表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/360

138.ウリエルのダンジョンの予想

 ウリエルのダンジョン、二階のボスモンスターは二階にいるスリム型の土ゴーレムを赤くしたゴーレムだった。


 最初にディアナが仕掛けた。


 シュッ


 カンカン


 ディアナの動きを察知したゴーレムが素早く腕で剣を弾いた。


 通常ゴーレム達はディアナの剣に成す術もなく真っ二つになれていたのに、流石はボスモンスターと言うだけあって強かった。


 数手弾かれたディアナ。


「では少し本気出します」


 そう話したディアナの動きが更に速くなった。


 先程は弾き返していた剣も弾けられなくなり、胴体や足に剣による傷が増えていた。


 ディアナの美しい剣戟が十合目に及ぶと、ボスモンスターの赤いゴーレムも動かなくなり、消えていった。



 パチパチパチパチ×3



 ディアナの美しい剣捌きに僕達は見惚れていて、思わず拍手した。


「こちらのボスモンスターですが、通常のモンスターより少し強いくらいでした」


「そうか、でもディアナの剣を弾くなんてあのボスモンスター強そうだったよ」


「最初は随分手加減でしたから……」


「そ、そっか、あれでどのくらいの力だったの?」


「はい、一%くらいです!」


 1!?


 ………………


 うん、これからディアナに逆らう事はやめておこう。


「それであのボスモンスターはどのくらいだったの?」


「はい、三%程です!」


 ディアナが嬉しそうに笑った。


 うん! 絶対ディアナには逆らわないようにします!




 そして待つ時間も勿体ないので、本日の狩りは終わる事にして、毎日一人ずつ倒しに来る事にした。


 次、三階に行くのは三日後となる。


 セレナお姉ちゃんから、川の橋をもっと作って、と言われたので、一階からの入り口の近くと、真ん中と一番遠くに一つ作って、計四か所に橋を架けた。


 その間、みんなはまた橋飛び降り遊びをしていた。


 すっごく楽しそうに……。



 そして、その橋飛び降り遊びの途中、大きな収穫があった。


 ディアナが飛び降りて跳ね返される直前に、剣で川を泳いでいた魚を釣ってしまった。


 その魚はなんと自然界に住んでいる魚と同じ川魚だった。


 え? ダンジョンの中なのに食べ物取れるの?


 リサに聞いた所、


「帝国のラファエルのダンジョンでは薬草とか山菜とかも取れるよ」


 との事だった。


 つまり、ダンジョンで魔石しか取れないという考えは間違いだった。


 ダンジョンのモンスターからは魔石しか取れないが、ダンジョンからは他の副産物も取れるとの事だった。


 ルシファーのダンジョンでは? と聞くと、「あのダンジョンだけ唯一何も取れないと言われているよ」だった。


 うちの領にあるダンジョンって、特殊だと言われているみたいだけど、副産物も取れないのは残念だね。


 そもそもダンジョンが高難易度なので、魔石が沢山取れるから他のダンジョンより良いとされてるらしい。



 折角獲れた川魚は、島の食堂へ送って料理を作って貰った。


 自然界にいる川魚は美味しいけど臭みがあり、調理に手間がかかるらしいけど、ウリエルのダンジョン産川魚は全く臭みが無くて、調理が簡単だったと好評だった。


 作って貰った川魚のムニエルは臭みが全くなくて、魚にかかっていた甘酸っぱいタレが絡み美味しい川魚の旨味と合いとても美味しく食べれた。


 その事で食堂からこの新鮮な川魚を定期的に仕入れたいと嘆願された。




 ◇




 その日の夜。


 僕達はヘレナと五人で集まった。


「ウリエルのダンジョン会議を始めます!」


 リサの声で始まった。


「まず一つ目、一階層について、ディアナちゃんから」


「はい! 一階層のモンスターは一切動かず、どんな攻撃でも一撃で倒れます、ボスモンスターですら一撃でした」


 その声に僕達は「うん、うん」と頷いた。


「それで、ヘレナ? 何か思い当たる節はない?」


 そしてみんなヘレナを見つめた。


「ハイ! それは恐らく『奇跡の大地』効果だと思います」


「『奇跡の大地』??」×4


「ハイ! マスター、情報開示の許可を求めます!」


 ヘレナが僕にそう話した。


「うん、いいよ」


「ありがとうございます、この『魔導島』にはマスターのレジェンドスキル『奇跡の大地』が掛かっている事はご存じですね?」


 四人とも頷いた。


「その効果は、農産物の成長を早めたり、品質を上げてくれます。ですがこれは認識違いです」


「認識違い?」


「ハイ! 『奇跡の大地』は農産物にしか効果がないわけではありません」


 それもそうだった。


 魔導島の周辺の海、そこから取れる海産物もまた高い効果を受けていた。


「『奇跡の大地』の効果は、マスターの所有地全て(・・)に祝福が掛かります」


「あ~、そう言えば《天の声(メティス)》さんからそう言われていたっけ」


「ハイ! その祝福とは……、土地の性能(・・)が特大上昇されると考えられます」


「土地の性能……」×4


 確かに言われてみれば、このスキルのおかげで良い事ばかりだ。


 土地は広いし、農産物はスクスク育つし、品質も常に最上位で美味しい、大好きな海産物も同じ恩恵を受けている。


「土地の性能が上がれば、その土地から生まれるモノは高い恩恵を受けます、それがダンジョンにも適応されたと考えられます」


 そうか――ダンジョンだって、この島の一部だからね。


「そしてダンジョンの効果、大きく恩恵を受けたのは、浅い一階層のみと考えられますが、その恩恵でモンスターの弱体化にあると思われます」


「だからモンスターが動かない?」


「ハイ! 更に耐久力も無く、得られる経験値も通常状態よりも数十倍高いと思われます」


 あ~、だからレベルがあんなに簡単に上がるのか


「メティスさんと計算した所、ウリエルのダンジョン一階層の通常モンスター達だけでレベルを六十まで上げられると考えられます。そして復活期間も十分の一になっております」


 ボスモンスターが三時間くらいで復活するのはそういう事だったのか!


 あれ? ダンジョンのモンスター達の復活が十分の一……?


 島の農産物の育つ期間も十分の一……?



 あれ? もしかして、ダンジョンのモンスターって――農産物!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ