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学校説明

博物館が全焼した事件から2日後。

黄金に輝く休みのウィークが今日で最終日を迎える。


昨日は特にやることもなかったので、なけなしの仕送りから心地の着る服や下着などを買いに行った。

金髪美少年の真っ赤瞳のイケメン少年はそれはそれは店員さんにチヤホヤされ、子供向けファッション雑誌の編集さんにスカウトされたり、その場にいたモデルさんと一緒に写真を撮ったりとしたが詳しい話はまた今度。


四季絵から『ツナガリ』からの連絡により日程が決まったという報告を受け俺は流のオネェさんに渡された資料に書かれていた建物へと向かった。

この前俺が保護された場所とは違い、かなり中心街から離れた場所にあった。


ついた場所に建っていた建物は周りに田んぼしかなく、小汚い古民家であった。

築50年はゆうに建ってそうなただづまいでどこかうちのボロアパートのような雰囲気を醸し出しておりだいぶ落ち着く。


本当にここであっているのかと心配になっていると俺の到着に気がついたのか中から見知った人が出てきた。

長く綺麗な黒髪を一本の三つ編みにして束ね、顔色も保護されていた建物にいた時よりもずっといい血色になっていた。

学校指定らしき制服に身を纏った年齢に合わないグラマスボディーはその異様な組み合わせを見事に超越していた。

真面目に、こんな美女がいる学校なんてフィクションの世界だけだと思っていたが中学の時初めて四季絵を見た時の驚きを改めて思い出す。

成長することによりそこにエロスが加わることにより、一体どれだけの俺の学校のいやあの地域にいた男どもの目を釘付けにしたことやら。


「お待ちしておりましたよ、井伊くん。何やらいやらしい目つきで私を見てませんか?」


少し口角を上げて俺を出迎えてくれた四季絵。

口元は笑っているのだが若干目が笑っていない。


「おいおい四季絵、自意識過剰なのは、その美貌だったら仕方ないと思うけどそんな目で友人を見るようなやつに俺が見えるのか?」


「井伊くんはスケベェなやつじゃないですか。中学の時エッチな本学校に持ってきて読んでいたの知ってるんですからね」


「そうだな、そしてそれを横目でチラチラと見ていたムッツリスケベさんもいたしな。あとあれはエロ本じゃない、全年齢向きの立派な少年漫画だ」


「井伊くんにならいいですけど、あまりそう言った視線を私以外の女の子に贈ってはいけませんよ。不快な気分になっちゃいますからね」


「つまり四季絵は俺にいやらしい視線で見られても不快な気分にならなかったと。いわゆるイケメンに限るってやつか。俺って四季絵から見たらイケメンに見えるの?」


「イケメンに限らず私はいやらしい視線を向けられたら不快な気分になりますよ。その理論でいくと私の場合かっこいい奴にかぎる、ですね。行きますよ、中で先生が待っていますから」


建物の中に入る四季絵の後をおう。


四季絵からしたら俺はどうやらかっこいいやつのようだ、あんまり俺に合わない奴だな。


建物の中は外からの見た目通り、ボロボロで何やら変な匂いがする。

ろくに手入れもされていないのか、うちの没路アパートよりも廃墟感がすごい強い。


てっきり中はすっごいテクノロジー的なフィクションのような内装で外と中のギャップは特にないようだ。


「中も結構ボロボロな感じなんな。お嬢様にはこう言った環境慣れないんじゃねーの?」


「何を言っているんですか。こんなボロボロな施設で学校説明があるわけないじゃないですか。ここはカモフラージュですよ。軍が相手にしているのは何も『アウノウノン』だけじゃありませんからね」


「カモフラージュっていうのなら今にもこんな壊れそうなボロ一軒家にしなくても良くない?」


「それはここを設計した設計者が外はボロボロ中はっすすんだ未来文明ってギャップに強いこだわりがあったそうですよ」


四季絵は手慣れた手つきで奥にある、ボロボロの扉のドアノブ手をかける。

指紋認証らしく、ドアノブに手を触れて数秒後に鍵が開く音が聞こえた。


「かっけぇ。何その近未来的な技術は!指紋認証じゃん!秘密組織の鍵の開け方じゃん。設計者の人わかってるぅ!」


「最近ではわりかし当たり前の技術だと思いますが。それにこの施設のセキュリティはいたって低い方ですよ。あまり重要なものは置いてませんし今回のようなイレギュラーな事態の時あとは避難所としての役割くらいなものですよ。ここから先は長いこと階段を降りますので足元に気をつけてくださいね」


先に階段を下る四季絵の跡をついていく。

階段は一段一段低めに作られており、手すりもあったので降りるのにそう苦労しなかった。


「学校説明会って、聞いてたからてっきり校舎でやるもんだと思ってたけど、どう見ても学校じゃないよなこれ」


「井伊くんはまだ学校の生徒ではないということだからだと思いますよ。井伊くんの生い立ちやらなんやらは軍の人たちが調べ尽くして、別組織のスパイという疑いはほとんどなくなったとはいえ、まだ疑わしき点があるのも事実と昨日、流さんから連絡がありました。個人情報のことゆえ何か意味ありげな部分をぼかしていましたが。大丈夫ですよ今日中に疑いは完全に晴れると思うので、明日からは同じ教室でお勉強できます」


よかったですねと言わんばかりの笑顔。

良くないんだけど。俺の個人情報鍵回れてんの。

知られて困るわけじゃないけど生理的になんかやだ。


四季絵のやつはきっと今までそういう世界にいたから何も感じないんだろうけど、一般人のモラルとしてそれはどうよって思う。

聞いてくれればきちんと話すのに有る事無い事。


「めっちゃ警戒するじゃん、俺の個人情報、流のオネェさんというより軍ににダダ漏れな訳?敵組織そんなにいるの?」


俺の問いかけに四季絵は当然と言った顔持ちで答える。


「いますよ。特に異能力を使える人はそれだけでかなりの価値がありますからね。裏ルートにて売るもよし、丸め込んで己が組織で使うもよし。私のような『ファムファタール』をあえて囮にして『アウノウノン』を呼び出し倒し、『アウノウノン』の素材をそのまま裏ルートで売ったり、加工して武器として扱ったりする組織もかなりあります。お金になるのですよ、どこの世界にも悪いことは。だから彼らは欲しがるのです、躾ければ簡単にゆうことを聞いてくれるようになる未熟な人材を。だからどの学校のセキュリティーもとんでもなく高レベルのものとなっているのです」


「なるほど、だからまだほんの少ししか疑わしくない奴な俺でも最新の注意を払っているというわけか」


やっぱり断ろうかな。入学。

多少のリスクはあるみたいだけど断ろうと思えば断ることができるみたいだし。

でも、そんな危険な日常に友達がいるってことを知りながら今更一般人としてこれまで通りの日常を追い切るってのもなんか違う気がするし。


「えぇ、昔それでいたいめにあったこともあるそうなので。つきました井伊くんこの部屋ですね」


俺が悶々と悩んでいる間にお目当ての部屋についたようだ。

まだ下に続く階段があるところを見ると、この先にまだ何かしらあるようだが。


四季絵が扉を3回ノックすると中からどうぞ、と聞こえてくる。

その声に反応したのか扉のかかっていた鍵がガチャリと開く音がする。

声認証だけで鍵が開くのか、すげぇ。


四季絵は何事もないかのように、失礼しますといいドアノブに手をかけて部屋に入る。

俺もその後に続いた。


部屋の中には横長の机にホワイトボード、後は椅子くらいしかない殺風景な部屋だった。

机の上にはケトルとインスタントの飲み物各種、後はお茶菓子と俺がもらったパンフレットが載っていた。

前、保護された施設しかり余計なものは置かないのが基本なのだろうか?


ホワイトボードの前に用意された椅子に座っている人物。

おそらくあれが四季絵の言っていた先生なのだろう。


とっつきにくそうな雰囲気を醸し出しており、キリッとした目つきだがそれを和らげるような丸メガネをかけている。

長い髪を一本のツインテールにまとめており、長いスラットした黒いパンツスーツに包まれた足は座っていてもわかるぐらい長く、その体には思春期男児を拐かす大きな胸が共著されていた。


流のオネェさんとは違って見ただけで年上だと判断できる。


俺たちの入室に伴ってゆっくりと立ち上がる。

でかい、いや胸の方じゃなくて身長、ゆうに190センチ近くあるんじゃないのか?


「久しぶりだね、四季絵生徒。この前は散々な目にあったようだね、流から聞いたよ。まぁ無事で何よりだ。そして隣に立っているのが井伊奴哉君だね。良くきてくれた。まぁ座りたまえ」


女性にしては少し低めな声で俺たちに席を薦める。

四季絵も俺も女性教師の対面になる形で座る。


「あれ?四季絵も個々にいるの?てっきり俺の学校説明終わるまで別室で待機するもんだと」


「寂しいこと言わないでくださいよ。井伊くんが緊張するかもと思って残ってあげるんですから」


緊張はしないが、見知らぬ大人と二人きりの空間は以後ごち悪いからありがたいけど。


「四季絵生徒の同席は別に構わないよ。特に問題があるわけでもないからな。それよりも四季絵生徒には後で個人的に聞きたいことがある。それでは『吉祥異能学園』の説明会を始めようとしよう。自分は美杉 美礼。すごい名前だろう?名前に美しいが二つも入っている。この名前のせいで自分がどれだけ苦労したかはまた今度話そう」


自重気味に口角を上げて笑う。

鋭い獲物でも狩るかの如くその釣り上がった目つきでこちらを見る。


「我が『吉祥異能学園』は異能力者と呼ばれる、異なった才能に溢れる少年少女を対象に組織された学校だ。異能力と言ってもさまざまなものがあり、個々人でさまざまな才能に溢れている。火を操ったり水を操ったり、人によってはある条件下をクリアしなければ発動できないものもある。そこにいる四季絵生徒のようにな」


四季絵の異能力ね。

燃えている猿相手にしていた時は剣の居合のみで真っ二つにしていたけどあれって何かしらの異能力を使っていたのか?


隣にいる四季絵の方を見ると俺の視線に気がついたのか、俺の方を見て手をピースにする。

何それ可愛い。


「『吉祥異能学園』には、少ないが無能力者も滞在する。異能力者をかず多く続出させている名家の生徒たちだ。井伊奴哉くん、君にも関係なくないことだから覚えておくといい。クラスは一クラス、10人程度。君が今度編入予定の自分のクラスだが、とてもいい子たちばかりではないが仲良くしてやってほしい」


どうして、俺に名家の無能力者が関係あるのか気になったが、どうやら俺の新しい編入先の美杉先生のクラスにそう言った生徒がいるようだ。


「そういった、無能力者も『吉祥異能学園』は受け入れるんですね。名家からの寄付金が目的ですか?」


「残念ながら我が校はお金にはこれっぽっちも困ってはいないんだ。言ったろ?異能力者を数多く続出させていると。異能ってのは、今の現代科学では未知数なことが多くてね。自分のようや四季絵生徒のように幼い時に発症するものもいれば、井伊奴君、君のように急に目覚めることだってある。思春期を迎えたあたりから異能力が突然覚醒することは稀だがゼロではない。特に名家の者たちには、まだまだ希望があるというものさ。名家の子供たちは異能力者同士の子供が多いわけだからね」


そういうと、美杉先生はホワイトボードに手をかけて、くるりとひっくり返す。

ひっくり返ったホワイトボードの盤面にはみっしりと『吉祥異能学園』の年功行事が書かれていた。


「『吉祥異能学園』はあくまで学園だ。学ぶことを第一に考えた作りとなっている。一般的な学校とは違う部分も出てはくるが座学は基本今君が通っている学校と対さない。楽しいイベントも充実しているぞ!林間学校、他校との交流はもちろん修学旅行に異能特務軍への研修。学校施設も普通の学園よりもしっかりとしているぞ。何より演習場が数多くそんざいするから、各々異能力にあった、演習場での訓練もできるし対『アウノウノン』対策や敵異能力者に遭遇した際の実践的戦闘演習も訓練する。安全セキュリティも万全で『ファムファタール』の女の子たちもここでは『アウノウノン』に怯えずに生きていける。まぁ口で言ってもわからん部分は多いと思うから、学園の内容は転入した際に四季絵生徒にでも案内してもらいなさい。ここまでで何か質問などあるかな?」


質問か。

学校のことについては正直通いながら覚えればいいと思うしそれこそさっき美杉先生が言ったように四季絵に案内して貰えばいいとして、俺は別に気になっている疑問を質問することにした。


「学校のことじゃないんですけど良いですか?さっき四季絵に聞いたんですけど子供の異能力者って結構狙われているそうじゃないですか。休みの日の自由度ってどのくらいあるんですか?基本行動する時も大人が同伴するとか?」


「その点に関しては大丈夫だ、井伊奴哉君。休みは自由に過ごしてもらって構わない。バイトは決まったところでしかできない規則はあるが、学校外の安全面も大丈夫だ。『アウノウン』が現れようが、悪い大人に君たちが捕まろうがすぐ対応できるようにこちらも考えは張り巡らしている。安心して青春を謳歌するといい。自分が認識している範囲ぐらいは何があっても君たちをすぐに助けに行くさ。できることなら何かある前に助け出したい者なんだがね、この前の四季絵生徒の時みたいに」


四季絵の方をチラリとみて、申し訳なさそうな表情を浮かべる美杉先生。

それこそこの前の四季絵の騒動の時みたいに一般人が巻き込まれるという事態は別に良いのだろうか?という質問は流石に四季絵本人が目の前にいるからやめた。


「ありがとうございます。もいっこ質問いいですか?」


「いいよ、一つと言わず幾つでも」


「いっこでいいです」


俺がそういうと四季絵は俺が何か言わんとしたのか察したのか、本当に誰構わずその質問をするんですねと呆れた表情を浮かべられた。


流のおねぇさんの時は聞きそびれちまったからな、また今度会った時にでも聞いておこう。


「美杉先生、あなたから見て、俺はどんな奴ですか?」


俺の質問に対して、美杉先生は少し驚いたような表情を浮かべてから、目つきの悪い笑顔を浮かべ最初に座っていた椅子に腰を下ろしてその長い足を組んだ。


「今のところはそうだな、これから自分の生徒になる、憂奴だと思っているよ、井伊生徒」


それは期待におきたいできるようなやつにならなくちゃと思った。



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