4.辺境伯夫妻
朝食をとるために、食堂へ行きましょう。モニカが案内してくれました。食堂広いですね、30人くらい食事ができるテーブルが真ん中にでんっと置いてあります。
そして、辺境伯夫妻が待ち構えていました。
なにを言われるんだろう?
「おはよう、レティシアちゃん」
おっと、フレンドリーな辺境伯です。いえ、お義父様です。
ルドルフ・ドワイアン辺境伯。クラウス様と同じ赤い髪に黒い瞳を持つ渋いオジサマです。
ニコニコしているので、身体つきはゴツイですが、怖くありません。
「よく眠れたかしら、レティシアちゃん?」
お義父様の隣に座っているのが、辺境伯夫人。お義母様ですね。
シルビア・ドワイアン辺境伯夫人。美しい黄金色の髪を纏めており、海のような爽やかな青い瞳をもっています。
すごく美人なんです。
女神かな?
クラウス様の美貌はこの二人から受け継がれたというわけですね!
「おはようございます。お義父様、お義母様。起きるのが遅くなって申し訳ございません」
淑女の礼をしますよ。ちゃんと練習してきましたから、大丈夫なはずです。
「ふふ、いいのよ。さあ、座って、ご飯を食べましょう」
「はい! 」
おっと、朝からお肉ですか? 机の上には、たくさん料理が並んでいますよ。お肉料理が三皿、魚料理が三皿ありますね。パンと果物も盛りだくさんです。いやいや、全て胃に収納しろとか無理です。
実家は、パンとサラダとスープくらいでしたよ。農村地帯だから、野菜はすごく美味しいんですよ。
ですが、おかしいですこの量は。
「さあ、たんと召し上がれ」
眩しい笑顔でお義母様に言われると、断れませんよね。
新手の拷問ですか?
味はとっても美味しいです。スパイスが効いていて、それぞれ味が違うので楽しんで食べられます。量さえ気を付けてくれれば。
あ、お義母様、ちょっとずつしか食べてない!?
そうか、全部食べる必要はないのですね。
お義父様はモリモリ食べてます。彼は完食を目指しているようです。
私は、諦めます。
「全く、クラウスも結婚式の翌日くらい妻と朝食をとればいいのに!」
お母様はおかんむりのようです。頬を膨らませて可愛らしいです。天使かな?
「まあまあ、クラウスも色々と忙しいんだよ。レティシアちゃんも気にしないようにね」
「はい。気にしてません」
あ、つい本音が。
お二人とも目を丸くしてます。いいわけをせねば!
「クラウス様がお忙しいのはわかっております。軍人さんがしっかりと仕事をしてくれているからこそ、私たちは安心して暮らせているのです。感謝しかありません」
「そうかそうか。ありがとう」
よーっし、完璧な返答だったみたいです。お義父様は嬉しそうにしていますね。よかったよかった。
お義父様も軍人さんですからね、ここは媚を売っておきましょう。
義両親との関係は重要です。仲良くしてないと、虐められたら嫌ですからね。