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283.神の世界②

「ほっほっほっ、そんなに咎めるでない。この子だって、必死に考えての事なのじゃから」


「ふん、そもそも、お前もお前だ。こんなガキ一人の為に、最後の力を使ってやったんだろうが!」


 目の前の男性が、神様こと、お爺ちゃんに物凄く怒っている。


「あ、あの……ご、ごめんさない、僕が何かしたのか分かりませんが、お爺ちゃんは何も悪くありませんから……」


 僕の言葉を聞いた男性は、また「ふん」と言い、目の前の紅茶を飲んだ。


 えっと……一体、何が起きているんだろう。


 そう言えば、さっき『クロノスリザレクション』を使ったとか何とか言っていたよね?



「あの……『クロノスリザレクション』って、以前、僕がリサを……助けた時に使った魔法ですよね?」



 またもや、男性の怖い目が僕を向いた。


「お前、それがどんな力なのかも分からず、使っていたのだろう?」


「えっと……ごめんなさい、リサを助けたい一心で……」


「ふん、そんな事は分かっている。そもそも、人間如きが使える力でもないからな」


 そして、男性はお爺ちゃんを見つめた。


「お前は……優し過ぎなんだよ、アマテラスよ」


「ほっほっほっ、そうでもないわい。儂に出来た事なんざ……あれくらいじゃろう」


 ポカーンとして聞いている僕に気づいた男性が、一つ溜息を吐いた。


「まず自己紹介でもしとくか、俺はシヴァ、こっちがアマテラス。お前が思っている()に等しい存在である、でも……まあ、お前が思っている程、神とは異なる存在かもな」


 えええええ!?


 勿論、こちらの男性も神様だとは思っていたけど。


 お名前は初めて知った。


 アマテラスって……確か、東大陸で『天照大神(アマテラス)』様を祀っていたよね!?


「ほっほっほっ、そう言えばまだ名乗らんかったわい、儂はアマテラスという名じゃ」


「そうだな、もう一つ言っておこう、お前の国の言葉でいうと、こいつは創生神で、俺は破壊神だ」


「破壊神!?!?」


 確かに目つき、物凄く悪いですけど!


 だから、睨まれる度に怖くなっていたのね!?




 ◇




「いい? この指輪は絶対に外しちゃダメよ?」


 セナは自分の左手の薬の指輪を指して、そう話した。


 理由は分からない。


 いつ、こんな指輪を付けたのかも覚えていない。


 それでも、とても大事な指輪だという事を勘で分かっていた。



 ――左指の薬指。


 つまり、これは……結婚指輪だ。


 何故、自分達が結婚指輪をしているのかも分からない。


 それぞれの奥さん達は、自分の左手に付いている指輪を見つめ、押し寄せる不安と戦っていた。


 そもそも、自分達四人が、何故この部屋に集まっていたのか、一緒に眠っていたはずなのに、その理由も思い出せずにいた。




 ◇




「お前が思っている神という分類なら、神は全部で二柱いて、それは俺とこちらのアマテラスだ」


 へぇ! 神様って、たった二人しかいないのね?


「そんなアマテラスは、創生と過去を象徴する神、俺が破壊と未来を象徴する神だ」


 創生と過去。


 破壊と未来。


 確かに、似ているものね。


「お前が使った『クロノスリザレクション』はな、死んだ者の時間を戻して、生き返らせる魔法(・・)だったんだよ」


 シヴァさんの説明に驚いた。


 そう言えば、幾ら一か月間ステータスが激減して、スキルが使えなくなるとはいえ、人を生き返らせたのに、そのデメリットはあまりにも少ないと思っていた。


「そもそも『クロノスリザレクション』は、人には使えない。それは、ここにいるアマテラスにしか使えない魔法なんだよ」


「ほっほっほっ、こう見えても、一応、儂も()じゃからの」


 優しい笑顔のお爺ちゃんに、僕は嬉しくなった。


 シヴァさんは何処か、お爺ちゃんに呆れたように睨んでいた。


「クロウティアと言ったか、お前は()が何者なのか分かるか?」


「神が何者??」


「ああ、神と言っても我々二人しかいないが……それでも我々は意識(・・)を持って、この場に存在している。存在しているという事は、我々もまた何かを成す為に、ここにいるという事だ」


 何かを成す為に?


「えっと……世界の行く末を見守る為……とか??」


 僕の言葉に、シヴァさんの顔がキョトンとなって、それを見たお爺ちゃんもほっほっほっと笑った。


 あれ?


「ふん、当たりだ」


 えええええ!?


 当たりだったんだ……。




 ◇




「まず、私達が皆同じ指輪をしている事についてね」


 ナターシャの言葉に、他の三人も頷いた。


「左手の薬指に指輪……これは『結婚指輪』ね」


 その言葉に、皆、顔を赤らめる。


「わ、私……結婚しているのかな?」


「私も……同じ事、思いました……」


 少し不安そうに、アリサとディアナが呟く。


「でも、皆同じ指輪よ。それはつまり私達は同じ男性に嫁いだ事になるわね」


「セナちゃんの言った通りかも知れないわ。では、次は、その男性が誰なのか、思い当たる人を話してみましょう」


 そして、四人は思い付く男性の名前を一人ずつ話し始めた。

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