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182.リヴァの契約

 食事中、リヴァ様は淡々とした口調で、彼女の過去話しを語ってくださった。


「ん? どうしたんじゃ、何故みんな()いておるのじゃ?」


 そうだった。


 僕達全員、リヴァ様の過去に涙をしてしまっていた。



 ホフマン様の名前が受け継がれていない理由。


 それは恐らく、息子であるビルド様がそうしたのだろう。


 死んだ訳ではないのに、一生の別れ。


 リヴァ様の話しっぶりからすると別れるまで、お互いを愛し合っていたようだから……。


 それはもう悲しかったんだろう。


 ホフマン様もビルド様も。


 だから敢えて、ホフマン様の名前も残さない事で、お父様とお母様が一緒に眠りに付いたと思いたかったのかも知れない。



 それからビルド様も大好きだった、お母様――――リヴァ様を忘れまいと大橋事業を続けていたに違いない。


 その証拠に、この大橋建設の初期記録に『ビルド様』の作業時間が記入されていた。


 人生、ほぼ全ての時間を大橋事業に使われていた。


 それは既に、大橋事業の段階で、僕も見ていた記録だった。



 食事が終わり、ギムレットさんは過去の記録をリヴァ様に渡した。


 リヴァ様は静かに一人で、テラスでその記録を見てくださった。



 ――「ドラゴン族は、人に化けている頃の記憶なんてあやふやなモノなのじゃよ、我もホフマンと過ごした記憶はあまり覚えておらんのじゃ」と仰っていた。


 でも、そうだとしても、その記憶が全て消えている訳ではないはずだ。


 何故なら、テラスで一人、彼女の静かに泣く声が、それを証明するかのようだったから。




 ◇




 次の日。


「ギムレットや」


「はい、高祖母様」


 ギムレットさんは、リヴァ様を高祖母様と呼ぶようになっていた。


 確かに直系家柄だものね。


「では、契約を果たして貰うぞ?」


 あっ、契約の件、すっかり忘れていた。


「え……っと? 契約……ですか?」


 ギムレットさんも初耳のようだ。


「そうじゃ、我が起きた時、思いっきりあれ(・・)を食わせてくれるとホフマンと契約しておったのじゃ!」


「は、はぁ……」


 まだギムレットさんには、リヴァ様の契約の件は話していなかった。


「リヴァ様、その契約、僕が代わりに果たしても良いですか?」


「ん? おぬしがか? 我は構わないが……、おぬしとは関係のない話ではないのか?」


「確かにその契約だけ見れば、僕はバレイント家とは関係ないのかも知れません。けど、これからクリア町では僕の商会が大きな事業を展開するので、契約を肩代わりする事で、ギムレットさんに恩を売れますから」


「く、クロウ様!? まだ話も分かりませんが……」


「ふっふっふっ、ギムレットさんは僕に任せといてください! あとは僕が円満に解決しますから!」


「え、円満に……、それが一番心配なのですが…………」



 僕はリヴァ様を支店に連れてきた。


 そして、アカバネ島に招待した。




 ◇




「なっ!? これは空間を……移動した?」


 リヴァ様が驚いた。


「はい、ここは僕の島ですよ~」


「ん? ここは……この魔力の雰囲気は、まさか!? 『魔導島』かえ!?」


「そうです! リヴァ様、詳しいんですね!」


 リヴァ様は驚いたまま、僕の案内で屋敷に迎え入れられた。


 ――――そして。



「リーナ、例のモノの準備は?」


「クロウ様、既に用意しております」


「ありがとう!」


 うちのメイド長リーナに案内されて、リヴァ様と共に宴会場にやってきた。


 そして、そこに大量にとあるモノが用意されていた。




「はい! リヴァ様、こちらが契約(約束)していた――――ワイバーンの肉です!!」




 宴会場には美味しそうなワイバーンの料理が、ずらっと並んでいた。


 昨日、リヴァ様に契約の事を聞いた。


 リヴァ様は契約(・・)と仰っていたけど、それはただの口約束(・・・)だった。


 ――――「眠りから覚めたら、好きなだけ、大好きなワイバーンの肉を食わせてやるよ」


 それがリヴァ様とホフマン様の最後に交わした約束(契約)だった。



 リヴァ様は美味しそうにワイバーンの肉を頬張っていた。


 どうやら、リヴァ様の大好物らしい。


 うちでは、シリコ村でワイバーンの肉が沢山取れるので、異次元空間に沢山格納されていた。


 元々高級素材なのもあって、あまり売らずに、異次元空間に格納させて、アカバネ商会に取って大事なお客様だったり、僕に取って大事なお客様を持て成す時に使う事にしていた。


 毎週、一定量はお父さんお母さんに贈っているけどね。



 リヴァ様は本来ドラゴンなのもあって、幾らでも食べれるらしく、用意していたワイバーンの肉を全部食べてくださった。



 リヴァ様は満足してくれたようだ。


「ふむ、クロウや」


「はい?」


「おぬしがこの契約(約束)を果たしてくれたのは、ギムレット坊のためよの?」


「はい、ギムレットさんのバレイント領には、とても助かっていますから」


 リヴァ様が頷いていた。


 何かを考えたリヴァ様は――――


「では、クロウや、暫く我もおぬしの所で厄介になろう」


「ええええ!? いいんですか!?」


「良いも何も、おぬしの所はとても楽しそうだからのう、以前ホフマンからも言われておっての、タダ飯喰らいになるつもりはない、何か我が力になる事が必要なら、いつでも言ってくれて良い」



 - 種族『アクアドラゴン』が従魔となりました。-


 - スキル『神獣の加護』により、従魔と意思疎通が可能になりました。-



「ええええ!?」


「なっ!? これは……?」


 従魔になった!? リヴァ様が!?


「なるほど……これが従魔契約か、そういう(・・・・)事だったのかえ……」






「ホフマン……おぬしが探しておった、『神獣契約』とはこういう事だったのかえ……」






 名前 クロウティア・エクシア

 年齢 12歳(男)

 種族 人族(神々の楽園の加護)

 職能 アザトース

 レベル 60

 HP 400×10=4000

 MP 800×50=40000

 力 600×10=6000+30000

 素早さ 600×10=6000+30000

 器用さ 600×10=6000+30000

 耐性 600×50=30000+30000

 魔力 600×300+5000=185000+30000

 精神 600×300=180000+30000


 [従魔] 『アルティメットスライム』ソフィア,『ガーディアン』ヘレナ,『アクアドラゴン』リヴァ


 [レジェンドスキル] 叡智ノ神 ,全能ノ神,異次元空間魔法,精霊眼,神獣の加護,奇跡の大地

 [魔法系統スキル] 全属性魔法,中級回復魔法,転移魔法,影封印,飛行魔法

 [スキル] 神言能力,痛覚無効,睡眠無効,言語能力,魔法超強化,多重魔法発動,魔法調整,魔法無限固定,魔力高速回復,魔力超上昇,魔法高速演算,MP消費超軽減,超手加減,自動収集,自動魔法

 [技] MPドレイン,神々の楽園(アヴァロン),エリクサー,ソーマ

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