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3.お着替えしましょう

 次の日、目が覚めるとベッドの上には私一人でした。

 うーん、ふかふかで気持ちがいいですね。


 それにしても、クラウス様……もっとうまい人かと思っていました。

  平民の女性と遊びまくって王女様から婚約を破棄されたくらいですから、経験豊富だから大丈夫だろうと……

 なんというか、下手?


 私も初めてなので他の人と比べることはできませんが、手つきがぎこちないんですよね。

 触ってくるのも躊躇(ちゅうちょ)と戸惑いが見えるというか。


 あれで遊び人っておかしくないですかね?

 相手が遊び人なら夜も楽かなと思ってたんですが、すごく痛かったです。

 涙が出ました。

 泣いてもやめてくれないので、ひどい男だと思います。


「おはようございます。レティシア様」


 ベッドの上でゴロゴロしていると、侍女がやってきました。

 彼女は昨日挨拶をしてもらったので、名前もバッチリ覚えてます。えーっと……


「おはよう、モニカ」


 そう名前はモニカです。綺麗な長い黒髪をお下げにしているそばかすが可愛らしい女性です。多分私より年上……20歳くらいかな? ちなみに私は社交界デビューしたての16歳です。お肌ピチピチです。


「着替えをお手伝いいたしますね」

「ありがとう」


 いつも思いますが、コルセットって辛いですよね。ギューっと胃を押されて、中のものが出てきそうです。出ないけど。

 胸元にリボンがついた水色のドレスに着替えました。


 いくつか自分の衣装をこちらに送ったのですが、それとは違うようです。新品だーと喜んでいるとモニカが教えてくれました。


「奥様がレティシア様のためにご準備されたものですよ」


 奥様といえば、クラウス様のお母様ですね。あとでお礼を言わなければ。


「さあ、髪を整えて化粧もしましょう」


 モニカが丁寧に髪をといてくれました。とても素晴らしい手つきです。眠くなります。


「レティシア様の髪は本当にお美しいですね」


 褒められた! そうでしょうそうでしょう。髪は結構自慢なんです。

 色はありがちな茶色なんですけどね。真っ直ぐで癖がなくサラサラなんです。長さは背中くらいまであるので、どんな髪型でも自由自在。

 でも下ろしているのが一番好き。くくると頭が痛くなるんですよね。


「目もパッチリとしていて、まるで夏の草原にいるような気分になる瞳です」


 ん?ちょっと意味がわかりません。ああ! でも私の瞳は緑色なので、それでかな?

 さっきからすごい褒めてくれてる……んですよね?

 え、違う?


 容姿はそこまで悪くないと思うんですよ。でも田舎限定です。

 王都には、それはもう美しい女性たちがたくさんいますから。

 王都に行ったのは、社交界デビューの一回きりです。

 感想?

 いやあー、遠かった。馬車に長時間ってつらいんですよ。もうクタクタになって、社交界デビューもおざなりでした。

 田舎の男爵令嬢なんて、見向きもされませんね。


 まあ、気分が悪くてずっとしかめっ面している男爵令嬢に近づく人はいませんよねぇ。ははっ!

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