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【WEB版】被虐待児の最強転生して優しい家族に囲まれ  作者: 御峰。
暗黒大陸編

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306.女神石と化け物

 『世界樹』の前で少し休む事にした僕達。


 休憩中少し歩いていた僕は、『世界樹』の根元に人が通った形跡がある事に気が付いた。


 僕達はその根元を調べると、その奥に人が一人通れるくらいの古びた扉があった。


 僕達は恐る恐る、その中に入ってみる。



 中は外からの光が一切入って来ず、明かりも全くない。


 真っ暗だったので、リッチお爺さんに光って貰った。


 リッチお爺さんの眩しい光が、暗い部屋を照らす。



 部屋は何かの研究所のような場所だった。


 小さな試験管が沢山並んでいる。


 マリエルさんの工房みたいだね。


 本棚とかもあるけど中身が一つもないから、ここでどういう研究が行われていたのかは分からないかな。



 更に奥まで行くと、一際大きな試験管があったけど、大きく割れていた。



「ん? 旦那様、地面に私達以外の新しい足跡があるわ」


 ヒメガミさんの言葉で、地面を向くと、僕達とは違う足跡が大きな試験管の前まで続いていた。


 長年放置されていたようで、部屋中にゴミが溜まっている。


 その上を歩き、足跡が残っていた。


「ここはもしや!?」


 どうやらリッチお爺さんに思い当たる節があるみたい。


「クロウくんや、これは一大事じゃ、まさか…………『女神石』が何者かに奪われたかも知れぬ!」


「『女神石』?」


「そうじゃ……『世界樹』がこの大陸を支えていたように、世界を『女神様』が支えておったのじゃ、『女神様』は既に亡くなり、その力だけが残ったのじゃ、それが『女神石』なのじゃ」


「その『女神石』が、元々ここに?」


「恐らくじゃが……この大地の状況、『女神石』の消失……鑑みて『良き者』が持って行ったのではあるまい」


「その『女神石』を悪用すれば、どういう事が起きますか?」




「そうじゃな…………世界が滅ぶじゃろう。大地が……崩壊するじゃろうな」




 リッチお爺さんの言葉に、僕は鈍器で頭を殴られたかのような衝撃が走った。


 大地が崩壊する。


 僕が去年から感じ始めた『大地の揺れ』。


 あの揺れを感じる度に、不安を覚えた。


 もしかして……あの揺れが……。



 その時。


 大地が大きく揺れ始めた。


「みんな! 僕から離れないようにね!」


 ヒメガミさん、ナミちゃん、ナギちゃんが僕を囲うように抱きついた。


 僕も何が起きるか分からないので、なんでも出来るように準備している。


 頭に乗っているタマモも、肩に乗っているソフィアも身構える。


 ――揺れから一分。


 (ようや)く、揺れも収まった。


「今の揺れはいかんのじゃ!」


「リッチお爺さん、今の揺れがその『大地の崩壊』に繋がってますか?」


「そうじゃ、間違いない。何処かで『女神石』を使い、崩壊を狙っている場所があるはずじゃ!」


「では、そこを急いで探しましょう」


 僕達は研究所を後にした。




 ◇




【クロウくん! 『暗黒大陸』の北側から大きな力が伝わってくるわ!】


 僕はメティスの言葉に、みんなを捕まえて空を飛んだ。


 空の上から、北を向くと――




 ――――そこには、一際、大きいお城が見えていた。




 ここからでも見えるくらいには、大きいお城。


 しかもかなり広い町が一緒になっている。



 僕達の次なる目的地が決まった。


 北に見える町とお城。


 そこから大きな力を感じるからだ。



 更に、その町からここに向かって、長いモンスターの列が見えた。


 恐らくあのモンスターの列が今まで『ダンジョン』に入ったのではないだろうか。


 そのモンスター達は『世界樹』から北にある野営地に集まっていた。


【旦那様、やっぱりあのモンスター達に間違いないわ。ダンジョンから溢れ出ていたモンスター達だもの】


 ヒメガミさんの言う通り、あのモンスター達だね。


【このまま放置すると何が起きるか分からないので、あのモンスター達も倒してしまうか】


【そうね、あのまま集めて置いて、扉が開くと困るからね】



 僕はモンスター達が大量に集まっている野営地の空に向かった。




 ◇




 ◆とある魔族◆


 先日、ここら辺一帯のモンスター達が壊滅する事件が起きた。


 たった一日でだ。


 そんな馬鹿な話があるか!


 そんな事出来るのは、四天王の四名様くらいしか出来ないはずだ。



 噂によれば、黒い触手をうにょうにょさせた化け物が壊滅させているらしい。


 もしかして、『神獣』でも現れたのかな……。



 取り敢えず、また魔王様から送られてきたモンスターの大軍を纏めている。


 はぁ、こんなモンスターを次から次に産む魔王様って、本当に凄いな。


 今頃人間界は全滅しているだろうな……。


 はぁ……


 シュメルちゃんは元気にしてるかな……。


 あんな美人さんが人間界から帰らなくなったとの噂まであるからね……。


 せめて、僕が告白する前に――――




 って!!


 出た!!!


 空飛ぶ黒い触手をうにょうにょさせている化け物が出た!!!!


 既に触手で獲物を数匹捕まえていて、魔族四人が既に喰われそうになっている!!


 というか噂通りじゃないか!!!




 なっ!


 化け物が暴風を放ってきた!!!


 う、うわあああああ!


 魔王様から送られてきたモンスター達が全滅!?


 たった一瞬で!?




 天から少しずつ降りて来るその化け物に、俺は圧倒され逃げる事すら出来なかった。


 ただただその神々しい姿に絶望し、化け物に喰われるその時を待つのみだった。


 しかし――――。






「魔族の方ですね? 一応モンスターの方には全滅させて貰いましたので、あ、それと、北にある町について教えてくださいませんか?」


 化け物は可愛らしい声で俺を脅してきた。

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