19.レベリング②
階層転移は転移魔法と同じ感覚だった。
そして目の前に広がったのは大きい森だった。
「スキル『感知』発動」
ミリヤお姉さんの身体が一瞬青色に光った。
「こうやって、私のスキルで周辺の状況を把握して狩りをするの」
なるほど
「正面から右手にマンイータ一体のみ、その周り無し」
「おっけー まずはマンイータで試して見るか」
そう言いお姉さんたちが足早に移動した。
さすがに高ランクの冒険者なだけあって、移動時の速度も速く鮮やかだ。
「まじか――クロウくんってこのスピードに付いて来れるのか……」
ボソッとミリヤお姉さんが呟く。
「魔法職でレベル一なのに、信じられん速さだな」
なんやかんや素早さ百程あり、何とか『スレイヤ』のみなさんに付いて行けた。
素早さ百ってどれくらい早いのだろうか？
そして着いた場所から二十メートル程先にウネウネと動いてる大きい花がいた。
「あれはマンイータだ、触手に捕まったらすぐに触手を斬らないと喰われるから気をつけな」
「はいっ」
「ではまず、小手調べと行こう。クロウくんの魔法がどのくらい使えるか分からないから、先制攻撃はクロウくんからだ」
「分かりました！」
「大丈夫、その後はあたいらに任せな。思いっきり行っちゃって！」
「思いっきりですね！ 分かりました！」
とても緊張する、初めての狩り…アグネスお姉さんから思いっきり行けと言われたし、やってやる！
「あ、因みにあれの弱点って何属性ですか？」
この世界のモンスターには必ず弱点属性というのがある、もちろん逆の耐性属性も存在する。
「ん？ マンイータは火属性が弱点だが、使えるかい？」
「はい！ では行きます！」
三人の前に立ち、マンイータに両手をかざす、思いっきり――思いっきり！！
「火属性魔法！ 思いっきり！」
先日訓練所で試したあの魔法を撃とう。
両手の前に直径五十cm程の火の玉が現れた。
そして……、
「えっ、なに、それ」
「は？ 火属性魔法？」
ドドドドドドドドドドドドドーーーーードガーーーーーーーーーーーーーン
火の玉が一瞬でマンイータに命中し、その火の玉が爆発、マンイータがいた場所から向こう範囲に五十メートル程灰になった。
あれ？倒せたの？
取り敢えず、後ろを向きお姉さん達を見た。
みんな顎が外れてるんじゃないかってくらい顔になっている。
- 経験値を獲得しました。レベルが上昇しました。-
あ、《天の声》さんがレベル上がったって教えてくれた。
無事倒せたみたいだ。
「な……なんとか、倒せたみたいです！」
「なんとかってレベルじゃないわよ！！ 何なのよ！？ あの魔法は！！」ミリヤお姉さん
「はぁぁぁぁぁぁ？ あ？ は？」アグネスお姉さん
「意味、わかん、ない」サリアお姉さん
◇
この爆発事件はのちに、魔道具の暴発により起きた事とされ、奇跡的に被害者無しだったため、詳しい調査はされなかった。
直径約五十メートルの爆発をただの魔法だと思うような人は存在しなかったという。
それはクロウのまだ知らない一つの物語である。
急いでクロウを担ぎ、訳も分からず魔法陣へ戻って来た『スレイヤ』の三人。
気づいたら全員ダンジョンから出ており、ダンジョン前にある、宿に入っていた。
『スレイヤ』はこの宿に専用部屋を借りており、自由に出入りしていた。
「まままままず、くくくくろうくん？ くろうさま？ あれは何？ いや、あれはなんですか？」
ミリヤお姉さんが慌てて聞いてきた。
「えっ……と、弱点が火属性と……だから火属性魔法を使って……？？」
「いや、あれ、魔法、なの？、詠唱は？、魔法名は？」
「ん……？魔法って詠唱とか魔法名とかあるんですか？」
「はあああ？？？」
「えっと、ある、詠唱ある、魔法名ある」
もうお姉さん達が驚き過ぎて呂律が回ってない。
アグネスお姉さんが先から「はあ？」しか言ってない、あと顎外れそう。
「えっと、ごめんなさい、詠唱も魔法名も使ったことが無くて…」
「いやいやいやいや、くろうさま？ じゃあどうやってまほうつかえるんですか？？」
「え？ こんな感じで？」
右手の人差し指を上に向き、人差し指の先に小さな炎を灯して見た。
「ええええええええええ」ミリヤお姉さん
「はあああああああああ」アグネスお姉さん
「…」気絶したサリアお姉さん
「？？？？？」僕
「あれ？ これ普通じゃないんですか？」
「普通な訳ないでしょう！！！！！」「ふつうなわけないでしょう！！！！！」
二人は見事にハモるのであった。
◇
◆執事のサディス◆
「さて、お坊ちゃまはしっかりモンスターと戦えているのでしょうか？ Ａランク冒険者が三名も付いてますし、大丈夫でしょう。お坊ちゃまも色んな魔法を試して来てくださることでしょう」
その時サディスはまさか、あのお坊ちゃまが初めて実戦で使った魔法が、人類歴史の中でもトップクラスの破壊魔法を使用したとは夢にも思わなかった。
名前 クロウティア・エクシア
年齢 ５歳(男)
種族 人族
職能 アザトース
レベル 5
ＨＰ 50×10=500
ＭＰ 800×50=40000
力 50×10=500
素早さ 50×10=500
器用さ 50×10=500
耐性 50×50=2500
魔力 50×300＋5000=20000
精神 50×300=15000
[レジェンドスキル] #&$% ,#!$&,異次元空間魔法
[魔法系統スキル] 中級回復魔法,火属性魔法,水属性魔法,風属性魔法,土属性魔法,転移魔法,氷属性魔法,雷属性魔法,霧属性魔法,光属性魔法,闇属性魔法,影封印
[スキル] 痛覚無効,睡眠無効,言語能力,魔法超強化,多重魔法発動,魔法調整,魔法無限固定,魔力高速回復,魔力超上昇,魔法高速演算
[技] ＭＰドレイン
本日獲得したクロウくんの新しいレジェンドスキルですが、これからの物語で大きく活躍します、どう活躍していくのか是非楽しみにして頂けたら幸いです。
しかし何処かにおすすめ効果音の書き方の参考書とか売ってませんかね…
