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【WEB版】被虐待児の最強転生して優しい家族に囲まれ  作者: 御峰。
入学編

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101.妹

 気が付けばお昼、僕達はずっと泣いていた。


 セレナお姉ちゃんとディアナはどういう事かも分からず驚いていたけど、何が起きたか分かったようで、すぐに理解してくれたようだ。


 『魂の記憶(フラッシュバック)で前世の記憶がある場合がある。』


 魂の記憶で出会う家族もいたりするとの事だから、彼女達もすぐに理解したようだ。



 僕達はとても授業に出れる状態ではなかったので、ディアナが休みの届け出を出してくれた。


 そしてセレナお姉ちゃんに見守られながら僕達はやっと落ち着いた。




「まさか……くろにぃが……こんな近くに……いるなんて」


「僕もリサがこんなに近くにいるなんて……気づいてあげれなくてごめん」


「ううん、だって容姿も全然違うんだもの……もしかして名前で私を探そうと商会の名前を?」


「うん、アカバネって名前が広がればきっとリサが反応してくれると思ったから」


「そっか……くろにぃ、私のためにそんなに頑張ってくれたんだね」


「でもうちの商会って王国内でかなり名前広がっていたと思ったけど、リサってどうして初めて聞いたんだ?」


「うん、私は王国じゃなくて帝国から来たから」


 なるほど……まだ帝国では認知度が低いモノだった。


 場合によっては商会の戦いで国同士の戦争にも繋がるらしく帝国にはまだ進出出来ていなかった。


「そっか……、まだ帝国には進出してなかったから……」


「それにお母さんが特殊でそもそも商会とか一切行かないから……多分聞く事も中々なかったかも」


 そういや、先日おばさんと初めて会った日にもそう言っていたっけ。


「取り敢えず、会えて本当に良かった……」


「うん、くろにぃ、ありがとうね」


 そう言ってリサは笑顔で僕を見つめた。



 ――そんな彼女の姿に僕は言葉を失ってしまった。


 そして僕は彼女に土下座をした。


「えっ? くろにぃ?」


 後ろにいるセレナお姉ちゃんもかなり驚いていた。


「リサ……ごめんな、弱い僕のせいで……君を守る事も出来ず……しまいにはこの手で君を……」


 彼女に申し訳なくて、言葉よりも涙ばかり出てきた。



 そんな彼女は――。


「違う! くろにぃは何も悪くない! あれは私も一緒に考えた事だし……あれを提案したのも()じゃん……くろにぃが謝るなんて……やめてよ……」


 彼女は大きな粒の涙を流しながらそう話した。


「それにさ……あの時はああするしか私達には道が無かった……お母さんがいなくなってあいつは……毎日毎日私達を……」


 そう言う彼女は悔しそうに拳を握った。


 僕も悔しかった。


「僕にもう少し力と勇気があれば……」


「ううん、あれは、くろにぃでも私でもなくあいつが悪いんだから……だからっ」


 彼女の目から増々涙が流れた。


「せっかく、こうして、会えたのに、謝らないでよ、私……」


 そう言いながら、彼女も僕の前に屈んだ。


「ちゃんと、これから、良い妹に、なるから、ね? 、だから、これからも、一緒に、いて、欲しい」


 彼女のその声に僕は救われた気がした。


 ずっと、彼女を守れなかった僕がこんなに贅沢な暮らしをして良いのかと、そう自分に何度も聞いた。


 エクシア家という素晴らしい家族の元に産まれて、僕だけがこんなに楽になって。


 そう思う度に妹の顔がよぎっていた。


 だからそんな彼女から、言われた言葉に僕は救われた。



「ごめん……確かにせっかく会えたのに謝るのは違ったね、えっと……リサ、ありがとう」


「ううん、こちらこそありがとうね? くろにぃ」


 そして僕達はまた抱き締め合った。


 彼女のぬくもりが伝わって来た。


 前世では幾度もなく手を繋いで歩いた私達だからこそ、今のこの状況がどれほどの幸せなのかと実感出来た。



 暫くして落ち着いた僕達は、


 後ろで静かに見守ってくれているセレナお姉ちゃんとディアナを見た。


「セレナお姉ちゃん……」


「うん、クロウ、もう大丈夫?」


「うん、ありがとう」

 

 少し寂しそうな顔をしているセレナお姉ちゃんだった。


「なら良かった、今日はもう帰ろう? 商会まで送るわ」


「――うん、わかった」


「リサ、今日うちの商会に来て貰ってもいい?」


「うん! 絶対行く! その前にお母さんにも紹介しないと……なんて説明したらいいのかな」


「……、リサの前世の事は?」


「う~ん、話した事ないから知らないと思う」


「そうか、じゃあおばさんに会ったらちゃんと前世の事も色々話さないとね」


「そうだね、くろにぃもセレナ先輩やディアナちゃんにもちゃんと言わないと」


 セレナお姉ちゃんとディアナも頷いてくれた。






 そんな話しをしてアカバネ商会へ戻ろうした時、


【クロウ様、王都支店のフランでございます、緊急の件につきご連絡させていただきました】


 王都支店の店員のリーダーをしているフランさんから『遠話』の連絡がきた。


「ちょっと待って、フランさんから緊急連絡が来た。ちょっと待っててね」


「えっ?」「うん、分かった」「はい」


【フランさん、丁度今戻る所でしたがどうかしましたか?】


【はい、以前クロウ様から指示されている『オーナーの名前がアカバネなのか』尋ねた方がいらして、『リサと言う名に聞き覚えは?』と聞いた所、反応があったので、手荒ではありますがその方を確保させて頂きましたので、大至急お越しくださいませ】


 実はアカバネ商会の正従業員には『オーナーの名前がアカバネなのか』と尋ねた者がいた際は必ず『リサと言う名に聞き覚えは?』と聞き、少しでも反応があった場合手荒にでも引き止めてくれと頼んでいた。


 これも全て『理沙(リサ)』を探すための処置だった。


【分かりました、今すぐに向かいます】


「えっと、どうやらリサ(・・)を知っている方がいたようで王都支店で引き止めているらしい。急いで行ってみよう」


 リサは良く分からないけど取り敢えず付いて行くと僕達は王都支店へ急いで向かった。

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