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44.国境を超えて

 国境の関所までは、それほど遠くありません。

 現在、両国は、交易も盛んに行われているので、二国をつなぐ大きな街道があります。

 街道の片方は野生動物が群れをなしているのが見える草原、反対側は鬱蒼とした森があり、鳥の鳴き声が聞こえてきます。


 街道を馬車でえっちらおっちら進んでいくと、関所が見えてきました。

 それは石造りの大きく堅牢な城です。中央に大きな門があり、そこを抜け、しばらく進むとヘルツベルク側の門があります。それをくぐるとヘルツベルク国に入国できます。


 どちらの門にも、屈強な兵士が配置されているので、ものものしく、緊張感が漂っています。既に手続きが済んでいるのか、私たちは特に労することもなく、出入国できました。


 あっという間に、ヘルツベルク国内です。


 ヘルツベルク国について、私はあまり多くを知りませんでした。ですが、お義母様の教育により、そこそこの知識を得られました。


 かの国は、わが国と比べ物にならないくらい土地が広いのです。ところが北側のほとんどが雪と氷で覆われた山ばかりなので、人が住めない場所が多いのです。

 はるか昔、多数の国が一つになった経緯があり、多民族国家。


 門をくぐれば、別世界ということはありません。相変わらず森と草原が続いています。同じような景色で少し飽きてきました。


 馬車の中には、私とモニカしかいません。クラウス様は愛馬のアレックスに乗っていますし、バルも馬で移動です。

 私もティアに乗りたかったのですが、危ないからと、即却下されました。

 王女殿下はもちろん違う馬車です。


 関所を抜け、最初の街についたのは、日も暮れた頃でした。

 その日は、この辺りを統治する領主様の屋敷に招かれました。

 王女殿下もいらっしゃるので、安易な場所で宿泊はできないのです。


 ヘルツベルク国の食事は、寒い土地が多い影響なのか、温かい具沢山スープが多いです。味付けも濃いめ、デザートもかなり甘く、はちみつがたっぷりかかったクレープのようなものでした。味はとてもおいしかったです。


 その日の夜、クラウス様とは別の部屋に泊まってた私のところに、王女殿下の侍女がやってきました。


「殿下がレティシア様にお話があるそうです。ご同行、お願いできますか?」


 今まで関わることがなかったのに、突然のことに驚きました。位の高い王女殿下の呼び出しを何の理由もなく断るなどできません。私は、連行されるまま、侍女の後について行きます。


 侍女に案内されて、王女殿下の部屋に到着すると、彼女は艶やかな笑みを浮かべて言いました。


「あなたと話してみたかったの。座って」

「……はい」


 小さなイタズラして、いつ親にバレて怒られるのか不安になっている子供のような気持ちになりながら、王女殿下の向かい側のソファーに腰掛けました。

 モニカが後ろに控えてくれているので、心強いですが、いったい何を言われるのか心配でたまりません。



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