2話
本日2回目(前回は00:00)
昔、高貴な姫君に見初められ、当時恋人が居たにも関わらずその姫と結婚させられてしまった男が居た。その男は結局一生姫と添い遂げることになり、最後、別れさせられた恋人の名前を呟いて亡くなったと言われている。
それを聞き、恋愛結婚だった当時の王が新たな法を作った。
そして貴族対する法を作った。その法は、
・貴族男性は正妻とは別に、一人のみ妾として女性を囲っても良いとする。ただし、基本的に迎え入れるのは正妻が第一子を出産してからとする。
・妾を持った男性は正妻ともし離縁、もしくは正妻が死亡してもその妾との再婚は許されない。
・妾の安全、生活は囲っている本人が保証すること。
・正妻とその関係者は妾と妾本人の意思が無い限り、直接的、間接的に接触しないこと。妾とその関係者も正妻本人の意思が無い限り正妻と、直接的、間接的に接触してはならない。
・正妻の夫は故意に妾と正妻を接触させてはならない。
・基本的に正妻、妾の住居は分けること。
・妾の子供は基本的に家を継げない。
などだ。この、正妻、妾、それぞれを守るための法は今でも廃止される事無く、貴族が抱えていた不満を解消した法として、親しまれている。
◆◆◆◆
どうしてこの話をしたのか、その理由はこの人物に有る。
エレノア・リールと言う伯爵令嬢が居る。彼女は入学する前から社交界で噂になっていた令嬢だ。
なぜなら伯爵の中でも比較的新しいリール伯爵家の当主の妾腹の娘だからだ。
リール伯爵には格上の侯爵家から来た、正妻が居た。彼女は子供が産めない身体であった。
そしてリール伯爵には後の正妻との婚約を持ちかけられた当時、男爵の令嬢の恋人が居た。
二人は困った。リール伯爵は心優しく、婚約を断れず、後の正妻は病弱で子供を産めない。妾は正妻が子供を産まなければ迎え入れられないからだ。
そこで二人は国王に相談した。国王は不憫に思い、特例で正妻が子供を産まなくても妾を迎え入れさせ、妾の第一子を正妻と夫の養子にさせた。その子供がエレノア・リールだ。
王が認めた特例の妾の娘。彼女は社交界に出れる年になるまで一切姿を見せなかった。それが学園に入学し、社交界に出てくるとなれば興味を持つ貴族が出てくるのも当然だろう。
そしてその令嬢にアルフレッドも興味を持ってしまった。
アルフレッドは元々惚れやすく、変にプライドの高い性格である。
そして、リエルは誰から見ても優秀な婚約者だった。それにアルフレッドは劣等感を刺激され、余計に拗れてしまっている。その上アルフレッドはあまり優秀ではなかったのも拍車をかけたのだろう。
そしてエレノアは余り頭が良いとは言えない。頭がお花畑と言うか、正式に正妻の養子になった時、すでに親に甘やかせられまくり、マナーなどをまともに学んでいなかったのだ。
なので正妻が慌てて厳しい教育を受けさせ、本当に必要最低限の知識のみで学園に放り込まれた。学園では奇異の目で見られ、エレノアはどうして自分がそう見られるのか、何故か理解が出来ていなかった。
また、エレノアの容姿はそこそこ良い。美少女と10人中最低6人には『可愛い』と言われるだけの容姿をしている。
その上『自分は愛されるのが当然。』と言ういかにも花が咲き誇るような脳みそで、相手の自分の他人への印象をオブラートに包みすらせずに発言する貴族令嬢に向いていない性格だ。
しかもそれでいて人の表面上しか見ず、噂を信じ込み、人の話をあまり聞かず、思い込みが激しい。頭がお花畑と言われるのも仕方がないだろう。
◆◆◆◆
そんなエレノアとアルフレッドが接触してしまった場合、どういう事が起こるのだろうか。
今回起こった事は想定されるケースで最悪とも言える位のものだった。
アルフレッドとエレノアが恋仲になったのだ。アルフレッドはエレノアの外見とその奔放さに惹かれ、エレノアはアルフレッドの外見と『王子』と言う設定に惹かれた。
それだけならまだ良かったのだ。
だが、事件(?)は起こった。エレノアが生徒の一人に虐められ、アルフレッドがそれをリエルの仕業と決めつけたのだ。
そしてアルフレッドとエレノアが虐めの主犯をリエルだと思い込んでいるという事をアルフレッドの取り巻きが知り、他の貴族にその話をした。それを知ったリエルはそうして立った噂を消すために方々を回ってその噂を揉み消した。
そんなリエルの努力も虚しく、どんどん悪い噂が立ち、それを消すという鼬ごっこが繰り広げられていった。
そして数週間前、揉み消すのに疲れたリエルは元を断とうと決め、アルフレッドとエレノア達に自分の身の潔白を証明しようと直談判に行った。
ちなみにエレノアは15歳です。リエルと同じ年。
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