2.泣かない子供
本日二本目です。
◆アグウス・エクシア◆
「クロウは今日も泣かなかったか…」
「貴方、それは言わない約束ですよ」
「あ……あぁ、すまない…………しかし……」
私はグランセイル王国の三大辺境伯エクシア家の当主アグウスだ。
父親が早々に引退をして、と言うかあまりにも早すぎだろう。
取り敢えず、現当主になって、綺麗な鬼よ――げふん、綺麗な奥さんもいて、子供にも恵まれた。
ただ、最近その子供に悩みがあるのだ。
最近生まれたばかりの三男のクロウティアの事だ。
何と、産まれた時に産声をあげなかった。
最初は最悪事態の死産も考えられた。
それと言うのも、世界で一番の占い師のディグニティ様が直々訪ねて来られ仰ったのた。
「アグウス殿、今度生まれる男児様の名前に必ず『クロウ』の字を入れないと死産となるでしょう」
ディグニティ様から言われた時は僕と奥さんのフローラはあまりのショックにしばらく言葉を失った。
「けれども、名前に『クロウ』の字を入れれば死産にはならないので、絶対に入れてください」
ディグニティ様はこの世界アルテナにおいて、最も有名な占い師だ。
彼の占いは神託とまで言われ、信じない訳にはいかない。
兎にも角にも、フローラとも相談し、名前に『クロウ』の字を入れて、クロウティアと名付けた。
クロウティアは無事生まれた、しかし……一切泣かない、声を発しなかったのだ。
「仮にクロウちゃんの声が出せなかったとしても、私達の大事な子供です」
「もちろんだ。僕達の子供だ、愛している」
フローラと私の子供だ、愛してないはずがない。
「ただ、僕はクロウは声が出せないんじゃなくて、ただ泣かないのではないかと思っている」
「どうしてそう思うの？」
「クロウが起きているとき、よく周りを目で追っている、……普通の子供とは思えないくらいにね」
「アグウス……貴方もそう気づいていたのね……」
「フローラもかい？」
「うん……あの子、魔法を見たときに直ぐに目で追っていたわ、冷静にね」
「まだ三か月の赤ちゃんが魔法を目で追うか……」
どこか、普通の子供とは違う感じ、ディグニティ様の予言、僕達の子供はこの先どうなるのだろうか
◇
魔法を使って見たいけど、スキルがないと魔法は使えない。
お母さんが使っていた、りふれっしゅひーりんぐ？ はどうだろうか
- スキル『下級回復魔法』を獲得しました。-
ん！？ 回復魔法スキルを覚えた？
ステータス確認を行ってスキルに『下級回復魔法』のスキルがあった。
[下級回復魔法] - 回復系統の下位の魔法が扱える
どうやら下級回復魔法だと『ヒール』という魔法が使えるみたい。
『ヒール』という魔法は傷等を癒す魔法らしい。
とにかく魔法を使ってみたいので『ヒール』と使ってみた。
両手にふわりと淡い緑色の光が出てきた、お母さんが使った魔法に似ていた。
そしてそのまま『ヒール』を使い続けた結果…
[ＭＰ枯渇状態] - 魔法や技を使用し自身のＭＰを使い切った場合、陥る状態。六十分間激しい頭痛が続く。最大ＭＰが一ポイント増える。
と言うことらしく、ＭＰ二十ポイントを使い果たしてしまったようだ。
- 激しい頭痛を感知しました、スキル『痛覚軽減』レベル10を発動。 -
どうやら本来あるはずの激痛は無かった
- ＭＰ枯渇状態により、六十分間強制睡眠状態に入ります。 -
そして俺は気を失った。
◇
①ＭＰ枯渇状態時は本来六十分強制睡眠状態に陥る
②普通の人の場合、強制睡眠状態に入るも、激しい頭痛が起こり強制睡眠状態が解除される
③ＭＰ枯渇状態に陥った瞬間最大ＭＰが一ポイント増える
その後、さらに《天の声》さんにいろいろ聞いて見た。
④各ステータスで直接増やせるのはＨＰとＭＰのみ
⑤ＨＰを上げるには、激しい運動を行うと増えるらしい
⑥ＭＰを上げるには、ＭＰ枯渇状態に陥る方法しかない、但し職能というので最大値が増減はするみたい
⑦ＭＰ枯渇状態に一度陥った後、ＭＰを最大まで回復しないとＭＰ枯渇状態には陥らない
⑧ＭＰ最大回復は四分で一％回復する、最大回復に四百分(約六時間半)が必要
今の俺が出来るのはとにかくＭＰを増やすことしかやることがない。
なので暫くＭＰ枯渇状態を繰り返すことにした。
毎日起きて約五時間後、ＭＰが最大回復してからＭＰを使い切ってＭＰ枯渇状態に入り、六十分眠るの繰り返しを行った。
名前 クロウティア・エクシア
年齢 ０歳(男)
種族 人族(幼)
職能 未開花
レベル 1
ＨＰ 3/3 ×1
ＭＰ 0/21 ×1
力 10×0.1=1
素早さ 10×0.1=1
器用さ 10×0.1=1
耐性 10×0.1=1
魔力 10×0.1=1
精神 10×0.1=1
[レジェンドスキル] #&$% 、#!$&
[魔法系統スキル] 下級回復魔法
[スキル] 痛覚軽減レベル10,感情無効(呪),言語変換(聞)
[技] なし
