スキルチェック
本日は初日ですので2話投稿です!
「だ、大丈夫?」
絶叫を上げてしまった俺に目の前の騎士は驚いたように聞く。
「あ、すみません。色々頭の整理が追いつかなくて」
俺男なんですって言っても信じてもらえないだろうし他にどう言えと。あれ、もしかして「俺」じゃなくて「私」の方がいいのか?
「ああ、そうだよね。急に騎士って言われても分かんないよね」
別の意味で捉えてくれた。いや、まあ確かに急に騎士って言われても困るんだけど。
「とりあえず一緒にご飯でもどう?ご馳走させてよ」
「ぜひ!」
俺今無一文だもんな。持ち物無いし。奢ってくれるなら大歓迎だ。食いついた俺に騎士は苦笑した。
「こんな場所、お、私が入っても大丈夫なんですか?」
大きな建物を呆然と見上げる。騎士ーウィルフレッド・フィル・リーズベルトというらしいーに案内されたところは明らかに高級な店で、それこそ貴族御用達!みたいな雰囲気だ。俺の今の格好はジーパンにTシャツなんですが?
「大丈夫だよ。さあ入ろう」
爽やかな笑顔で促されてしまった。
店に入ると店員さんが恭しく対応してくれて個室に案内された。え、もしかしてこの人結構偉い人?
「好きな物を食べてくれ」
「ありがとうございます!」
せっかくこう言ってくれているんだ、美味しくいただこう。
30分後。
「ご馳走様でした」
「はは、結構食べたね」
ウィルフレッドさんは乾いた笑みを浮かべた。流石に食べすぎたかな?でもね、こちとら中身は成長期の男子高校生なんですよ。そんな言えるはずもない言い訳を心の中でしていると、ウィルフレッドさんは真剣な表情になった。
「それで、さっきに話だが騎士団に入らないかい?」
そうだった。料理が美味しすぎて忘れていた。
「なぜ私なんですか?確かに多少剣術の心得はありますが大して強くないですよ?」
剣道では全国大会に行ったこともあるが所詮は「剣道」であって「剣術」ではない。強いわけがない。
しかしウィルフレッドさんは驚いた表情を浮かべる。
「そうなのかい!?だが君の身のこなしは強者のそれなんだが...」
むむむ、と考え込んでしまった。うーん、もしかしてスキルの効果か?
ウィルフレッドさんが考え込んでいるうちに確認することにした。
「〈スキルチェック〉」
名前:ヒナタ ミライ (女)
スキル:世界間移動 魔法発動補助 戦闘補助
なんか嫌な予感がする。詳細が見れるようなので画面をタップしてみる。てかスキルまで女って書かなくてもいいんじゃないですかねえ!
世界間移動
好きな時に2つの世界を行き来できる。世界に戻る時はその世界を出た時と同じ場所・時間に戻ることができる。
これは予想通りだ。問題は次だよな。
魔法発動補助
イメージを読み取り魔法陣を展開する。発動速度が速くなる。
戦闘補助
動きを達人並みに補正する。
うん、薄々わかってたよ...。チートすぎじゃないか?あの爺さん何やってくれてるんだ。これはバレたらやばい。隠し通そう。
「ごめん、待たせたねってどうかしたのかい?」
よっぽど顔色が悪かったのかやっと考え事から戻ってきたウィルフレッドさんが心配そうに聞いてきた。
「いえ、大丈夫です」
「それならいいが、何かあったらすぐ言うんだよ。それでさっきの話だが、君の剣術を一度見せてもらってもいいかい?」
「構いませんが...」
戦闘補助のおかげで剣はきっちり扱えるはずだ。見せるくらいは問題ない。
「そうか、じゃあ着いてきてくれ。騎士団の本部に案内しよう」
あれ?勢いで見せるって言っちゃったけど、これって騎士団に入る流れになってないか?俺、まだ入るって言ってないんですけど。
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