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94.十歳

 あれから色んな事があった。


 セレナお姉ちゃんが『剣聖』となり、鳴り止まない求婚の嵐。


 お姉ちゃんが学園に入学したら、恐らくもっと激しくなると予想された。



 そして、ディアナちゃんに孤児院のシャルお姉さんと言う方からお礼を言いたいからと一緒に行って頂けませんかとお願いされた。


 セレナお姉ちゃん直伝のおねだり方法だった。


 ――――滅茶苦茶可愛かった。



 それで久しぶりにエドイルラ孤児院へ来ると、しゃー姉ちゃんが待っていた。


「あっ、しゃー姉ちゃん久しぶり!」


「久しぶりじゃないわよ! 私はしゃー姉ちゃんじゃなくてシャルって名前があるんだから!」


 と言われた。


 なるほど、しゃー姉ちゃんってシャル姉ちゃんなのか。


 よし、覚えた。



 あれから数回ディアナちゃんとシャル姉ちゃんとこに遊びに来ていた。


 時にはナターシャお姉ちゃんも付いて来たんだけど、どうやらシャルお姉ちゃんと何かを企んでいた。



 それから更に時が過ぎて僕は十歳となった。



 相も変わらず僕は病気なので、誕生日会は無かった。


 けど、多くの貴族の娘さんからのお見合いの件で多くの贈り物が贈られてきた。


 動けなくても、僕がエクシア家の三男として、エクシア家と脈を作れる算段なのだろうとの事だった。


 勿論全員拒否した。



 僕の誕生日会はアカバネ島でこれまでで一番の盛大な祝い会が行われた。


 その日、アカバネ商会は臨時休業し従業員達全員が島へ集結してくれた。


 そこまでする事ないのにと言ったけど、従業員達全員で満場一致で決まった事らしい。



 それと従業員達全員からお金を集めて買ったとプレゼントを貰えた。


 物凄く大きいダイヤモンドの原石だった。


 僕の拳くらいの大きさもある。


 ダイヤモンドは宝石では最高峰と言われその金額も凄く高い。


 勿論加工する技術も大変なので高いのだけれど、原石のままとは言えこの大きさが途轍もなかった。


 数年前から全ての従業員達が少しずつ集めた金額で買ったそうだ。


 僕が嫌がるのも予想済みで本当に無理のない金額を積み立てたようだった。



 お父さんお母さんからは意外なモノを貰った。


 それは一冊の本だった。


 エクシア家に代々伝わる魔導書の一冊らしく、今日渡そうと決めていたと話してくれた。


 但し、分かっているとは思うけど、悪事には使わないで欲しいと言われた。


 このお父さんお母さんの子なんだもの、悪事に使うはずもない。



 それからナターシャお姉ちゃんからは服が贈られた。


 特殊なモンスターの素材で作られた服のようで、身体が大きくなってもサイズが変わってくれるようだ。


 形はナターシャお姉ちゃんが考えてくれたデザインらしくてとてもカッコいいデザインだった。



 ディアナちゃんからは銀狼族に伝わると言うミサンガを作ってくれた。


 銀狼族の加護が掛かると言われているらしい。



 セレナお姉ちゃんからは小さなお守りを貰った。


 どうやら初めて倒した上級魔物の爪が入っていて、安全祈願のお守りだそうだ。


 いつの間に色んなモンスターを倒してるようだった。


 最近休日はどこか出掛けていたのはこのためだったのかと思うと、自然と顔が緩んでしまった。



 それから島では深夜まで宴が続いた。


 こんな僕を祝ってくれる皆ありがとう。


 僕は気づけばこんなに愛されるようになっていた。




 ◇




 僕の誕生日も終わり、勉強会をしつつ去年から頑張って集めた『アイテムボックス』用の魔道具ブレスレットの数を確認した。


 魔道具ギルドの全面的な協力もあり、その数だけでも既に数百個にも達していた。


 僕とソフィアでそのブレスレットに倉庫一つ分くらいの異次元空間専用スペースを作り固定させて行った。


 取り敢えず忘れないように丁度五百個だけ完成させた。



 この新しいブレスレット型『アイテムボックス』をダグラスさんに見せたら物凄く驚かれた。


 今まで『アイテムボックス』が袋の形でしか作れなかったからこのブレスレット型は革新的だそうだ。


 入れられる量も倉庫一つ分だから最上級アイテムボックス以上なので値段が付けれないという。


 安価で流して良い品ではないので必要な従業員とか知り合いに優先して渡そうって事になった。



 先ずはエクシア家のお父さんお母さんお兄ちゃん達お姉ちゃんに長い間お世話になったメイドのリーナさんと執事のサディスさんにも渡した。

 

 サディスさんはそもそも空間魔法が使えるけど、サディスさんの好きなようにして良いって事で知り合いに渡すそうだ。



 次は勿論アカバネ商会の経営陣全員に渡した。


 その他にも各隊の隊長達にも渡した。


 次は意外にも『テンツァー(踊る者)』の六名に渡した。


 彼女達の努力を聞いていたので、これからもナターシャお姉ちゃんを宜しくと渡した。



 警備隊員全員にも渡した。


 普段からダンジョンやら狩り等も行うので、『アイテムボックス』が非常に役立つからだ。


 後は各支店の営業隊員にも渡した。


 彼らは各地に物を買いに赴く事もあるので、元々『次元袋』を使っているのであまり使う事はないけど、個人用として使って貰いたい。


 最後は『リリー草』を集めるグループの召使い達と孤児院の数人に渡した。





 気づけば半数程無くなった。


 残りは得意先に売ってもいいかも知れないと、『食事会』に参加した事がある者限定で販売する事となった。


 デザインがナターシャお姉ちゃんなだけあって、今まで『食事会』に参加した事ある者たちは全員欲しがっていた。


 値段はアカバネ商会では珍しく超高額だったので、皆すぐに買える訳ではなかったけど超性能の『アイテムボックス』を買うと全員意気込んでいた。

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