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299.到着、暗黒大陸

 僕達は扉を(くぐ)った。


 真っ暗な部屋で何も見えない。


「では、ここは一つ儂に任せて貰おう!」


 そう話すと、リッチお爺さんは不思議な呪文を唱えた。


 そして……。


「眩しい!」


 リッチお爺さんが光り輝き始めた。


「これが我が家に伝わる全身光る魔法だぞ!」


 おお~。


 リッチお爺さんの身体全身が光り輝いている!


 ちょっと眩しくて直視はしたくない感じだけど。



 周辺を見渡すと、部屋だと思っていたけど、石とかが見えるから、ここは洞窟かな?


 どうやら一番奥らしく、道が一本だけ続いていた。


 僕達は光り輝くリッチお爺さんを後方において、道を歩いた。


 リッチお爺さんが前だと前が眩しくて前が見えないからね!



 数分歩くと、目の前に大きな扉が出て来た。


「おお~その扉はこの場所を守る為に固く閉められているはずじゃ。内側から鍵が閉められておるはず。解除すると開けられるのじゃ」


 リッチお爺さんに従って、鍵っぽい装置を動かしてみた。


 ガチャッと音が聞こえ、扉の仕掛けが動き始めた。


 機械じみた音が聞こえ、扉が中央から両脇に折りたたんでいく。


 最後は両脇に棒状になって開かれた。



 外は『暗黒大陸』の外で見ていた景色と全く同じ景色が広がっている。


「ぬああああ! 『アルテナ大陸』が……こんなにも荒れ果てた地に……聞いてはいたが、それよりもずっと衝撃なのじゃ……」


 リッチお爺さんが落ちこんだ。


「リッチお爺さんは、元々『アルテナ大陸』で住んでいたんですか?」


「そうじゃ……懐かしいの……こう見えても村長じゃったんだぞ?」


 へ、へぇ……リッチの村とか嫌だな……。


 というか、そういう村があったら、うちの奥さん達が真っ先に滅ぼしそう。


「ここは『暗黒大陸』のどこら辺なのだろう?」


「ふむ、地形が余程変わらなければ、ここは『大陸の西側』になるのじゃ」


「西側……なるほど~」


 ここから真っすぐ西に行けば、海が見えるかも知れない。


 そこからなら中央大陸も見えたりするかな?


「クロウくんは『罪の扉』を閉めたいのじゃろ?」


「『罪の扉』?」


「そうじゃ、『精霊の鍵』で扉を閉めるというのなら、この大陸にある『七つの罪の扉』を閉める事だろうなと思っての」


「ダンジョンに繋がっている扉であるなら、その扉ですね」


「ほぉほぉ、罪のダンジョンを知っているなら話が早い。その『罪の扉』はこの大陸の真ん中にある『女神の聖樹』から七つの方向に置かれておる。それぞれの場所に町が作られているはずじゃ」


 『七つ罪の扉』。


 『女神の聖樹』。


 初めて聞く言葉が出て来たけど、何となく予想出来るのよね。


「とにかく大陸の中央を目指せばいいんですね!」


「そういう事になるのじゃが、中央から扉までは結構遠いのじゃ、ここからなら『ラファエルの里』が一番近いと思うのじゃ」


「へぇ~、ダンジョンの名前と同じ名前の里なんですね」


「…………クロウや」


「はい?」


「おぬしがさっきから話している『ダンジョン』には名前がおるのか?」


「そうですよ? 全部で八つあって、『ミカエル』『ラファエル』『カマエル』『アズライール』『ガブリエル』『アリエル』『ウリエル』そして、先ほどいた『ルシファー』の八つですね!」


 僕の事が終わると、リッチお爺さんは両手の拳を握りしめて震えていた。


「そうか……ありがとうのぅ……そういう事になっておったのじゃな」


「あれ? リッチお爺さんが話していた『ダンジョン』は違うんですか?」


「いいや、違わないと思う。おぬしが話す『ダンジョン』と同じじゃ。ただ、儂は名前(・・)を初めて聞いたのじゃからな」


「そうなんですね~、僕は七つの鍵を集めて、『裏切りの間』を通ってここに来れるかも知れなかったんです」


「…………『裏切りの間』か……それは『ルシファーのダンジョン』じゃな?」


「そういう事になりますね、なんで『裏切りの間』なのかは分からないんですけどね~」


「……そうか、クロウくんや、ありがとうのぉ。おかげで良い事を知る事が出来たのじゃ……やはり、これから先も一緒に同行させて貰いたいのじゃ」


「いいですよ~僕も誰かと一緒に行けるのは嬉しいですから……でもここからは()んで行くんですけどね」


「え? と、()んで行く?」


「はい。では行きますよ?」


「ぬ? ――――ぬおおお! 何じゃこの手は!? 闇属性魔法?? え??」


 僕は『闇の手』でリッチお爺さんを優しく包み込み、東に向かい飛び上がった。




「ぬあああああああ!!!」




 荒れ果てた『暗黒大陸』の地に、リッチお爺さんの声が響き渡った。




 ◇




 ◆クロウティアが『暗黒大陸』に入った後◆


【管制塔のミューズより、関係者各位へ、緊急連絡事項がございます。クロウ様との遠話(えんわ)が途絶えました。これにより、クロウ様が『暗黒大陸』に辿り着けたと判断します。各位、作戦アブソリュートをタイプ(いち)からタイプ()に変更します! 各位、心して作戦に参加してください!】


 ミューズから各位へ、全体遠話が送られた。


 タイプ壱はクロウティアが自由に動いており、いつでも助けに来て貰える場合である。


 タイプ弐はクロウティアが自由に動けなくなり、助けは全く見込めない場合である。


 このタイプ壱と弐では大きすぎる違いがある。


 それはクロウティアが各位に取っては最強の切札となるからだ。


 どんな過酷な状態でも、彼を呼べば、何とかなるのだ。


 しかし、彼が来れないとなると、今度は逃げる事を考えなくちゃならない。


 攻めの姿勢から守りの姿勢と移行するのが、タイプ壱と弐の違いである。


 各ダンジョンでの戦いは、いつでも逃げられるような体制を整えた。

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