225.喪失
多くの誤字報告ありがとうございます!事情があって誤字報告をすぐ対応出来ず、溜まり過ぎてしまい、現在精査中です( ;∀;)これからも頑張りますので、何かありましたらまた報告お願いします!
「はあはあ……元に……戻っ……た?」
魔族になった教皇が不思議な力を使うと、今までの傷は嘘のように消えた。
「さて、お前達が先に倒れるか、俺様が先に倒れるか……くっくっくっ」
教皇は自信満々に笑らう。
「くっ! 『エクスヒーリング』!!」
僕も負けじと『エリクサー』と『ソーマ』を使った。
「ッ!? 何だその魔法は? ほお? 全回復しているのか? 初めてみる魔法か……いや、それは魔法か?」
教皇が驚いた。
更に、魔法でない事まで見抜きそうだ。
「ふむ、取り敢えず、お前には持久戦は通用しないという事か……くっくっくっ、あいつの希望なだけの事はある」
どうしたら教皇を倒せるの?
僕は基本的に魔法しか使えない。
もし、ここに、セレナお姉ちゃんがいれば……。
でも、ここにはソフィアがいる。
教皇はソフィアの触手を非常に警戒している。
恐らく、物理攻撃には弱いのかも知れない。
僕は『異次元空間』から特殊な大盾を二つ取り出した。
「リサ、これからこの大盾で殴って行くよ」
「え? う、うん。殴るのね」
「うん。その隙にソフィアの触手で攻撃して貰う」
【了解ッ!】
僕とリサはお互いに大盾を持って、教皇に向かった。
「ほお、今度は盾か、また面白い事を」
教皇の闇属性魔法が僕達を迎え撃ったけど、僕も負けじと光属性魔法で迎撃した。
魔法がぶつかり、魔力の残滓が広がる中、僕達は大盾を教皇の両脇から思いっきり殴った。
「くっ!?」
あまりの予想違いの行動だったのか、教皇が驚く。
その隙に、ソフィアが触手を伸ばして、教皇に叩き込んだ。
「がああああああ」
教皇の身体から大盾を通して、ソフィアの攻撃の強さが伝わって来た。
『闇の手』!
僕もすかさず『闇の手』を教皇に叩き込んだ。
教皇にソフィアの触手と僕の闇の手の音が広場に響いた。
途中、教皇の身体が真っ黒に光り出した。
「ッ!? 危ない!!」
「ジ・エンド・バースト!」
教会本部から黒い光と共に、大爆発が起きた。
教会本部が跡形もなく吹き飛ばされ、周辺の建物に大きな被害を及ぼした。
その中央には吹き飛ばされて、残った瓦礫の中に人影が三つあった。
「ぐはっ……まさか…………俺様が……ここまで……やられるとは…………」
既にボロボロの教皇だった。
そして、そこから離れて僕がいた。
「はあはあ……じ、自爆……か」
あの爆発は凄まじかった。
でも、思っていたよりは被害はなかった。
ボロボロだけど、回復で間に合いそうだ。
――――と前を見ると。
ボロボロになったソフィアが横たわっていた。
「そ、ソフィア……はあはあ……まさか……僕を?」
【ご、ごしゅ……じん……さ、ま……ぶ、ぶじ……?】
「う、うん! 僕は無事だよ! ソフィア待っていて、今、治し――――」
――――ソフィアが僕の前から消えた。
顔を上げると、そこにはボロボロになった教皇が立っていた。
ソフィアは教皇に蹴られ、吹き飛ばされていた。
「き……貴様だけは……許さんぞ! 貴様の……この大事な、娘を……貴様の前で……」
教皇が左手で気を失っているリサを抱えていた。
「や……やめろ!!」
教皇は微笑を零し、右手で――――
――――リサの心臓を貫いた。
目の前に右胸に穴が空いたリサが落とされた。
あ……ああ…………
リサ?
そんな……
どうして?
どうしてリサが……
どうしてリサが死ななきゃいけないの?
僕は……
また……
君を守れなかった。
ぼくは……
『エリクサー』
………………、
『ソーマ』
………………、
『エクスヒーリング』
………………、
ねえ、リサ、どうして目を開けないの?
僕は……この力で、今まで何人も救って来たんだよ?
どうして、リサは助けられないの?
「くろにぃ」「くろにぃ!」「くろにぃ……」「お兄ちゃん」「黒斗お兄ちゃん」
あああ……ああ…………
リサ、僕を置いて行かないで。
お願いだ……。
もう……。
もう離れたくない……。
「くっくっくっくっ! その顔だ! 貴様のその顔が見たかった!! クハハハハッ!」
また回復した教皇が笑っていた。
「――――」
「クハハハハッ!」
「――――る」
「ん? どうした! クロウティア! ほら、俺様を――――」
「何を笑っている!!!」
「なっ!?」
僕のありったけの殴りに教皇は吹っ飛ばされた。
「ユルサナイ……キサマダケハ……キサマダケハ! ゼッタイニユルサナイ!!!」
僕は怒りに支配されていた。