寝床を確保しました
お待たせしました!
「ここが本部だよ」
「...」
おかしくない?ねえおかしくない?連れてこられた場所王宮なんですが!?
びっくりしすぎて語彙力低下中の俺は呆然と目の前の建物を見上げた。
真っ白な城壁に囲まれて巨大な城が鎮座している。それこそ古いヨーロッパの絵画に出てくるような外観で、度肝を抜かれた。
「何故王宮なんですか?」
「近衛騎士団なのだから当たり前さ」
ウィルフレッドさんをジト目で睨む。
「先程は騎士団としか聞いてませんが」
「王都で騎士団といったら近衛騎士団しかないと思うけど?」
「そもそもここは王都だってさっき知りましたが?」
「え?」
驚いた表情でピタッと止まった。
「待って。じゃあ何故君は、いやもう自己紹介したのだから名前で呼ぶか、ヒナタはここにいるんだ?」
あ、と思ったがもう遅い。異世界から来ましたなんて言えるわけないよな。ここはどうするべきか...。
「気がついたらここに居たんです」
頭をフル回転させて出てきた答えはそんな答えだった。そもそも持ち物も無いし、記憶喪失って設定が一番いいか。
「気がついたらここにいたって...もともとどこにいたんだい?」
「それも分かんないんです。気がついたらあの路地にいて、持ち物も何も無いし、今まで何をしていたのか思い出せなくて。名前や剣をやってたことはぼんやりと覚えてるんですけどそれくらいで...」
「っ!?そういうことは早く言ってくれ!」
頭を抱えられてしまった。なんか申し訳ない...。
「とりあえず、そんな状況で女の子がほいほい男について来るんじゃない!」
「すみません」
いや俺男なんです。という本日何度目か分からないツッコミを心の中で入れる。早く鏡が見たい。自分の姿が分からないってこんなにも不安なんだな。
「盗賊にでも襲われたのか...?でも、特に怪我もなさそうだし...こんな美少女がほっとかれるわけないし...魔法的な何かか...?いやしかし...」
まだ王宮の門の前だというのに止まって考え込んでしまった。
「まあそういうことなら、とりあえず我が団で保護しよう」
数分後、ウィルフレッドさんはしょうがないって顔で宣言した。俺としては願ってもないことでだ。
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
頭を下げる。本当に助かった。
てか、我が団?この人もしかして...
「まあ、代わりに近衛騎士団に入ってもらうけどね。記憶がなくてもその身のこなしということは相当腕の立つ剣士だったはずだからね」
にやっと笑う。これは確実に騎士団に入らないといけなそうだ...。
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