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秘密を知ってしまったらしい僕

作者: 上上手取

昔描いた没供養

 唐突であるが、舞桜まさくら真桜まおは魔王の娘さんである。だがしかし未だその力は完全には覚醒しておらず普通の人間として過ごすことを余儀なくされている。だがなまじ力の成功例がそばにいるために彼女は増長し周りからは中二病患者として扱われるのだ!!





 ……誰にともなく行う説明口調のモノローグも終わり俺は現実へと目を向ける。場所は職員室。目の前には担任の黄純きすみ英奈えいな先生が涙を浮かべて俺に嘆願している。少し小動物っぽい雰囲気の先生にそんな風にされるとこちらも心苦しい。何を頼まれてるかって?そりゃあれだよ冒頭に説明した……


「おっ! 我がしもべも来ていたのか。うんうん、先回りして主の到着を待っているとは感心感心」


 ……ご覧の有様になっている舞桜のことである……


――――――――


 舞桜と出会ったのは学年も上がりクラス替えのあった2年になってからだ。三つ編みメガネの地味な女の子。クラスの自己紹介で抱いた感想はそんなものだった。最もその時はそれっきりで舞桜のことなんて気にも掛けていなかったしこんな関係になるなんて思いもよらなかった。


 変化があったのは夏休みに入ってから。夏休みも中盤にさしかかろうという頃に僕は何故か舞桜のしもべをやっていた。どうしてそうゆう関係になったのかは思い出せないのだが、舞桜も三つ編みを解きメガネを外して正直見違えるほどの美少女になっていたので、毎日連れだされては無理難題をふっかけられるのにも疑問は抱かなかった。……まぁそれも舞桜による洗脳の効果らしいんだけどね。


 で、毎日男と一緒に出かけているのを快く思わない輩というのはいるもので……ご想像の通り舞桜の父親とお兄さんだ。何故か俺も同席して行われる舞桜家の家族会議。そこで明かされる驚愕の事実。なんと舞桜のお父さんは元魔王さまでした~。

 「な、なんだってー」と驚く僕を見て驚く舞桜。僕の意思は完全にないと思っていたらしい。あーどうりで。まるで男と思っていないかのようなその……僕に嬉しい状況が頻繁に起こると思っていたよ!


 そんな僕を見て予定どおり記憶消去を行おうとする舞桜の男衆。それに対して舞桜が放った言葉は


「やめて!彼は私の(能力が)初めて(成功した証)の人なの!!」


 というとんでもないものだった。


――――――――


「「失礼しましたー」」


 二人して職員室を後にする。中二病全開で話しかけてきた舞桜には「ここでは人間の言葉で話せ」と説教済みだ。え? お前も中二病じゃないかって? うるさいやい。こういう言い方が一番舞桜には効くんだよ。だから仕方なくだ仕方なく。


 夏休みも終わり今は10月も半ば。舞桜の容姿は学年はじめの三つ編みメガネではなく夏休みの時の美少女バージョンである。当初は夏休み開けデビューか! などと騒がれたものだがその変わり果てた言動に今では残念美人と呼ばれているとか何とか……


「ふふん、下々の者の説教は長くていかん。そもそも我が一体何をしたというのだ」

「いや、普通に不良に文句を言いに行くのはやばいからな? 言うならせめて僕が一緒の時にしてくれ……」

「お、心配してくれるのか? さすがは我の初めてのしもべ。褒めて使わす」


 そう言って背を伸ばし僕の頭をかいぐりかいぐりと撫で回す舞桜。うっ……顔が近い……


「と、ともかく! 一人でかってに行動するのは禁止! なにかするときは事前に相談すること!」


 浮かんだ照れを隠すようにそう早口でまくし立てる。なまじ容姿が整っているだけに無意識でそういうことをされるとたちが悪い。


「ま、待つのじゃ。そもそも相談するもなにもどうしてしもべであるお主に……」


 その場から立ち去ろうとした俺を追いかけてくる舞桜の声を聞きながら、俺はなんでこいつの下僕やってるんだろと疑問に思うのだった。


 ……惚れた弱みかな?

なんかここでお願いするのがトレンドらしいので

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― 新着の感想 ―
[一言] 「中二病でも恋がしたい!」を思い出しました。
2022/11/27 21:21 退会済み
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