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186.兄の許嫁

 本日は、マグノイア街に一人で来ていた。


 マグノイア街にはライお兄ちゃんがいるので、相談に来た。


 ライお兄ちゃんは相変わらず、おじいちゃんの所で訓練を受けている。


 僕はバレないように、訓練場の片隅でじーっと眺めていた。



 ライお兄ちゃんはとても爽やかなイケメンさんだ。


 お父さんに似て、男らしくてとてもカッコいい。


 身長も高くて、見る者は誰でも振り向くくらいにイケメンさんだ。


 アルテナ世界では、男性より女性の方が多いらしい。


 僕の周辺ではそう感じなかったけど、アカバネ商会の従業員達を見ていると、その差が良く分かった。


 お兄ちゃんの訓練を一目見たメイドさん達がみな顔を赤らめている。


 さすが、お兄ちゃん! モテモテだね!



 実は昨日、イカリくんに恋人について相談した所、凄く怒られた。


 何でも、僕が凄くモテるらしい。


 そんな事ないでしょうと言ったら、あちらこちらに連れて行かれて……。


 僕は家柄でモテてるのかも知れないと思ってるんだけど、イカリくんから更に怒られた。


 だから、今度はライお兄ちゃんにも相談してみる事にしたのだ。



 お兄ちゃんを眺めていると――。


 綺麗なドレスを着た女性が僕の前を立ちふさがった。


「貴方、クロウティアさんですね?」


「へ!? は、はい!」


 あれ? 僕隠れているはずなのに、良く見つけられたね??


「初めまして、わたくし、レオナ・ティドベットと申します」


「は、はい、僕はクロウティア・エクシアです」


 いきなり現れて、挨拶された。


 この方、誰だろう?


 彼女は僕を下から上までじーっと観察した。


「成程、ライフリット様とはあまり似てませんね」


「うっ、ライお兄ちゃんはお父さん似ですから……」


「お、お兄ちゃん!? ……これは聞いていた通り、凄いお方ですわね」


「???」


「こほん、本当に貴族らしから()お方なのですわ、ライフリット様から話は聞いておりましたが……実際会うまで信じられませんでしたもの」


「????」


 レオナさんは一人で話しては、一人で納得しているのだった。


「では、もう一度、ちゃんと自己紹介した方が良さそうですわね、わたくし、レオナ・ティドベットはライフリット・エクシア様の――――許嫁ですわ」


 ……


 …………


 えええええ!?


「えええええ!?」




 僕の驚く声を聞いた訓練場の皆さんが、こちらを見た。


「なっ!? クロウくん!? レオナまで!?」


 驚いたライお兄ちゃんが、こちらに走ってきた。




 ◇




 ライお兄ちゃんの訓練が終わるまで、僕とレオナさんはテラスで待つ事になった。


 レオナさんからはライお兄ちゃんの子供の頃について、色々聞かれて、答えられる範囲で答えた。


 でも、ライお兄ちゃんって殆ど稽古と勉強ばっかだったから答えられる範囲も少なかった。



 訓練を終えたライお兄ちゃんが来てくれたので、レオナさんには少し席を外して貰った。



「まさか、あんな所で盗み見されてるとは思わなかったよ」


「うぅ……ライお兄ちゃんの訓練を邪魔したくはなかったから……」


「ふふっ、クロウくんらしいね、それで、本日はどのようなご用件でしょうか? クロウ姫」


「ええええ!? なんでお兄ちゃんもその名を!?」


「くくっ、だって、今最も有名なのって女神クロウティア様とクロウティア姫だよ?」


「えええええ!? 僕、男なんですけど!?」


 僕、ちゃんとエクシア家の三男って紹介されたはずなんだけどな……。


 ライお兄ちゃんは僕をからかって、ずっとクスクスと笑っていた。


「そう膨れるなよ、ますます可愛くなるよ?」


「可愛くないです!」


「あはは、まぁ、これで元気出たようで良かった」


 くっ、またからかわれた……。


「それで、クロウくんはどういう用事で来てくれたの? 遊びに来たようには見えないしな」


「えっ……と、実は……、ライお兄ちゃん、恋人っている?」


「ブフ――ッ」


 ええええ!?


 それ吹き出す事なの!?


「ゲホゲホ――――、まさか、クロウくんからそんな事聞かれるとは……」


「むっ」


「あはは、そうだな。今日のクロウくんは恋の相談にでも来てくれたのかな?」


「こ、恋って程でもないんだけど……」


「クロウくんのお目に叶う女性は誰かな? アリサちゃん? ディアナちゃん? それとも――セレナちゃん?」


「ブフ――ッ」


 なんでそこでセレナお姉ちゃんの名前も出て来るの!


「えっと……僕ってモテな――」


 ええ!? ライお兄ちゃんが既にジト目に!?


「――いと思っていたけど、そうでもなかったみたいで……」


 ライお兄ちゃんが驚いた。


 ふぅ……。


「それで、ライお兄ちゃんは恋人とか……その、許嫁さん? とかどうなのかな~って」


「ああ、レオナに聞いたのか」


「うん、さっき自己紹介してくれたの、ライお兄ちゃんって許嫁さんいたんだね?」


「許嫁というか……、僕に()てたら許嫁にしてあげてもいいよと言って、負けたのさ」


「ええええ!? ライお兄ちゃんが負けたの!?」


「あはは、うん。その話はまた今度してあげるよ」


 ライお兄ちゃんは既に上級剣士程に強いのに……、あのレオナさんって一体何者なのだろう?



「それで、恋人が良く分からないクロウくんは、僕の恋人事情が知りたい、そういう事なのね?」


「えっ……と、はい……そうです……」


 ライお兄ちゃんはふふっと笑って話してくれた。

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