑しながら、明日の約束を取り付けてその日はお開きとなった。
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