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【WEB版】被虐待児の最強転生して優しい家族に囲まれ  作者: 御峰。
奇跡の大地編

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82.ディアナの決意

 その日はアカバネ島でお姉ちゃん達の稽古を眺めていた。


 緊急組のアレウスさんの元、セレナお姉ちゃん、デイお兄ちゃん、ディアナちゃんの三名が稽古を受けていた。


 アレウスさんの明確な助言のおかげで、三人の動きはますます良くなっていた。


 稽古の途中で、身体を動かす訓練もしっかり行っていた。


 走り込みの途中アレウスさんの合図でその場で一飛びしてまた走るの繰り返し。


 終わると今度は左右に飛び跳ねて戻っての繰り返した。


 戦いでは反応力や判断力も大事なため、体力作りをしながら反応力を鍛えているという。


 実際の反応力は『素早さ』のステータスの数値で決まるが、反応は出来ても判断が出来ないと意味がないかららしい。



 その訓練を横に見ながら僕は訓練所に『水が出る魔道具』を設置して回った。


 島の気候はどうやら一定に決められるようで、ヘレナに頼んで一定に涼しい気候にして貰った。



 それから午後も稽古は続いた。


 最近は毎日こうして稽古をしているそうだ。


 稽古が終わった後、何となく聞いてみた。



「ねぇ、お兄ちゃんとお姉ちゃんとディアナちゃん」


「なにぃ?」「どうしたの?」「はい」


「皆どうしてそんなに頑張って訓練しているの?」


 皆キョトンとした顔になった。


 一番最初に口を開けたのはお兄ちゃんだった。


「だって、ライ兄様にセレナも毎日強くなっていくんだ、僕だけ仲間外れにされたくないし、何より僕は将来領民達を守る力が欲しいからね」


 と――デイお兄ちゃんが眩しい!


「私は自分の職能(才能)には恥じたくないからかな、折角素晴らしい職能を頂けたもの、この力で守りたいモノを守るだけの力は欲しいのよ」


 お姉ちゃんも立派な考えなんだ。


 最後にディアナちゃんが真っ赤な顔になっていた。


 そんな可愛いディアナちゃんはモジモジしながら口を開けた。


「わ……私は…………その……強くなって……クロウ様の護衛になりたいんです」


 えええええええええ!?


 ディアナちゃんは僕なんかの護衛を目指してくれていたの?


 こんな可愛い子に追いかけて貰えるだなんてとても嬉しい事だ。


「ぼ……僕なんかの護衛なんて」


「!? クロウ様は世界で一番大事な方です! クロウ様を守れるようになります!」


 あ……あわあわ、まあまだ子供だし、そのうち違うと気づくだろう。


 そんな彼女の頭を優しく撫でてあげた。


「うん、期待しているね? でも無理して強くなろうとせずに自分で出来る範囲で頑張るんだよ?」


 ディアナちゃんが涙を浮かべ、嬉しそうに「はいっ」と答えた。


 隣のお姉ちゃんとお兄ちゃんからジト目で見られていた。




 ◇




 ◆ディアナ◆


 その日、クロウ様から「どうしてそんなに頑張って訓練しているの?」と言われた。


 デイブリッド様もセレナ様も立派な考えをお持ちだった。


 そして私の番になり、意を決して話した。


 クロウ様を守りたいと。


 その後、クロウ様から期待していると頭を撫でて頂いた。


 その優しい手は私を救ってくださった頃から何一つ変わらず、皆を颯爽と助けてくださるクロウ様そのものだった。


 私に初めて触れてくださったのもその日だった。


 耳と尻尾がピーンとなってとても恥ずかしかったけど、クロウ様に触れられたあの感触が未だに忘れられなかった。


 お父さんお母さんからも「おめでとう」って祝って貰えた。


 私はクロウ様の護衛になるためにこれからも一生懸命に稽古を続けるのだった。



 その二日後、休店日の日。


 セレナ様から誘って頂き、エドイルラ街の冒険者ギルドに行った。


 冒険者になる予定はないけど、他の人がどれ程強いのか見るのも勉強のうちだと教わったからだ。


 私達はまだ自分達でしか訓練を積んでいないので、世界にはどんな強い人がいるのか見てみたいからだった。



 エドイルラ冒険者ギルドに入るとそこはとても賑やかだった。


 そんな私達に綺麗なお姉さんが声を掛けてくださった。


「こんにちは、お嬢さん二人で冒険者ギルドにいらしたの?」


 お姉さんは清楚な制服に眼鏡が特徴な方だった。


「はい! 私達冒険者ギルドがどんな所か見てみたくて来ました」


「そうなの……ん? 貴女……何処かでお会いしたかしら?」


「いえ? 私は今日初めてここに来るので」


「そう、何処かで会ったような~」


 そう言ってお姉さんは顎に手を当てた。


 そんな事をしていると隣から違う女性達が声を掛けて来た。



「あ? ……あれ? クロウくんじゃないな」


「うん、クロウ様、似てる、けど、違う」


「どれどれ~? あ~本当だ! クロウくんと瓜二つだね!」


 そう言ってセレナ様をまじまじと見て来た三人の女性だった。



「え? お姉ちゃん達、クロウの知り合いなの?」


「お? クロウくんに似た君、クロウくんとはどう言う関係だい?」


「私はクロウの姉だよ!」


 三人の方は驚き私達を連れて裏の個室に入った。



「私達は『スレイヤ』ってパーティーを組んでいる、私はアグネス、こちらがミリヤとサリアだ」


「やあ」「お姉様、宜しくお願い致します」


 え? サリアさんがセレナ様をお姉様と呼んでいる。


 セレナ様……面白い人って笑っている場合では……。



 それから三人の方がクロウ様と面識がある事くらいしか話せないと言った。


 しかし普通の面識ではなさそうだ、そもそもクロウ様の正体を知っているのだから。



 それと、数年稽古を重ねて来た私には、他の人の強さを何となく分かるようになっていた。


 そしてこの三名のお姉さん達――滅茶苦茶強い。


 今まで出会った女性の中では一番強い、特にこのアグネスさん。


 うちのお母さんより強い女性には初めて会った。



「アハハ~ しかし本当にクロウくんと似てるな~ しかも……その歳の割に結構強いじゃん?」


 アグネスさんがセレナ様と私を交互に見ながらそう話した。


「こちらこそだよ、私の師匠に負けないくらいに強い人に会えるなんて――世界は広いわ」


「アハハ~ まあ自分で言うのも何だが、あたいたち三人はここいらでは一番強いからね」


「そうなの?」


「ああ、あたいたちはこう見えてAランク冒険者だからね」


 Aランク冒険者――それは冒険者の中で最高位の冒険者の事です。


 クロウ様はこんな素晴らしい方々にも面識があったんですね……。



「ねえねえ! 『スレイヤ』の皆さん! 時間あるときでいいので私達の稽古お願い出来ないかな!」


「ん? いいぞ! 君達には見張るモノがあるからね。ミリヤ、サリアいいだろう?」


「もち~」「うん、師匠にも、会いたいし」


 それから私達はAランク冒険者『スレイヤ』の皆さんとも稽古して頂く事になりました。

17分失敗したぁぁぁ~! 明日から四日間は朝投稿になります!

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