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183.別荘

 ◆アカバネ島クロウティア屋敷内の秘密の部屋◆


 その部屋には、三人――、いや、二人と一匹がいた。


【我の名前はリヴァという、先輩方二人共宜しく頼む】


 一人、リヴァはそう話した。


【私はソフィア! ご主人様の最初の従魔だよ!】


【私はヘレナと申します、よろしくお願い致します】


 もう一人と一匹も自己紹介をした。



 ――そう、ここは従魔達の秘密の部屋だ。



【生きた日数は我が一番長いが、(あるじ)に従属したのは我が一番遅い、新参者なので先輩方、何かあったら何でも言ってほしいのじゃ】


【うん! 私はご主人様以外とは話せないし、ヘレナは島の外には出られないから、その時はお願いするね!】


【ああ! お任せあれなのじゃ】




「それにしても、アルティメットスライムとガーディアンか……、我のアクアドラゴンですら霞んでしまうの……、流石は主だの……」




 ◇




 僕の仲間になったリヴァ。


 彼女に島や屋敷、エクシア家を紹介して回った。


 リヴァからは「これからはクロウ様が主じゃ、我の事は呼び捨てで呼んでほしいのじゃ」と言われた。


 生きていた期間は長いけど、従魔契約とはそういうものだとの事だった。



 それとリヴァから言われたのは、ソフィアの存在も大きいとの事だ。


 『アルティメットスライム』ってそんなに凄かったのかと……。


 確かに、うちのソフィアは万能だ。


 最近では色んな品を複製してくれているし、分体を沢山作ってくれて、作業効率だけでなく、僕の大事な人達の護衛も兼ねている。


 ソフィアは基本「大した事ないよ~」と緩く言ってくれているけど、やっぱり凄い従魔なのだとリヴァの話で、ますますそう思えた。





 リヴァの案内が終わり、今度はクリア町の視察に再度訪れた。


 クリア町では、リィリさんが懸命に指揮を執っている姿が見えた。


 『テーマパーク』予定地が広くなったので、その場所決め等を決めているようだった。


 既にアカバネ商会の調査隊が多く参加していた。



「リヴァ~」


「どうしたんじゃ? 主」


「えっと、ここに『テーマパーク』を建設する予定なんだけど、良いかな?」


「ん? 先日言っておったモノか、良いのではないのか?」


「えっと、ここってリヴァの支配領域でしょう? 知らずにここまで町とか大きくなったから……」


 リヴァはクスっと笑った。


「なんじゃ、そういう事か、主は我の主となったのじゃ」


「??」


「つまり、我のモノは全て、主のモノじゃ。我の支配領域は、既に主の領域だから好きにしてくれて良いのじゃ」


「ええええ!? そうだったの!?」


「ふふっ、主は本当に欲がないお方じゃのう~、もしご所望ならこのか――――」


「それは良いから!」


 もう! リヴァも僕をからかってくる!


 取り敢えず、リヴァが良いと言ってくれているし、予定通り、ここに『テーマパーク』を建設しよう。



「あ、そう言えば、湖で漁を行ったり、船作ってもいいかな?」


「ふふっ、本当に主は――――、良いに決まっておろ?」


 リヴァは優しく微笑んで、僕の頭を撫でてくれた。


 リヴァの優しさが伝わってきた。



 それからダグラスさんにはクリア町での『テーマパーク』を進めるのと一緒に、アクアドラゴンの湖での漁や船の件を伝えた。


 ダグラスさんから領主のギムレットさんとの交渉を行って貰い、これからは漁や船で観光も出来るようにして、『テーマパーク』を更に盛り上げたいと思っている。




 ダグラスさんに報告が終わり、僕達はリィリさんに案内されて、クリア町にある大きな屋敷に案内された。


 この屋敷、湖が一望できる場所に建っており、ちゃんと塀もあって、貴族様の別荘みたいな屋敷だった。


 庭も綺麗に整備されており、掃除も行き通っていて、外から見かけただけでしっかり管理出来ている屋敷だと分かった。


 昨日、クリア町に来た時、一際目立っていたのでセレナお姉ちゃんと凄い屋敷だね~と感服していた。



 屋敷に入ると――


「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」


 ええええ!?


 リィリさん?


 え?


 僕?


 セレナお姉ちゃん、何か知ってる?


 え? 知らない?


 リサとディアナも?


 え?


 リィリさん?


 ここ、僕の別荘!?!?


 ええええ!?


 僕、別荘なんか建てた覚えないんですけど!?!?!?




 リィリさんに案内されるがまま、食堂に案内された僕達。


 そして説明があった。


 なんと、ここは、バレイント領の全ての住民達が感謝を込めて、全額住民達の出資で作られた別荘だという。


 バレイント領ではアカバネ商会の所為(おかげ)で住民税が無しになってしまった。


 更に、畜産業の勧めも全額アカバネ商会の投資で行っていて、バレイント領は今ではとても潤った生活を過ごせていた。


 そんな全ての住民達からのお礼がしたいという事で、数年間少しずつ集めたお金で、この別荘を建ててくれたそうだ。



 ここで勤めてくれているメイドさん達はアカバネ商会の従業員さんで、料理は基本的にアカバネ島の料理が運ばれてくるので、料理人さんはいない。


 ちゃんと庭も整備しているらしくて、食堂から窓の向こうには庭と共に、美しい湖が広がっていた。


 僕達は食事を取り、本日はこの別荘で過ごす事となった。

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