106.家族結成
29日~30日の連投に付き合って頂きありがとうございました!
感想も沢山頂けて嬉しかったです!
そしてありがたい事に、多く評価して頂きランキングもとんでもない上位まで上がれました、本当ありがとうございます。
実は別サイトで開催されている新人賞コンテストも無事二週間一位をキープ出来ました。
それもこれもいつも誤字報告や文章校正を打診してくださった皆様のおかげだと思っております!
最終選考に入れるかはまだ分かりませんが、良い報告が出来るよう8月も頑張っていきます!
応援だけでなく、誤字報告や文章校正…皆様いつもありがとうございます!
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!
「もう大丈夫? クロウ……」
お母さんと妹との出会いで泣き疲れた僕をセレナお姉ちゃんは心配そうに声を掛けてくれた。
「うん、ありがとうお姉ちゃん」
セレナお姉ちゃんは微笑み、優しく頭を撫でてくれた。
お姉ちゃんから頭を撫でられるなんて……いつぶりだろう。
「ねえ、クロウ? お父さんとお母さんと……私にもちゃんと紹介……して貰えないかしら?」
真剣な目でセシリアさんとアリサさんを見つめながらお姉ちゃんは話した。
「うん、リサとお母さんさえ良ければ」
そう言いながら僕は彼女達を見た。
「私は良いわよ、クロトの今のご両親に挨拶出来るなんて……とても光栄だもの」
「私も勿論いいよ! もうくろにぃと離れたくないし、ちゃんと今の家族にも許可を得ないと……」
お父さんお母さんには先にお姉ちゃんから話すとの事で、お姉ちゃんは一人でお父さんたちの元へ向かった。
ある程度の事情はお姉ちゃんから先に説明した方が良いだろうとの事からだった。
それから数時間後、お姉ちゃんから急いで島へ来るようにと言われた。
そして僕達四人は『次元扉』から島の屋敷へやってきた。
そこではお父さんお母さんお姉ちゃんが待ってくれていた。
現世のお父さんお母さんお姉ちゃん、僕、前世の妹と前世のお母さん。
こうして私達六人の初めての出会いが始まった。
◇
「初めまして、エクシア家の当主アグウスと申します。こちらは妻のフローラ、娘のセレナディアです」
「お会い出来光栄です。私はセシリア・セイクリッドと申します。こちらは娘のアリサです」
それを聞いたお父さんとお母さんが驚いた。
知り合いだったのだろうか?
「ッ……本当に……本物の現聖女様にお会い出来るなんて……」
「セシリア様、お会い出来光栄です」
お父さんとお母さんがそう話した。
えええええ!?
お母さんって……いや、セシリアお母さんって……いや、セシリアさんって現聖女様だったの!?
というかリサって……現聖女様の娘さんだったの!?
どちらかと言えば、僕が一番驚いていた。
そして僕達はソファーに座り、話し合いを始めた。
「私は前世でこの子達の母親でした。しかし夫が暴力を振るうようになり、数年後……その暴力によって怪我を負い、事故にあってしまいまして……記憶喪失になってしまいました。
それから十年後、この子達が亡くなり……それを知った時に私の記憶が戻りました。あれから後悔ばかりの人生でしたが、この世界で再度巡り会えました……娘のアリサですが、まさか前世の娘だったなんて、思ってもみませんでした……」
淡々と説明するお母さんを見る両親は、時々僕を見つめたので頷いて返した。
――――全て本当の事だからね。
「筋違いなのは分かっておりますが……その……前世の息子だったクロトの事を愛情一杯で育ててくださってありがとうございます。勿論今は私の息子ではなくお二方のお子様なのは十分に理解しております」
お母さんが申し訳なさそうにお父さんとお母さんに話した。
「魂の記憶がここまで強烈に残るなんて滅多な事ではありません、それ程貴方様方の前世の絆は深いモノだったと思います。ですから貴方様のお礼は素直に受け取りましょう」
「ありがとうございます。本当にこんな優しい家に生まれてくれて嬉しいわ……」
また涙ぐむお母さん。
その姿は一点の曇りもなかった。
本当に僕の前世のお母さんは優しい人だ。
「あ……あの! 私、アリサと申します……、その……こういうともしかしたら失礼かも知れませんが……、どうかくろにぃと一緒にいる事を許してください! 私……ずっと……にぃを探していて……やっと見つけたから……その……邪魔かも知れませんが、やれることは精一杯頑張りますから――」
リサが必死に訴えていた。
――しかしそんな彼女に僕は何も言えなかった。
だって……セレナお姉ちゃんが悲しそうな目をしていたから。
「アリサさん……でしたね。その件でしたら、申し訳ございませんが聞き入れる事は出来ません」
「えっ……」
お母さんの言葉にリサが肩を落とした。
「だって、私達はクロウくんに何かを強制するつもりはありませんし、クロウくんだけではありません。子供達に何かを強制したいのは一切ありません、強いて言えば、ライくんにこの家を継いで欲しいくらいです。
私達はクロウくんがしたいようにと考えているので、クロウくんと一緒にいたいと言うのには、私達は何も言えません」
お母さんの言葉を聞いたリサの顔が少し明るくなった。
「アリサさんが一緒にいたいと言うのならば、決めるのは全てクロウにあるわ」
そう話したセレナお姉ちゃんは僕を見つめた。
皆も僕を見つめた。
「僕は…………ずっと妹を探していて……まさか前世のお母さんにも会えるなんて思いもしなかった。だから今とても嬉しくて……この出会いを大事にしたいと思っています。だからリサと一緒にいたいです」
そう伝えると両親とセレナお姉ちゃんは何処か寂しい顔になった。
「でもっ! ……、僕はこの世界に生まれてお父さんやお母さん、お姉ちゃん、お兄ちゃん達に凄く助けられて来たし、僕の家族は……僕の家は……エクシア家だと思っています! だから今からも今まで以上に僕はエクシア家の三男として……暮らしたい! です。…………ダメかな?」
そう話すと、両親とセレナお姉ちゃんが満面の笑みで「勿論私達は家族だ。良いに決まっている」と話してくれた。
僕は本当に優しい家族に囲まれていると実感出来た。
「ではこれは私からの提案だけど、いいかしら?」
お母さんが手を挙げた。
「セシリアさんもアリサさんもこの屋敷で暮らさない? ここ、クロウくんの屋敷なんだけど、この島なら何処でも好きな所に行けるし、この島とても住み心地も良いわよ?」
「えっ!? 良いんですか!?」
「良いと言うか……そもそもここはクロウくんの家だからね、決めるのはクロウくんだけど、どうする?」
お母さんがニヤニヤと笑いながら僕を見てくれた。
――ああ、いつものお母さんだ。
「勿論大歓迎だよ! 是非ここで皆一緒に暮らそう!」
こうして僕は前世の家族とアカバネ島で一緒に暮らす事になった。
勿論エクシア家の家族の皆も島に出入りしているから大所帯になった。