表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/360

109.紹介

 次の日、学園が終わり、また島。


「良し、今日は二人に紹介したい人達がいるから!」


 とセシリアさんとリサを連れて、島の西側にいる研究地区へやってきた。



「まずこちらが魔道具隊のマリエルさんとペリオさん。ここの魔道具研究所の所長さんと副所長さんだよ」


 まずはマリエルさんとペリオさんを紹介した。


「セシリアです」「アリサです」「マリエルです」「ペリオです」


 皆お互いに挨拶をした。


「う~~~ん、セシリアさん? って何処かで私と会っていませんか?」


 マリエルさんがそう話した。


「そう言えば、僕もセシリアさんに見覚えがありますね」


 ペリオさんも。


「う~ん、私は基本帝国にいたので、グランセイル王国にはあまりいませんでしたが……そうですね、七年くらい前に教会の礼拝のために、王都に一度来ていますからその時かしら?」


「教会……? セシリア……? って!? 現聖女様!?」


「え!? うっそ!? 本当ですか先輩!!!」


 流石はマリエルさん、名前だけで本人特定するのも早かった。


「ふふふっ、今はしがない料理人ですけど、そう呼ばれております」


 そう話したセシリアさんに、マリエルさんもペリオさんも物凄い勢いで握手に迫り、握手した際は泣き出した。


 ええ……セシリアさん凄い。



 何事かと、魔道具研究員六人も顔を出した。


 実は、以前王都魔道具ギルドに『機能無しブレスレット』を注文した際、雇ってくださいと寝返った六人だった。


 王国は、彼らの辞任は痛手だったが、アカバネ商会から破格の引き抜き代金を支払って無事解決した。


 今はマリエルさん込みで全員八名在籍している。


 彼らもセシリアさんの正体を知り、泣きながら握手して貰っていた。


 やっぱり現聖女様って凄いんだね。




 次は隣にある『ポーション瓶』工場にやって来た。


 この工場は基本的に幼い子供達が勤めている。


 島に住んでいる従業員の子供さんだったり、孤児を数人引き取ってここで生活をしつつ働いて貰っている。


 因みに、この工場の勤務時間はきっぱりと決まっており、午前中二時間、午後二時間と決まっていた。


 これは子供達がやりたい事を優先して欲しいから、このような時間になっている。


 そして、一切無理はせず、他にやりたい仕事がある場合は、そちら優先しても構わない事になっている。


 『ポーション瓶』は再利用も可能なので、いずれ売り出す日まで少しずつ備蓄するだけで良いのだ。


 だから急いで作る必要もないので、ノルマすらない。


 子供達のお小遣い程度の稼ぎになっている。


 お小遣い程度だけど、これが普通の町なら、普通の大人より稼いでいたりするのは今の僕には知らない話だ。


 現聖女様のネームバリューは凄まじく、子供達も全員知っていた。


 そこから数十分握手とハグの嵐が起きた。


 孤児達には更に有名で、何でもセシリアさん自身が孤児出身だからだと言う事だった。




 最後に来た場所は――


「あれれ? クロウくん、また可愛い女の子捕まえてきたの?」


 そう……ナターシャお姉ちゃんだ。


「ナターシャお姉ちゃん、こちら紹介するよ。セシリアさんとアリサさん」


 僕の言葉に合わせてセシリアさんとリサがペコリと挨拶した。


「こんにちわ、ナターシャと言います」


「す……凄い……何だか『アイドル』みたい……」


 と、リサの感想。


「あら? 私はその正真正銘の『アイドル』ですわ?」


「ええ!? この世界にも『アイドル』っているの!?」


「あっ、そう言えば、アカバネ商会に『アイドル』ってポスター貼られてたわね」


「えっ!? お母さん、それ本当?」


 そんな二人と見つめながら優しく微笑んでいるナターシャお姉ちゃん。


「くろにぃ、『アイドル』って!?」


「うん、こちらのナターシャお姉ちゃんは、アカバネ商会の世界初の『アイドル』として、今では大陸で一番有名人じゃないかな?」


「あ……、もしかして『プラチナエンジェル』!?」


「あら、それは私の通り名よ」


「本当に『プラチナエンジェル』って実在してたんだ!! 凄い!!!」


 リサが凄く喜んでいた。


 やっぱり『アイドル』って――女の子の憧れかも知れないね。


「貴方はどうして『アイドル』って言葉を知っていたの?」


「えーっと、前世でステージで歌って踊る人を『アイドル』って呼んでいたから……」


「前……世?」


「うん、ナターシャお姉ちゃん、こちらのセシリアさんは僕の前世のお母さんで、こちらのアリサは僕の妹だったんだよ」


「ッ!? 本当に!? 凄いわね……魂の記憶(フラッシュバック)をそんなに濃く覚えているなんて……流石クロウくんと言うか、クロウくんの家族って凄いわね」


「えへへ、実は『アカバネ』も前世の名前で、商会の名前の由来だったりするんだ」


「あ~、なるほどね! それで『アカバネ商会』だったんだね。アカバネってそもそも初めて聞いた言葉だったからね」


「うん、ナターシャお姉ちゃん、今まで本当にありがとうね?」


「あら、今まで……なの?」


「うん? ううん、これからもお願いします」


「はい、私はクロウくんのためなら、何だってしてあげるんだから」


 ああ……久しぶりにナターシャお姉ちゃんを間近で見た気がするけど、本当に綺麗な笑顔だ。


「あ……あの! あ……握手してください!」


 リサが恐る恐る話して来た。


「ええ、リサちゃんなら幾らでもしてあげるわ。あ、ちょっとお願いがあるんだけど、ちょっと良いかしら」


「はい?」


 それからナターシャお姉ちゃんはリサに握手で連れ出し、何処かへと消えて行った。



「ナターシャさん――ね? 凄く綺麗な人だね」


「うん。凄く優しいし、いつも凄い発想でアカバネ商会の一番の功労者だよ」


「そう……良い仲間を持っているのね」


 その言葉に僕は自然と笑みがこぼれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ