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164.催し物

多くの応援、本当にありがとうございました!

自身初の、なろうジャンル別一桁位に入れました(*´ω`*)

ありがとうございます!


そして、誤字報告をしてくださった方々も改めて感謝申し上げます!

これからも執筆作業頑張りますので、楽しみにしていてください!

「クロウくん、何だか久しぶりだね」


 今日は学園に来ていた。


 勿論、イカリくんに会うために。


 最近、奉仕活動とか商店の共存のための契約とかが忙しくて、学園にくるのは一週間ぶりだったりする。



「うん、最近仕事(・・)が忙しくて~」


「へぇー、クロウくんってもう働いているんだね?」


「うん!」


「大変ではないのかい?」


「ううん! 素晴らしい仲間達が沢山いるから、とても楽しいんだ!」


「そうか、今度仕事の事、聞かせてよ」


「うん! そう言えば、イカリくんは何処かに就職とか考えているの?」


 学園三年生ともなると、卒業後就職先を決めていたりすると聞いていた。


 イカリくんは『魔道具師』という希少な職能持ちなので、就職先は困らないはずだ。


「それは…………」


 イカリくんの顔が曇った。


 時折見せる暗い顔だった。


 僕とセレナお姉ちゃんを見ている時なんかが特にこういう顔になっている。


「えっと……イカリくんさえ良かったら……話だけでも聞くよ?」


 僕が恐る恐るそう話した。


 僕が話しを聞いても、何も変わらないかも知れないけど……もしかしたら力になれるかも知れないから。


「うん……ありがとう、でもこれは僕が背負った事だから……クロウくんを巻き込みたくないんだ、ごめんね?」


「え? ううん! 全然大丈夫! いつでも困った事あったら話してね?」


「ふふっ、ありがとう」


 僕達はまた他愛ない話をした。




 ――何もない日々が過ぎて行った。


 数日後、いつものイカリくんとひと時を過ごしていたら、イカリくんがある事を聞いてきた。


「へ? 学園祭??」


「うん、この時期だとそろそろ各クラス学園祭の準備をするはずだから」


 確かにセレナお姉ちゃんから、数か月後の学園祭がある事は聞いていた。


 『ノービス』の校舎だけ開放して、各クラスで催し物を開催するイベントの事だ。


「えーっと、全然考えてなかった」


「あはは、クロウくんらしいと言えばらしいのかな?」


「う~ん、確かにあまり興味はなかったかな?」


「ふふっ」


 イカリくんに笑われてしまった。



 学園祭か~、魔法科Cクラスはどんなモノをするんだろうか? 今度覗いてみようかな。


 祭りと言えば、うちの『アカバネ祭』も間もなくだった。


 色んな発表がされるので、ここ最近で一番盛り沢山な祭りになりそうだと思う。



「あ、イカリくんは――祭り(・・)の時なにか予定はある?」


 今では祭りと言えば、アカバネ祭の事だ。


「それは…………あの『アカバネ祭』かい?」


 イカリくんの表情がまた固くなった。


 あれ? もしかして、イカリくんが時折暗くなるのって……うちの商会が関わっているのかな?


「う、うん」


「僕は――――、ううん、何でもないよ。多分行かないと思う」


「そ、そうか……」


「――――そうか、もうそんな季節になったのか」


 イカリくんが空を見上げた。


 青い空が何処までも広がっており、それぞれの形をした雲が見えていた。




 ◇




「クロウくん!」


「こんにちは~ピナさん」


「こんにちは~」


 イカリくんと別れてから、魔法科Cクラスに来てみた。


 しかし、魔法科にどうしてピナさんが?


 しかもクラス内には魔法科だけでなく戦士科の生徒も多くいた。



 皆、何かを夢中で作っている。


「これは今年の学園祭の催し物なの~」


「へぇー! もしかして戦士科と共同?」


「うん! そうなの、共同訓練の時に話になって、一緒にやる事になったの」


 そっか! 共同訓練だからこそ、こういう話しも出来ると思うと凄く良いね。


「良かったら僕にも手伝わせてくれないかな?」


「えっ!? いいの!?」


 それを聞いていた多くの生徒達がこちらに来てくれた。


「「「ぜひ一緒にやろうよ!」」」


 彼らは僕を暖かく迎え入れてくれた。





 魔法科Cクラスの催し物は魔法使いの格好が出来る喫茶店だった。


 ピナさんの発案だったようで、魔法使いの格好であるローブととんがり帽子は普段中々着れないので、当日は薄めのローブととんがり帽子を被って部屋内で寛いで貰うとの事だった。


「喫茶店という事は、飲み物や食べ物も出すの?」


「うん! でもこの中に飲食店に関わっている生徒がいなくて、どうしようか悩んでいるとこだったんだ」


 実家が飲食店に関わっていれば、色々協力を仰ぐ事も出来るものね。


「じゃあ、その飲食は僕に任せて貰ってもいいかな?」


 それを聞いた生徒達、皆が目をキラキラさせて僕を見つめた。


「うちの料理人さん、そういうの得意だからお願いしてみるよ! 材料もこちらで準備するね!」


「「「ありがとう!!!」」」


 それから生徒達は大量のローブととんがり帽子の制作に勤しんだ。



 僕は島に戻り、エクシア家の料理長ブルックさんとアカバネ島の料理長フィーネさん、そしてセシリアさんの三人に事情を話して、協力をお願いした。


 任せなさいと言ってくれたので、僕は素材の確保に各支店を歩き回って素材も確保しておいた。


 『次元袋』に入れておけば、腐る事もないので、事前に用意しておけるからね。


 僕は初めての学園祭が楽しみで、胸が熱くなった。






 ――――しかし、僕の初めての学園祭の前に、波乱の十三回目アカバネ祭が幕を開ける。

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