プロローグ
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お読み頂けてありがとうございます!
俺の名前は守部悠人。
27歳大手企業勤めの妻帯者だ。
時刻は深夜だが、女友達と旅行に行くと言って妻は家に帰らない。
まぁ、実際には間男と熱海という分かりやすい不倫旅行コースだろう。
そこそこ高層階のマンションで、自宅のソファに腰掛けながら俺はスマホをいじる。
虚無だ。
心を無に保たねばなるまい。
妻に、守部留理に制裁を下すためには。
妻の不貞行為の証拠集めは済んでる。
スマホのLINEの真っ暗なトークは全てバックアップ済み。
▷るりちゃん、昨日は完全に肉食女子化してたなw
▷翼くんこそ激しすぎだよ、壊れちゃうかと思った♡
▷肉食同士気が合うだろ?旦那さんよりさ
▷やめてよー、あいつと翼くんじゃ比べものにならないよ♡
泣いた。
使わなくなったスマホを録音状態にして、車に仕込んでたら女友達らしき人物との会話が録音されていた。
「翼くんって口でしてあげるとすぐ元気になるんだよねー。 今日もこの後してあげるってLINEしたら『もう元気になった、 はやく会いてー』だって。 キャハハ」
数時間後、車内に鳴り響くうがいでもしてんのかと思うジュボ音と男の矯声。
吐いた。
スマホのマップ履歴を見てみるとホテルはもちろん、横浜の中華街に行ったり、TDL、首都高を通って深夜の海を見に行ったりと幾重にもデートを重ねてる。
妻の裏アカで作ってあるSNSの書き込みに翼くんとのイカれっぷりが記されている。
照れながらも手繋いでくれたのが嬉しかっただとか、お姫様抱っこしてもらっちゃった、やっぱり運命♡きゃー♡だのが書いてある。
純愛かよ。
せめて、もっとただれた関係であってくれ。
頭の中お花畑っていうか、ヴァルハラまで行っちゃてんのかと思えば奴は意外と強かだった。
俺に何月何日に暴力を振るわれただの、身体を売って金稼いでこい!だのを言われたと日記に書いてあるのを見つけた。
もちろん俺は一切そんな事をしていない。
しかしここは女性至上主義国家日本。
離婚するには大抵が男側が不利にできていて、更に、そんな日記が出てきてしまった日には俺は有責で慰謝料を取られる立場に回るだろう。
全くのデマだったとしてもだ。
暴力は振るっていない、むしろ留理に無能扱いされて日常的に暴力を振るわれているのは俺だ。
キチンとその様子はボイスレコーダーに録音して、医者に診断書も作ってもらってる。
ボイスレコーダーに耳を傾ける。
「あー早く離婚したいー! あいつそこそこ給料は良いからがっぽり慰謝料もらえると思うんだよねー」
「るりちゃんが俺じゃない男と暮らしてると思うと気が狂いそうだぜ!」
「大丈夫だよ翼くん。 留理の身体は翼くんだけのモノだから♡あいつになんか指一本触れさせないから安心して♡」
はい、この音声で夫がいるのをわかってるのに手を出してる事は明確。
裁判ではかなり不利だと思うよ井田翼くん。
留理は留理で『♡』がついてるのが音声でもわかるくらいの入れ込みっぷりだ。
「あいつ仕事はすぐ転職するし、家事もしないし、絶対に仕事でもミスばっかりの無能だと思うわよ! 最近はvtuberなんかにハマってて気持ち悪いし!」
「るりちゃんより可愛いアイドルなんかいねぇのに、 ホントバカな旦那だね」
「ふふっ。 留理にとっても翼くん以上にカッコいい存在なんていないよ……だから……ね♡」
♡つけなきゃ会話できんのか?
留理は専業主婦だ。
仕事終わりの俺に飯を作らせて、洗濯、夜中に洗濯物を干して、休日は掃除を俺が行なって、ゴミ出しだけは頼むと言ったゴミ袋が帰宅後に置いて会った時は一体何の専業をしているのかと頭を抱えた。
家事のほとんどを俺が行ってる履歴はtwitterの裏アカで写真付きでアップしている。
転職と言ってもヘッドハンティングみたいなもので、より好条件だったし、何より自分のやりたい事と合致してたから一度だけ職場を移ったんだがな。
まぁ、有り体に言って完全に証拠もアリバイも集め終わった。
後は行動に移すのみだが実は二の足を踏んでる。
何度となく経験したが、留理が夜に出かけると眠れないのでウィスキーをロックであおる。
鼻の奥がキューっとくるのは酒だけのせいじゃない。
今頃、間男と留理がどんな事をしているかを想像すると飯も喉を通らない。
証拠を集めるために奔走したこの一年で体重は10kgも落ちた。
こんなひどい事をされてもいまだに留理の事を愛しているのかもしれない。
留理は俺を救ってくれた事があるんだ。
塞ぎこんでる俺を外の世界へ連れ出してくれたのは留理だった。
また、ウィスキーをあおる。
そして塞ぎこんでしまった当時の理由について思慕を巡らす。
俺には咲木真夏という同い年の幼馴染がいた。
イギリス人の祖父母とロシアのハーフの母を持つ真夏は色素の薄い髪色をツインテールにする事が多く、つり目なのに可愛らしい容姿。
長い手足が魅力的な女の子だった。
隣の家に住んでて兄妹のように過ごした。
でも、俺は本当は兄妹なんて思ってなくて、高校の時に真夏を夏祭りの花火大会の日に呼び出したんだ。
真夏の前では俺も素直じゃなかったし、あいつはいわゆるツンデレだった気がする。
それでも「好きだ」って伝えたかった。
放課後に誘った時、俺が神妙な態度だったからか真夏も何かを察して顔を真っ赤にしてた。
でも真夏は待ち合わせ場所に来なかった。
途中で交通事故に遭ってたんだ。
子供が轢かれそうになってたのを庇ったらしい。
真夏が運びこまれた病院の待合室で俺はガタガタ震えるのが止められなかった。
生まれた頃から一緒にいた真夏がいなくなるかもしれないという恐怖で。
そしてそれは現実のものとなってしまった。
最後に伝えたかった思いも、真夏は俺の事どう思っていたのかも、何もかも曖昧なままで俺の初恋は終わった。
「……そろそろメイマナの配信時間か」
酒をあおりながらパソコンを開く。
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