そのななー
「先生さよーなら!みなさんさよーなら!」
帰りの会(SHR)を終えて、放課後へ。結局、今日は1時間も授業を受けずに終わる。でも、休み時間もなかったからプラスマイナス0だ。
ちなみに俺は全裸ではなく半裸で、ズボンだけ履いていた。かなり不本意だ。下だけなんて邪道だ。でも、仕方ないんだ。
「ちんぽを返して欲しいなら、らぶほてるに行く。ずっぽずっぽする。ついでに掘り掘りもする」
今の俺にははえてない。履いてないなんて生温い。はえてないのだ。つまり、まだ返してもらってない。何を?聞くな!
だから、流石の俺も恥ずかしいのでズボンを履いていた。でも、全裸でいたいから、こんな中途半端な格好に甘んじている。
「今日は寝かさない。覚悟する」
「どっひゃーーー(死語)」
イメージとしては一昔前のリアクション。
息子は返して欲しい。今更、らぶほてるが何する場所かわからないとは言わない。ずっぽずっぽの意味もわかったし。だけど、お尻は痛いから勘弁して欲しい。
「さっきので加減はわかった。今度は気持ち良くしてやる」
神は俺が何を考えてるのか、おみ通しのようだ。
いや、まて、その前に、これは女の子――ましてや、見た目幼稚園児な金髪ツインテールの幼女に一般男子高校生が言われる台詞ですか?
改めて思う。この淫乱幼女神はかなりの大物だ。将来絶対ビックになる!ちなみに肉体的な面でビックになるわけではないので、あしからず。
「甘く見るな。私はまだまだはってんとじょー。今後に期待大」
言葉とは裏腹にどこか自信なさ気な神。
「とりあえず、掘り掘りはもう勘弁して下さい」
仮に、もしも、万が一、億が一、俺が掘り掘りで感じるようになってしまったら……ダメ、絶対!おわる!いろんなことが!
「ダメ。掘り掘りする。容赦はしない。だって私は神だから」
交渉は決裂。仕方ない。こうなったら実力行使だ!
「どうやら、どちらの正義が正しいのか決着を付けるときが来たみたいだな……いいぜ!勝負だ!かかってこいよ!神だからって俺に勝てると思うなよ!」
先手は渡さない!俺は迷わず神に飛び掛かる!
今、音速を越える時(体感速度)。半裸だから普段の1.5倍の速度しか出せないが問題はない。足りない部分は気合いでカバーだ!
この勝負いただく!
「うりゃーーーーーーー」
「あーーーーーーーーー」
不意をついた横からの衝撃に吹き飛ばされ、俺は紙切れの如く空中を舞った。
「永田ぁー。あんた、何やってんのよー」
飛び蹴りを華麗に決めたのはよく見知った人だった。
「あのー、二名さん?一体、何しやがってくれるんですか?」
ボサボサの髪と目元のクマが印象的なちょっと怪しげな女の子。つまり、二名さん。
「今のみっきーに似てなかったかな?」
「超ばっちり。本物かと思った。ナイスキック」
「自分マジみっきーリスペクトしてるんで、これぐらい当然っす」
とくに何がおかしいわけではないけど二人でケラケラケラと笑いあう。
「そういえは、今日ははらみ襲撃してこないな」
「そうですねー。いつもなら朝、昼、放課後と最低3回はくるのにね。めずらすぃ」
基本的に俺が全裸だとはらみはどこからでも沸いてでてくる。きっと、なんだかんだであいつは全裸好きなのだろうな。
まあ、今日に至っては朝から教室にいなかったし、してこないのではなく、来てもいなかったみたいな。
「それで、何か用があるんじゃないのか?」
とりあえずはらみは一旦置いておいて話しを変える。
「うん。実は昨日から、両親が結婚20周年記念でオーストラリアに旅立ってねー。1週間帰ってこないんだ。だからさ、一週間だけ泊めてくれません?」
一週間だけか。
「俺の家でよければ好きなだけいてくれてかまないよ」
「ありがと填くん。いつもいつもすまないねー」
まあ、いつものことだ。
「んじゃ、私は着替えとりに行った後に行きますから。だいたい6時頃でいいかな?」
「ああ、それなら。俺も一緒についてくよ。どうせ暇だから」
この学校には残念ながら全裸部はなかったので、俺は帰宅部に甘んじている。
他に興味がある部活動はなかったし。どれもこれもメジャーな部活ばかりでイマイチだった。
「それじゃー、いこーか」
「おおー」
さっさと帰り支度を済ませて、二名さんと二人並んで教室を出る。
ん?何か忘れてる気が……?
「待て」
呼ばれて、振り向くと、そこには仏頂面で若干機嫌が悪そうな金髪ツインのロリッ娘が一人。
あ、忘れてたのはこれか!
「あ、ごめん。忘れてた」
逆効果な気がしないでもないが、素直に謝る。
「……」
ごめんですんだら掘り掘りはされない。謝っては見たが神の機嫌がすぐに良くなるはずはない。
無言で俺と二名さんをじぃっと睨む。しばしの居心地の悪い雰囲気の後、不意に神が動いた。
「おぉ!?」
神は俺の胸倉を掴むと、ぐいっと自分の元へ引き寄せて――。
「んー……」
――キスされた。唇に触れるフニフニはおそらく神のフニフニ。
それは一瞬のことで、触れるだけの簡単なものだったけど、確かに残る感触。
「おまえは私のものだ」
離れた神が俺に向かって一言。
「こいつは私のものだ」
そして、神は二名さんに向き直って二言目。
「ははー」
対する二名さんはというと、困ったような、なんともいえない、微妙な表情を浮かべていた。