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204.鼠

累計PVが何と400万突破しました!!ありがとうございます!!


そして、いつも誤字報告、ありがとうございます!!

 デイお兄ちゃんがミリヤお姉さんに婚約を申し込んだ。


 元々仲が良かった二人なので、ミリヤお姉さんも承諾したけど、実はグランセイル王国の大貴族家系に、獣人族と結婚した人はいないそうで、アカバネ新聞で『エクシア家、次男が獣人族の女性と婚約!』が発表されると、多くの貴族の中で波紋を呼んだ。


 当のミリヤお姉さんも物凄く気にしていて、「今でも断りたい……」って呟いていた。


 でも、意外な事に、デイお兄ちゃんが「それなら、僕がエクシア家を出て、平民になるよ」と言ったそうだ。


 それはもっとダメだと、ミリヤお姉さんも諦めて、結婚に向けて真剣に交際が始まった。



 それにしても、ライお兄ちゃんもデイお兄ちゃんも年上の女性が好きなのかな?




 ◇




 本日はアカバネ大商会の会議に参加した。


 いつものようにディゼルさんが進行が進めた。


「では、今回の会議で最も問題になっている、帝国支店の件です」


 既に帝国の四つの支店が半年程稼働していた。


 販売業はしていないので、あくまで買取業のみを行っている。


 おかげで、帝国に税金も納める事もなく、半年間進められていた。


「買取は順調で、相場より一割程安く買い取っていますが、それなりに在庫は増えております。ただ、帝国の物価がグランセイル王国よりも倍程高くなっているので、このまま買取を続けるべきか、撤退するべきか、悩んでいる所です」


 帝国で買い取った物をソフィアが直してくれたとして、グランセイル王国で売るとなっても、利益は全く出ないという。


 それもそうだよね、そもそもの物価が違うんだから。


 しかし、アカバネ大商会が定価(・・)で売り始めると、帝国内の物価に深刻な変化を齎すはずだ。


 それはあまり良くないとの結論に至った為、現在も販売はしていなかった。


「では、暫く買取額を一割から三割に下げましょう。それならそもそも買える量も減るはずなので、一旦様子を見てみましょう」


 僕の案で、一先ず様子見となり、帝国の四つの支店はまだ維持される事となった。


「それと、アヤノからの報告ですが、どうやら帝国の各支店に我々を監視する者達がいる件についてです」


「あ、以前報告にあった件ですね」


 実は、帝国支店を開いたその日から、我々を監視する者達がいた。


 何処の誰なのかまでは分からないけど、相当()い事だけは確かだと報告を受けていた。


 一応、もしものために、各支店の従業員達には避難優先で指示を出している。


「どうやら、彼らにも動きがあるようで、監視する者の数が()えているそうです」


「それは……ますます怪しいですね」


「ええ、それともう一つ、大事な報告がございます」


 ダグラスさんの顔が強張った。




「帝国内部が、軍事強化を行っている模様です」




 ダグラスさんから衝撃の報告を受けた。




 ◇




 僕は急いでお父さんに事情を説明して、おじいちゃんの元を訪れた。


「小僧に、クロウティアか――――、何かあったんだな。ディアル! 例の部屋に案内しろ」


 僕達は執事ディアルさんの案内の元、おじいちゃんの屋敷の奥に向かった。


【ご主人様!】


 ソフィアが僕を呼んだ。


【ああ、やっぱりいた(・・)ね】


【うん! 間違いないよ、どうするの? 今なら追えるけど】


【じゃあ、ソフィアの分体で追ってくれ】


【分かった!】


 この屋敷の()にも、隠れていた。


 ――例の帝国で商会を監視している者と同じ者だろう。


 一先ず、ソフィアの分体に追うよう指示して、僕達は奥の部屋に入った。




 ◇




 その部屋には、結界のような魔法が掛かっていた。


 内側と外側を隔離する結界のようだった。


 暫く待っていると、おじいちゃんがやってきた。


「お義父様、急な面会、申し訳ございません」


「良い、急ぐ程の事なのじゃろう?」


「はい」


 おじいちゃんとお父さんと僕はソファーに座った。


「では、聞かせてくれ」


「はい、クロウからの情報です。現在、アーライム帝国内部で軍事強化(・・・・)を行っている模様です」


「!? なんだと!?」


 おじいちゃんが怖い表情になり、立ち上がった。


「クロウティアや、それは本当なのか?」


「はい、うちのダグラスさんからの情報です。その後、僕も帝国内部を少し調べてみました。間違いなく軍事強化を行っています」


 おじいちゃんは大きく溜息を吐いて、座りなおした。


「それに、この屋敷にも『鼠』がいました」


 それを聞いて、おじいちゃんはますます強張った表情になった。



 『(ねずみ)』というのは、僕達が決めた帝国支店を監視する者達の通称名だ。



 勿論、その存在の事は、お父さんにも、おじいちゃんにも伝えてあった。


「今、僕の従魔の分体で『鼠』を追っています。もしかしたらその正体も分かるかも知れません」


「そうか……、カイザめ……、遂に『彼女』を取り返しにくるか……!」



 『彼女』……僕の前世のお母さんにして、現聖女様である、セシリアさんの事だ。



 僕はこの半年で失っていた『生きる目的』を見つけ出した。


 それは『愛する人達を守る』事だった。


 帝国支店が監視されていると報告があった時は、大きく不安を感じた。


 メティスから、不安を感じたのなら大事にした方が良いと言われていた。


 だから僕に出来る事をしようと決め、その監視している者達を追う事にしていたのだ。


 『鼠』……彼らが誰かは知らないけど、僕の家族に危害を及ぼすなら……それが帝国であっても、僕は容赦するつもりはない。

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