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【WEB版】被虐待児の最強転生して優しい家族に囲まれ  作者: 御峰。
入学編

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92-1.新しい日々の始まり

 セレナお姉ちゃんの誕生日一か月前の六回目のアカバネ祭。


 ナターシャお姉ちゃんの『ライブ』で初めて『テンツァー(踊る者)』六名が同じ舞台でナターシャお姉ちゃんの後ろで踊った。


 その反響はまた凄まじく、常に進化し続ける『ライブ』にお客様達も増々震え上がるのだった。


 食事会と握手会も今回はエクシア家は絡まずに通常通りになり勢いが激しくてギルド『アマゾネス』で独占する事が不可能だった。


 辛うじて食事会に数名、握手会に数名が残る程度だった。


 他はプラチナエンジェル応援団の貴族組から数人が参加出来たそうだ。


 その中で一番光を放っていたのは……あのディオだった。


 ディオはまるで別人になったかのように真面目に仕事をこなして貿易街ホルデニアの領主となり、公平と利益を求めて働き今では良い領主となっていた。


 しかも見た目も完全に別人だった。


 凄く太っていてナターシャお姉ちゃんが『デブ』呼ばわりする程だったのに、今では見る影もない、凄い好男性だった。


 永遠のナターシャお姉ちゃん推しらしくて全ての婚約を蹴っているそうだ。


 そんなこんなで六回目も無事終わり、セレナお姉ちゃんの誕生日も無事終わり、デイお兄ちゃんの入学も終わった。




 ◇




「あら、クロウくんがいるなんて珍しいわね」


「お母さん」


 そう言い、僕の隣にお母さんが座って来た。


「なんだかライくんもデイくんもいなくなって、セレナちゃんは稽古で頑張っているし屋敷も寂しくなったわ」


「はい……、ちょっと寂しくて……」


「ふふっ……でもその一番最初はクロウくんだけどね」


「えっ? 僕ですか?」


 僕はまだ屋敷で暮らしているのだけど……。


「だって、うちの子達の中で一番最初に外に出たのは、紛れもなくクロウくんよ?」


「あ……あれはちょっと遊びのつもりで……」


「遊びのつもりで王国一の商会を作ったり、何百人も助けたりはしないわよ?」


「あはは……」


 そう言われれば、たしかに長かった気がする。


 生まれてもう九年も経っているのだ。


 アカバネ商会も設立から三年も経った。


「クロウくん知っている? 君が屋敷から外に出ている間、お兄ちゃん達が君に負けじと稽古頑張ったんだよ?」


「え? あれって王国騎士になるためでは……?」


「え? 違うよ、ライくんもデイくんもセレナちゃんも王国騎士なんて少しも興味ないわよ」


「えええええ!? そうだったんだ……」


「そうよ、自分達の弟がこれだけ活躍しているんだから、自分達も頑張らないといけないからって出来る事を精一杯頑張るからと毎日辛い稽古頑張っていたわよ」


 お兄ちゃん達もお姉ちゃんもそう思ってくれていたんだ……全然知らなかった。


 僕……お兄ちゃんお姉ちゃん達の……。


「ふふっ、自分が弟として何も知らなかった出来なかったなんて思わないでね? ああいうのは年齢じゃないのよ、成し遂げたい志が大事なの、だからライくん達も頑張ってるんだからね」


 何だか僕の心を読まれた気がした。


「ああ~あの日からもう七年も経つのね……」


 あの日と言うのは、僕がずっと家族を騙していた事がバレた時の事だ。


 そう言いながら隣のお母さんは僕を抱きしめてくれた。


 その温かさがとても心地よくて、僕の寂しさなんて全部吹っ飛ばしてくれるかのようだった。


「クロウくん、ここは君の家だからね。外に出てたくさんの仲間が出来ても君には帰って来れる家があるんだから、困ったらいつでも帰っておいでね」


 笑顔のお母さんが眩しかった。




 ◇




 それから数日後、僕とセレナお姉ちゃんは家庭教師による貴族としての知識を勉強する事になった。


 これは僕が屋敷から自由にしても良いと言われたその日から決まっていた事だ。


 今日から約一年程勉強していく事になる。


 貴族としての礼儀作法、言葉使い、踊り、食事方……色んな事を一年かけて学ぶようだ。



 それから僕とセレナお姉ちゃんは一年と少し屋敷で勉強期間に入った。


 休みも勿論あって、休みはディアナちゃんと遊んだり、『スレイヤ』の皆さんと出掛けたり、アカバネ商会で新しい戦略や事業を考えたりした。


 そんな充実な日々を送った。

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