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188.ライフリットの告白

本日は四話投稿になります(*´ω`*)

 遂に今日がやって来た。


 そう。


 ライお兄ちゃんが――――まさかのアグネスお姉さんに告白する日が。




 ◇




「あの……レオナさん」


「はい? どうしましたの? クロウくん」


「えっと、その、第二婦人で良い理由……聞いてもいいですか?」


 初対面だった日、気さくなレオナさんは、すぐに僕の事も受け入れてくれて、気楽に呼んでくれるようになっていた。


 そして、ライお兄ちゃんからレオナさんを必ず奥さんに貰うと公言してくれたので、折角だからとアカバネ島に一緒に連れて来ていた。


 最初はとても驚いていたけど、どうやらライお兄ちゃんから弟のクロウティアは世界一凄い弟だと言われていたからと、納得したようだった。



「ふふっ、わたくし、自慢ではありませんが……こう見えてもとてもモテますのよ?」


 レオナさんは、ナターシャお姉ちゃんやセレナお姉ちゃん達に比べたら――――同じくらい綺麗な方だ。


 気の強そうな雰囲気があるものの、静かにしていると、とても上品に見える。


「クロウくん、今とても失礼な事、思ってませんの?」


 ぐはっ!?


 読まれている!?




「そんなわたくしを……あの方は、一目みて、興味なさそうにしてましたわ。だから、沢山アプローチをしてみたんですが……わたくしなんて眼中にないではありませんか」


 ライお兄ちゃん……強くなる事にしか興味なかったって言っていたしな。


「だから、ライフリット様を振り向かせようと色々頑張ってるうちに……わたくし、ライフリット様を好きになったと気づきましたの」


 レオナさん、とても純粋な心の持ち主のようだね。


「ライフリット様が先に愛した女性を、わたくしが認めなくて誰が認めますの、だから彼女が先でもわたくしは何とも思ってませんわ、ただ……出来るなら、わたくしの事も愛して欲しいとは思っていますわ」


 レオナさん……。


「クロウくん」


「はい?」


「貴方はライフリット様よりも、もっと多くの女性に囲まれておられるのでしょう?」


「ええええ!? そんな事は……ないと……思いますけど……」


「さっき程、挨拶させてくださった、セレナ様、ナターシャ様、アリサ様、ディアナ様」


 ううっ……。


「一人は血縁者ですね、一人は前世の血縁者でしたものね、一人は元奴隷、一人は歳の差がありますわね」


 うっ……。




「それがどうしたのです?」




「え?」


「ですから、それがどうしたのかと聞いたのです」


「どうした……って……言われても……」


「そんなモノ(・・)、クロウくんの心一つでどうにでもなる事ではありませんの?」


 僕の……心一つで?


「大事なのは、理由ではなくて、結果なのです。わたくしは例え、二番目になろうとも、ライフリット様に愛させる結果があるのなら、全く構いませんもの」


 そして、レオナさんは右手の人差し指で僕の左胸を軽く当てた。


「貴方の、心は、そんなモノですの?」




 僕はその言葉に衝撃を受けた。


 僕は……僕がしたい事は――。




 ◇




 アカバネ島には沢山の人が集まっていた。


 今日は月一ある、休日を皆で一緒に過ごす日だからだ。


 エクシア家だけでなく、アカバネ商会に関わっている殆どの人が、今日はアカバネ島で羽を伸ばすのだ。


 旅館の従業員達だけは頑張って貰うけどね。



 僕の知り合いの一団で旅館に泊まる事になっている。


 そして、みんな風呂に入り、食事会となった。


 みんな和気あいあいと食事をしている――が。


 四人だけソワソワしていた。


 ライお兄ちゃんとお父さんとお母さんと僕だ。


 だって……これから――。




 食事が少し進み、それぞれ談義をしながら過ごしていた、その時――――。


 ライお兄ちゃんが遂に動いた。



 自然体で、でも何処か真剣な雰囲気を(かも)し出していた。


 ライお兄ちゃんはアグネスお姉さんの前に立った。


 そして――――――。





 アグネスお姉さんの前に跪いたライお兄ちゃん。


 それに驚くアグネスお姉さん。


 そして右手に指輪と共に――




「アグネスさん。僕と――――結婚してください」




 あまりの突如な出来事に会場内は騒然とした。




「ちょ、ちょっと待って! ライくん!? あた――――」


「ずっと好きでした。アグネスさんの生まれも、育ちも、現状も、全て知っているつもりです。それでも僕は――――貴方が好きだ」


「まままま、待って。あた――――」


「いいえ、僕はもう決心しました。どうか、僕の――妻になってください」


「な、な、な、な」


 皆が見る中、アグネスお姉さんが物凄く狼狽えていた。


 ――――そして。






 アグネスお姉さんが旅館から逃げ出した。


 そんな彼女をライお兄ちゃんが追いかける。


 僕はセレナお姉ちゃんと目を合わせ、分かったと言わんばかりに、飛行魔法で旅館の外に飛んだ。


 セレナお姉ちゃんは飛行魔法が使えないので、ソフィアが変わりに付着飛行している。



 くっ、さすがはアグネスお姉さん、滅茶苦茶早い。


 しかし、この島に逃げ場などないのだ!



 僕の土属性魔法でライお兄ちゃんからアグネスお姉さんまで一直線に囲ってしまった。


 アグネスお姉さんが恨めしそうに僕を見上げていた。


 アグネスお姉さん……少し泣いていたのね。



 アグネスお姉さんにたどり着いたライお兄ちゃんは、彼女を優しく抱きしめてあげた。





 そんな二人を見守っていると、セレナお姉ちゃんが近づいてきた。


 そして僕達は二人を優しく見守った。

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