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178.暴風

多くの誤字報告ありがとうございます<(_ _)>

「くろにぃ」


「ん? どうしたの? リサ」


「『魔樹木』がこんなにあるのはいいけど、ここに『テーマパーク』を建設するんだよね?」


「うん? そのつもりだよ?」


「え……、この木って物凄く硬いって聞いてるから……伐採するの大変だと思うよ?」


 そう言えば、さっき程もリィリさんがそう言っていたし、以前からの報告でも大変だと言っていたね。


「そんなに大変なの?」


 僕の質問にリサが頷いていた。


 ずっと聞いていたセレナお姉ちゃんが剣を抜いた。


「それなら、私が斬ってみる!」


「あっ、お姉ちゃん! あんまり無理はしないでね!」


「分かってるよ! でも、私もそれなりに強くなっているから大丈夫よ」


 セレナお姉ちゃんが『魔樹木』の前で、剣を構えた。


 緊張感のある空気になった。


 ――そして。


「剣技! 白虎型、凶鋼斬!」


 お姉ちゃんの剣の刃に、魔力のような力が白く光った。



 ドガーーーーン



「――ッ!?」


 セレナお姉ちゃんの一撃で、『魔樹木』は半分程、斬られていた。


「セレナ先輩でも、一撃で斬れないの!?」


「セレナ様でも斬れないとは…………『魔樹木』って想像以上に硬いのですね」


「うん、この木、物凄く硬いわね」


 何となく、ただの固さではない気がした。


【『魔樹木』は魔力を有しているから、自分を守るために魔力を覆っているのよ。それを上回るくらいじゃないと、一撃では削れないわよ?】


 メティスから詳しく教えて貰えた。


 なるほど……、簡単には斬らせてくれないのね。


「くろにぃ、このままだと、『テーマパーク』は当分先送りになりそうだね」


 リサが諦めたように話した。



 まあ、でも最初から伐採(・・)作業をするつもりはなかったけどね。



「じゃあ、次は僕がやってみるよ」


 僕はそう話しながら、森の前に立った。



 まずは、『精霊眼』全開!


 よし、森の向こうに人はいないね!


 ちらほら、動物はいるようだけど……ごめんね?






「では、風属性魔法! 全力で!」






 僕は森に向かって全力(・・)で風属性魔法を放った。




 ◇




 ◆アリサ◆


「では、風属性魔法! 全力で!」


 ――くろにぃの言葉で、嫌な予感がした。


 うん。


 結論から言うと、大当たりだった。


 今、私の前には天災級(・・・)暴風の強大な竜巻が発生している。


 グゴゴゴゴゴゴーーーーー


 風なのに、腹に響く重低音って何だろう……?


 しかも、その範囲……下手したら、湖も全部吸い上げられそうなくらい大きい。


 あっ、リィリさん!? だいじょ――――、ああ、気絶してしまってる……。


 あれ? 何か後ろの方で大騒ぎが?


 住民達が全員驚いて、外に出て来てる!?


 中には神様に泣きながら祈っている人まで!?



 くろにぃの魔法で、あの固いはずの『魔樹木』達は成す術もなく、皆、抜かれて空を飛んでいた。


 しかも、くろにぃったら、器用に地面には風属性魔法が当たらないように使っている。


 だから土は一切上がって来てない、『魔樹木』だけが空を飛んでいる。


 どうやったら、こんな凄すぎる魔法をあんなに簡単そうに使えるのだろうか……。



 『テーマパーク』予定地の全ての『魔樹木』を引っこ抜いたようで、くろにぃは魔法を止めた。


 そして空を飛んでいた全ての『魔樹木』は、くろにぃの従魔ソフィアちゃんが凄まじい速度で触手を使い収納した。


 まさに、世紀末風景だった。




 ◇




 ◆セレナディア・エクシア◆


 悔しい――――。


 私では一撃で、半分も斬れなかった木を、弟はたった一回の魔法で、全て引っこ抜いていた。


 弟が特別なのは分かっているけど、このまま何も役に立たないのは駄目だと思う。


 最近、弟と歩き回る事ばかりで、鍛錬を疎かにしているから、このままだと置いてけぼりになるかも知れない……。




 ◇




 ◆ディアナ◆


 セレナ様でも斬る事が出来なかった樹木。


 それを魔法で、いとも簡単に全て引き抜いたクロウ様……。


 セレナ様からは悔しそうな雰囲気が伝わって来ました。


 はい、私もです。


 私はクロウ様の護衛になりました。


 護衛とは――――ご主人様を護るのが役目です。


 しかし、このままでは、私はクロウ様を守る所か、守られてばかりになってしまいそうです。


 だから、私もセレナ様同様に……この光景に悔しさを感じずにはいられませんでした。




 ◇




 ◆???◆


 何だか、外で物凄くうるさい音がした。


 久方ぶりに叩き起こされたわい。


 一体、どこの馬鹿なのか顔くらい拝んで、文句でも言ってやろう。


 どれどれ――――。



 は?


 なんだ? ――――あの竜巻は。


 は?


 あれは……魔法か?


 魔力の気配を感じるな。


 間違いなく、魔法だな。


 あの魔法……風属性最強魔法の『クリムゾン・ストーム』か。



 人間め、いつのまにあんな大魔法を構築(・・)していたのだ。


 我の近くでよくもこんな大魔法の構築を……。


 全く気付かんかったわ。


 寝過ぎていたのだろうか?


 さすがにここまでの大魔法の構築を感知出来ないとは……。


 むむむ、しかし、このまま我に向けて来られては、我でもただでは済まないぞ……。


 はて、どうするかの……。



 あれ? 消えた?


 ん? なんじゃ?


 空を飛ぶ……スライム? は?

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