276.新たな奥さん候補
総合Ptが遂に二万を突破しました!応援ありがとうございます!!
ヒメガミさんから、全ての事情を聞いた奥さん達はというと……。
皆、物凄く泣いた。
ヒメガミさんを囲んで、「分かる、分かる」と――。
それから、僕の家族会議――――というか、奥さん会議が開かれた。
内容は全く知らない。
奥さん達四人と、レイラお姉さんとヒメガミさんの六人で、何かの会議をしてきた。
その会議はアカバネ島で行われていて、僕は一人、首都エドオリに残されていた。
――えっと、僕、そろそろ正座止めてもいいかな?
◇
ヒメガミさんとレイラお姉さん、そしてリサが帰ってきた。
「くろにぃ」
「は、はい!」
「私達としては、レイラさんとヒメガミさんに、くろにぃの奥さんになっても良いと判断したわ」
「え、…………、えええええ!? サラッとレイラお姉さんも入ってる!?」
レイラお姉さんが顔を赤らめている。
「あんまり、奥さんを増やすのは、私達もよしとしたくはないけど……レイラさんは昔から、惚れさせた罪だからね。今回のヒメガミさんもだよ?」
「えええええ!? 僕、惚れさせた覚えは……」
――ギロッ
リサの目が物凄く怖い。
「ご、ごめんなさい……」
「うん。分かれば良し、私達の総意としては、こちらの二人を迎え入れても良いとの結論に至りました。後は、くろにぃ次第でお願いね?」
「は、はい……」
最後は優しい笑顔で、「人を救うくろにぃの妻で、誇らしんだからね」と言われた。
うう……うちの奥さん、世界一可愛い。
まさか、『お寺』にダンジョン入場の許可試験を受けに来たのに、奥さんが出来るなんて……想像もしてなかった。
まだ奥さんじゃないんだけど。
というか、レイラお姉さんはここ暫く、一緒に過ごしているからまだいいけど、ヒメガミさんは僕の事、全然知らないのに、そんな簡単に僕の奥さんになって良いのだろうか?
そう言えば、レイラお姉さんから、奥さん試験に合格したとかなんとか言っていたけど……奥さん試験って何だろう……。
兎にも角にも、今はダンジョン攻略を急がないとね。
「ダンジョンなら、私と一緒に行けば、入らせて貰えるから大丈夫よ」
と、ヒメガミさん。
「ヒメガミさん、ここに残らなくていいんですか?」
「勿論、これからは旦那様に尽くすんだから、問題ないよ?」
「うっ、そ、そうですか……仕事とか、ご家族とかに挨拶はしておかないと……」
「あ、そうだね……一応お母様に会って貰いたいけど、今すぐには会えないから、先に予定だけ取っておくよ」
そう話したヒメガミさんは、急いで何処かに走って向かった。
ほんと……台風のような人だね。
――――このまま逃げたら……。
って、隣にはレイラお姉さんがいたね。
「クロウくん、その……、私も奥さん候補として頑張るから!」
「レイラお姉さん……えっと…………」
断りたいんだけど……その目がハートになっている人を、そう簡単には断れなかった。
はぁ。
奥さん達から試験を合格したとか言っていたから……無言の圧力で、リサからちゃんと向き合いなさいと言われてたし……。
「こちらこそ……よろしくお願いします……」
レイラお姉さんの満面の笑顔が、とても美しかった。
◇
帰って来たヒメガミさんは、お母様との予定を決めて来たと言い、先にダンジョンに向かおうとの事だった。
『お寺』ではヒメガミさんが何が伝えると、お守りみたいなものを貰っていた。
あれがダンジョンの許可証なのだろうか?
え?
結婚祈願お守り…………。
一度、僕達はお菊さん達が泊っている宿屋に向かった。
ヒメガミさんを一目見たお菊さんとゴロスケさんが、いきなり土下座したのには驚いた。
それからヒメガミさんとお菊さんで打ち合わせをして貰い、僕とレイラお姉さん、ヒメガミさんは一度ダンジョンに向かう事になった。
お菊さん達は、次のダンジョンに行く時、また一緒に行くそうだ。
そして、僕達は首都エドオリの南にある町、『イセ町』に向かった。
どうやら、奥さん達に聞いているようで、飛行魔法で行きたいと言い出したので、首都エドオリに来た時同様に、レイラお姉さんとヒメガミさんを『闇の手』で捕まえて、空を飛んだ。
ヒメガミさん、めちゃ楽しそうにしていた。
それから数十分飛んで、『イセ町』に辿り着いた。
首都エドオリと同じくらい熱気に溢れた町だった。
どうやら、ダンジョンがある為、ダンジョンに通っている強者も多くて、賑わっているらしい。
ヒメガミさんに案内され、僕達は『ガブリエルのダンジョン』の前にきた。
ダンジョンの入口では、中央大陸と違い、検問所があり、許可証がある者だけ、ダンジョンに入れるようだった。
ヒメガミさんが顔を出すと、検問所にいた者、全員がその場で土下座した。
もしかして、東大陸では挨拶が土下座なのかな?