99.魔法科
本日も読んで頂きありがとうございます。これから複数話が五分ごと上がります。作者の一番書きたかったストーリーですので楽しんで頂けたら幸いです!
そしてなんと評価PTが1500を突破しました!多くの応援ありがとうございます!
『ナイト』クラスの魔法科に入学が決まった日。
僕はアカバネ島の自分の屋敷に帰って来た。
病気と公表しているのでエクシア家からアカバネ商会に寝床を提供していると申告して貰い、アカバネ商会王都支店から通学する事にしたからだ。
それにしても、今日の僕は何も出来なかったと悔し涙を流した。
ディアナにも迷惑を掛けてしまい、申し訳なさを感じていた。
全く気にしなくていいですよと言われたけど、それでも主人となった僕が何も出来なかった事がとても苦しかった。
次の日、僕はディアナと一緒に無事登校した。
クラスは三つに分かれていて、魔法科Aクラス、Bクラス、Cクラスに分けられていた。
Aクラスから実力順だそうで、僕はCクラスだった。
それからしばらく待っていると教師が現れる前にセレナお姉ちゃんが現れた。
どうやら僕が『ロード』クラスではなかったのがおかしいと飛んできた。
それからディアナが事情を説明し、セレナお姉ちゃんは物凄く怒った。
でもセレナお姉ちゃんには、僕が自分で解決しなくてはならない事だからお姉ちゃんの手を借りたくないと話すと少し悩んで諦めてくれた。
お姉ちゃんの出現もあり、僕がエクシア家三男って事がCクラス全員に知れ渡った。
しばらくして、担任教師が来て自己紹介等行った。
生徒は他に二十名。
担任教師はピグリマ先生と言った。
中級魔法使いで、属性は水と土が使えると話した。
そう言えば、魔法って適正属性ってあるんだよね……。
僕は全属性使えてるから偶に忘れてしまう。
この中に従士を連れているのは唯一僕だけだ。
ディアナは剣を所持しているので、クラス中では不思議な感じに見える。
ディアナの剣士としての圧と腰に掛けられている剣が見るからに上等品なのは殆どの生徒が理解しているようで、皆ディアナを恐れている雰囲気だった。
今日から授業を行うとのことで魔法の授業が始まった。
最初は座学で、午後から実技だ。
先生の授業は僕にとって、とても新鮮で楽しかった。
そもそも魔法についてちゃんと学んだ事がなかったからだ。
幼い頃お母さんと少しの間勉強会したくらいかな。
授業の合間には休憩時間があった。
それは……とても気まずい!
ディアナの件もあり、僕に近づいてくる生徒は誰一人いなかった。
僕から声を掛けるなんて事も出来なかった。
そんなんで時間が過ぎ、実技授業となった。
最初は詠唱をしっかり覚える事らしく、皆それぞれの魔法の詠唱を唱えていた。
僕は詠唱を何一つ覚えてないので本を見ながら唱えてみた。
勿論魔法なんて発動しなかった。
周りの生徒達はしっかり詠唱を唱えて魔法を発動させているんだけど、どうして僕は発動しないのだろう?
そんな話をピグリマ先生に聞いたら、では今までどうやって魔法を使っていたのかと笑われた。
それもそうか。
特に何か成果がある訳でもなかったけど座学は楽しく、実技は生徒達を研究する事にして……時間が過ぎて行った。
生徒は基本学園から出る事が許されておらず、家に帰る学生達にも真っすぐ帰るよう伝わっている。
それと言うのも、学園の制服を身にまとっている以上、トラブルになったりするからだ。
だから三年間は学園内で大人しくするのが習わしだ。
そもそも十歳になった時には全員思考が成熟するので、そこを破るような生徒はいなかった。
稀にいるらしいけど。
それと学園に休みはなかった。
この世界は休みって考えが基本的に無いので、年中無休で勉強だった。
それでも暇になる時もあって、学園内なら自由な時間も多々あった。
セレナお姉ちゃんは生徒会で大忙しのようで、この代の生徒になって誇らしいと話している生徒達までいた。
◇
そして約十日程して、少しずつクラス中の皆が打ち解けていた。
もう既に仲良しグループが出来ている。
僕だけ一人なんだけどね。
そんな中ちょくちょく僕に声を掛けてくれる生徒達も増えてきた。
最初は怖かったようで、僕は別に何とも思っていなかったと分かると少しずつ話掛けて貰えるようになってきた。
寧ろ、僕の方が最初は怖かった。
クラスメイトから声を掛けられる恐怖症のようなモノがあったから――。
少しずつ話してるうちに皆良い子達だと分かった。
僕も皆と少し打ち解けて来てから色々聞いてくるけど、その中で一番というか断トツに多いのはセレナお姉ちゃんの事だった。
初日飛んできたお姉ちゃんの事だから皆興味津々で、セレナお姉ちゃんの出来事等たくさん聞かれた。
そしてそんな気が抜けない休憩時間と授業が終わり、昼休憩時間。
既に十日程通っている裏手にあるひっそりとした木の影でディアナと食事を取るのがささやかな楽しみであった。
食事は基本的にアカバネ島の食堂で作りたてを『次元袋』で送って貰っていたのでとても美味しく頂いていた。
そんな中――――。
「はぁ……やっぱり学校って疲れるわ……」
声がした。
向こうの木で休んでいる女の子からだった。