36.商談
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誤字報告本当に感謝します、ありがとうございます!誤字と漢字間違い大量で本当に申し訳ないです…
「やぁ~ダグラスさんアヤノさんお久しぶりです~」
そこには顎が外れるんじゃないかと心配になるくらい口を開いているダグラスさんとアヤノさんがいた。
驚きすぎると声も出ないとはこういうことだろうか。
「この宝石は『座標石』と言って、宝石がある場所に僕が転移出来るのです」
二人から返事がない、ただの屍のようだ……。
いや、そうじゃなくて、起きてよみんな~。
この青い宝石は僕が作った「座標石」というモノだ。
転移魔法を使うためには場所が分からないと使えない、正確には場所ではなく座標だが――。
でも、僕はスキルで座標を意識しなくても場所を意識するだけで転移魔法で飛べる。
この宝石は転移魔法の座標認識部分のみを固定し、異次元空間と繋いで僕が座標を認識出来るように作った。
但し、これは色々デリケートなので一つしか作れなかった、いや、一つしか存在させられなかった。
二つ目を作ると一つ目の宝石の固定が外れるからだ。
きっと座標認識がとても高度な技術だからだと思われる。
ダグラスさんを驚かせようと効果を言わずに渡した『座標石』、そして『転移魔法』の事も話していない。
これはダグラスさんを驚かせる最後の手品だ。
思う存分驚いてくれてありがとうダグラスさん。
それから数分後、正気に戻ったダグラスさんとアヤノさんは声にならない声で何か叫んでいた。
うん、驚かせ過ぎたかしら。
更に数分後、深呼吸した二人は僕の前に正座になった。
「もう何も驚きませんと言い申し訳ございませんでした」「でした」
そう言いながら土下座してきた。
いや、そこまでして欲しい訳じゃなかったんだけどな。
落ち着いた二人に僕の『転移魔法』について話した。
「なるほど……『転移魔法』は便利ですが他の人と転移が不可能なのが勿体ないですね」
「う~ん、そこを何とか出来ないかと色々研究してるところなんです」
「その魔法があれば……私毎日ヘリネ村に帰れる……」
「まあ、いつか他の人と一緒に飛べるようになったらヘリネ村に飛んであげますからね、アヤノさん」
「はいっ! 楽しみに待ちます! 感謝します! オーナー!」
「それで、オーナー。ミリオン商会はどうしましょう?」
「善は急げと言いますから、今から行きましょう!」
「今から……ですか、かしこまりました」
ダグラスさんの案内でミリオン商会にやってきた。
「貴方様は先程の……すぐに旦那様をお呼びします」
「はい、お願いします」
数秒してボロボロになっている中年がやってきた。
恐らくこの人がミリオン商会、店主のディゼルさんだろう。
「おぉ――、ダグラス殿。どうでしたか?」
「はい、その件でもう一度お話し致しましょう」
「分かりました、さぁさぁこちらへ」
客間へ通された。
「さあ、お座りください」
そう案内するディゼルさん。
案内されたソファーの両脇にダグラスさんとアヤノさんが立ったままだ。
「ん?」
不思議そうな顔をするディゼルさん。
「では、ご紹介致します、こちらが私達の雇用主様でございます」
そう言うダグラスさんの横を通り、ソファーに座る。
「なっ!? 子供!?」
「こんにちは!」
「だ……ダグラス殿!? これはなんの御冗談ですか!!」
ちょっと怒り顔になった。
「冗談ではなく、このお方こそが私達が仕えているお方なのです」
「えっ?」
驚き顔になるディゼルさん。
ディゼルさんって顔がコロコロ変わってて面白い。
「初めまして、クロウと言います」
「あ……私は……ディゼルと……申します……」
「はい、では時間も勿体ないので早速案内して頂けますか? 例の方を治せるかどうか見てから商談致しましょう」
そう言うと諦めたのか、大きく頷きながら「分かりました」と返事するディゼルさん。
僕達はディゼルさんに付いて行った。
店の二階に行くと、廊下の奥から何となく禍々しい気配を感じた。
念のため、精霊眼を全開した。
奥の部屋に入ると、ベッドに横たわる女性が一人、病気をし、やせ細っているのに美人だと分かる程の女性だった。
もう一人、メイド服を着た女性。
「旦那様!? この部屋にいらしてはいけません!」
「フネさん、良いのだ。こちらの方々に診て頂くので構わないでくれ」
「そうですか……かしこまりました」
僕はベッドの前に行った。
彼女の状態を見るが――、これは本当に病気なのだろうか?
- レジェンドスキル『#&$%』により、レジェンドスキル『精霊眼』に詳細分析能力が追加されました。-
おや? 新しい能力が?
もう既に精霊眼を発動しているので、彼女の状態が分かるようになっていた。
どうやら彼女には『衰弱の呪い』がかかっており、その呪いのせいで色んな病気を患っていた。
しかも病気の大半が感染病になっている。
衰弱しているから感染病にかかり易くなったと推測する。
「はい、分かりました。ではディゼルさん商談といきましょう。ただこのままだとこの方は今日中にも亡くなりそうですので、軽く回復致しましょう。中級回復魔法、『ハイヒール』」
彼女に『ハイヒール』を掛けた。
下級の『ヒール』よりも数倍効果が高い中級回復魔法『ハイヒール』。
彼女の顔が少し楽になったように見えた。
「なっ!? クロウ様、娘が今日中に亡くなるとは本当の事ですか!?」
「僕の見立てですと、あと三時間程ですね」
「なっ……」
それを聞いたディゼルさんがこの世の終わりな顔になり、傍で聞いていたメイドさんのフネさんが泣き出した。
「時間もないので、急いで商談としましょうか」
それを聞いたディゼルさんは覚悟を決めたようで、別のメイドさんを呼び、貴賓室へ案内された。
数分後、ディゼルさんが色んな書類を持って来た。
「お待たせしました。クロウ様、早速ですが娘は、治せる病気でしょうか?」
「はい。間違いなく治せます」
「おぉ……、今はクロウ様にしか頼れません、どんな条件でも構いませんので提示してください」
「では、お嬢様を治療した暁には報酬としてミリオン商会そのものをください」
「……今ではこの商会には大した価値もございません、それで娘の命が救われるのならお安い物です」
「僕に取ってミリオン商会はとんでもない価値があるのですが、まぁそれは後ほど話すとしましょう」
ディゼルさんの前に事前に準備していた『契約の紙』を取り出す。
「こちらの条件を読んで頂いて、納得出来たらサインをお願いします」
ディゼルさんは素早く契約に紙を読んだ。
「はい、問題ありません。ではこちらに」
ディゼルさんのサインで契約が結ばれた。




