281.アリエルのダンジョン
僕は膝の上にソフィアとタマモを乗せて、ギルに乗って快適にダンジョンに入ることが出来た。
『アリエルのダンジョン』は全体的に暗いダンジョンだった。
暗くて不気味だと怖がるお菊さんの為に、ダンジョンの天井に、強めに光を照らす魔法を固定した。
一応、これ光属性だけど、明るくなるから、ダンジョンが見渡せるようになった。
――――って、モンスター一匹見えないんですけど?
もしかして、スタンピードで皆倒されちゃったのかな?
ボスモンスターの所に来てみた所、ボスモンスターすらいなかった。
ボスモンスターを倒さないと、次の層には行けないのに……どうしよう……。
と思っていたけど、何故か、僕だけ二階層に降りれた。
理由は知らないけど、取り敢えず、『次元扉』で皆に来て貰った。
一階層と同じく、また光属性魔法で二階層を照らす。
やっぱり二階層にもモンスターは存在していなかった。
なんだか……不気味だね。
更にここもボスモンスターがいなかった。
そして、今回も何故か僕だけが降りられた。
それを更に七回繰り返し、十階層に来た。
ん~十階層にもモンスターの影も見えないね。
そうしたら、向こうで光る蝶々が集まっていた。
あれは、確か『鍵』の蝶々達かな?
その場所に向かうと、やはり『鍵』があって、僕は『アリエルの鍵』を手に入れた。
本当に謎だらけのダンジョンだ。
目的を果たしたので、僕達は一度アカバネ島に帰ってきた。
◇
アカバネ島では、只今、絶賛モフモフ大会が開かれていた。
白狐達が、島の子供達と遊んでいてモフモフされたみたいで、それをみた大人達もモフモフしてみたいと、白狐達がみんなモフモフされていた。
百匹近い白狐達がモフモフされている景色は、中々な壮観だね。
「くろにぃ、おかえり!」
奥さん達が出迎えてくれた。
「凄いモフモフ大会だね」
「あはは、どうやら白狐達もモフモフされるのが良いみたいで、すっかり島の住民達と仲良しよ?」
「もう!? まだ三時間くらいしか経ってないような……?」
「ご飯あげたりして、白狐達が泊まる『白狐屋敷』は、今、絶賛建設中だから、今日は他の住民さんのお家に泊まるみたいだよ?」
もうそんなに話が進んでいたのか……。
どうやら、ナターシャお姉ちゃんが次々指示を出していたみたい。
そのナターシャお姉ちゃんはと言うと、ヘレナに頼んで、白狐達用の山を作っていた。
アカバネ島にも遂に山が作られるのか……。
「あ、くろにぃ、それと以前からヘレナちゃんに頼んでいた例の場所出来てるよ!」
「ん? んと………あ! セナお姉ちゃんが話したあれかな?」
「そうそう」
セナお姉ちゃんは管制塔を建ててから、その他にも色んな建物をアカバネ島に建てていた。
何か……何処かと戦争でもしそうな雰囲気の建物ばかりなのが気になる……。
セナお姉ちゃん…………まさかとは思うけど、東大陸を侵略しよう! とか言わないよね?
◇
大きな――――体育館。
いや、屋敷にあった魔法訓練場と同じ感じだった。
ここは、セナお姉ちゃんの希望により、建てた訓練場だ。
中は二階になっていて、一階と二階で訓練を行える。
壁には僕の防御魔法が全力で掛かっており、更に『特大魔石』を三つ利用して、防御魔法を張って、四重に掛かっている。
ここなら、思いっきり稽古出来そうだと、セナお姉ちゃんが喜んでいた。
中では、既にディアナが稽古中だった。
セナお姉ちゃんもよく利用しているみたい。
噂によると、セシリアお義母さんもオーウェンさんという方とよく、ここで稽古を行っているらしい。
オーウェンさんという方は、セシリアお義母さんの警護要員で、聖騎士の一人であり、聖騎士団長だ。
元々、セシリアお義母さんとは知り合いのようで、幼馴染と言えるくらい、長い付き合いのようだ。
セシリアお義母さんが唯一、仲良くしている友人みたい。
訓練場の視察も終わって、外に出ると、丁度リヴァも戻っていた。
リヴァには、アクアドラゴンの湖とスライムランドパークの警護をお願いしている。
警護と言っても、誰も来ないんだけどね……一応、念の為に守って貰っていた。
「新しい従魔さんが出来たっていうから、来てみたら……これはまたとんでもないのを従魔にしたんだね~流石は主だわい」
「リヴァ! こちらは新しく従魔になってくれた白狐のギルだよ、ギル、こちらはアクアドラゴンのリヴァで僕のもう一人の従魔だよ!」
【アクアドラゴン殿……生きておったのか】
「ああ、そういうあんたもね」
【何とか……という所かな】
「今までどちらに?」
【ああ、東大陸の『絶山』で縄張りを張っていたよ】
「そうか、あの場所を守っていたのかえ」
【…………】
どうやら、リヴァとギルは知り合いみたいだね。
二人は懐かし話をしていたので、二人を置いて、僕達は食堂でご飯を食べた。
食堂では、お菊さんとゴロスケさんが大食いをしていた。
お二人共、物凄く沢山食べるのね!