87.それぞれの目標
遂にブクマが300を突破しました!;-;
ありがとうございます!!
そして昨日なんと日間PVが一万以上になりました!
なろうでも沢山読まれるようになってとても嬉しいです!
拙い文章や誤字、内容があるとは思いますが気軽に楽しんで頂けたら幸いです。
冬が終わり、また春が来た。
僕が八歳に、セレナお姉ちゃんは九歳となった。
ナターシャお姉ちゃんから『ライブ』で一緒に踊る『テンツァー』なるモノを作りたいと言われ、快く承諾した。
だって、ナターシャお姉ちゃんが考えるモノってどれも素晴らしいから。
最初はアカバネ商会の従業員ではなく、募集した人数の中から五十人程決め、一年間競争して貰うそうだ。
その中でも優秀だった数人だけが『テンツァー』になれる。
練習期間中は『オペル』って呼ばれ、一年間給金も発生せず、練習にひたすら励んで貰うそうだ。
給金は出ないが、泊る場所や食事はしっかり出るので、一生懸命練習して貰えるだろう。
晴れて『テンツァー』に受かれば、ナターシャお姉ちゃんと一緒に『ライブ』へ出られるので、応募件数はとんでもない数字になっていた。
しかし、中には『食事や泊る場所を全提供』の言葉に釣られて応募している人も沢山いた。
そんな中からも有望な人材を捜した。
それから一か月後、『オペル』が六十人集まった。
男性十五名、女性四十五名だった。
◇
◆ナターシャ・ミリオン◆
「『オペル』のみなさん、ご応募ありがとうございます。そして『オペル』合格おめでとうございます」
そう言うと、集まった六十名の少年少女達が嬉しそうに笑った。
「では、事前に連絡した通り皆さんにはこれから八か月間競って貰います。勿論――力とかじゃないよ? ちゃんと『テンツァー』として競って貰います、その後『テンツァー』には……六名を考えています。
そして、晴れて『テンツァー』となった六名はアカバネ商会の従業員となって貰い、私と一緒に『ライブ』で踊って貰います。これが出来ないと言う方がいるなら、今からでも構わないので帰ってくださって結構です」
まあ、これで帰るなんて誰もいないでしょうけどね。
何分、ここに来た皆さんはその情熱も人より三倍は高いのですから。
「では、練習を始める前に話しておく事がございます、我々アカバネ商会は従業員全員平等を謳っています。勿論出来る仕事で差はありますが、どの従業員も大事にされていますし、お互い大事にしています。
つまり、皆さん六十名はこの練習に参加している間は全員平等として扱います。もし期間中に他人を蔑んだり命令するようならその方には即刻退場して貰います、この中には貴族も平民も孤児もいます、ですが今日からは全員平等です、お互いに偉ぶらず互いを尊重して練習に励んでください」
「はいっ!」×60
「良い返事です、後は他の従業員から練習の指示がありますので、次会える日を楽しみにしていますね」
「ありがとうございました!」×60
どこの世界にも上下は大事ですが、上は下を蔑まず導き、下は上を妬まず尊敬する、それがまた大事なのだとアカバネ商会で学びましたから、これからこの子達もそれを学んでくれたらいいわね。
◇
◆ディアナ◆
クロウ様を守りたい。
それは本心から思った事で、これからもずっと続けて行きたい。
しかし、私には一つ大きな悩みがあった。
それは……。
私は弱すぎる。
お父さんに剣術を学び、黒銀狼の力も相まってどんどん強くなった自覚があった。
でもセレナ様に出会ってから、それは井の中の蛙だと知った。
それからクロウ様の『闇の手』を一本も相手出来なかった。
それから私は毎日、人より数倍は練習するようになっていた。
それに相まって強くなるのが分かった。
それでも足りない。
このままではクロウ様に守られるばかりだから。
そんな中、お父さんに相談していたら黒銀狼の本領発揮を教えてくれた。
黒銀狼だけが使えるスキル。
お父さんに教わり、私はまた一つ自信を身に着ける事が出来た。
セレナ様はそんなに思いつめなくてもいいのにと仰ってくださったけど、甘えるだけでは駄目だと分かっていた。
私がずっと病気で両親を奴隷にまでさせてしまったように、ただ甘えるのはもう嫌だ。
だからこれから自分で出来る事を精一杯頑張ろうと決心していた。
そして今日もまた、私は剣を握りしめた。
◇
◆セレナディア・エクシア◆
来年、私は二度目の職能開花をする。
それは自分だけではなく、エクシア家、グランセイル王国に取ってとても大きい事になるのだろうと思う。
自分が貴族として生まれ、貴族としての責務があるのも知っている。
『剣聖』。
それだけで自分が王国にどれ程大きい影響を与えるのか、何となく分かる気がした。
弟が作ったアカバネ島。
そこにはアカバネ商会の従業員達が住んでおり、賑わいもさることながら皆懸命に働いていた。
それはあの弟に影響されたからだ。
弟は、何でも出来る子だった。
今でも魂の記憶で苦しんでいるのに、人を助け義で人を従わせているのが私にも分かる。
だから、この島には『笑顔』が溢れている。
私が『剣聖』となれば、多くの人が私を見てくるようになるだろう。
私はその時、弟のようになれるのだろうか?
弟を守りたいと願ったこの力が、今では少し重たいと感じてしまう。
そんな中、お父様から顔が暗いなんて珍しいねと言われ…責務が少し重いと話してしまった。
そんなお父様からは……。
「確かに職能や他人の期待って時には重く感じる時もある、でも大事なのは自分がどうしたいか、自分が自分であるためにどうするのか、どうやって自分の愛する者を笑顔にしてあげるか、それを一つ一つ考えていけば自ずと結論は見えてくるはずだよ」
と言われた。
私は弟に恥じない姉でありたい。
あの弟を守るなんて大それた事が言えない。
だって私がどれ程頑張ってもあの弟より強くなる事が出来ないのだと知っているから。
だから弟に恥じない姉になると決めた。
そのために私は今日も強くなるため、剣を握りしめた。




