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23.信頼関係

「……は?」


 ヤーナさんは瞬きを何度もしています。驚かせてしまいましたかね。


「あるに越したことはないですよ。

 でも、愛し合う2人が結婚したとしても、うまくいくとは限りませんよね?」

「それは……」


 ルルナちゃんに、運命の王子様のことを話した私がこんなことを言うのもなんですが。


「私とクラウス様の間に恋愛感情はありませんが、関係が悪いわけでもありません。

 信頼関係があれば、家族として成立するのではないでしょうか」


 ヤーナさんが妾になるという選択肢もなくはないですが……クラウス様がそんな器用な真似のできる人だと思えないんですよね。妻を迎えた彼は、もし心惹かれる人ができたとしても、関わりを持つことはないでしょう。


 ふむ。私、結構クラウス様を信頼しているみたいですね。


 ヤーナさんは、口をパクパクと開けたり閉じたりしています。

 結局なにも言わず、頭を下げた後、逃げるように孤児院の中に入って行きました。

 傷つけてしまったでしょうか?


 ルルナちゃんが、魔物に襲われていたところをお義父様とクラウス様に助けられたと言ってましたね。

 彼女は幼い頃に、目の前で、魔物に両親を殺されたということです。とても辛くて悔しく、恐ろしかったでしょう。


 それを助けてくれたクラウス様は、彼女にとって英雄。

 お義父様を忘れてませんか……?

 それはともかく、相手が王女様なら諦められた恋心も、相手が男爵令嬢では諦めがつかないということですか。

 安易な考えではありますが。


 妾になりたいと本気で思っているわけではないでしょう。

 自分でも無茶なことを言っていると理解していると思いますが、なんだか切ないですね。


「レティシア様、これからどうなさいますか?」


 考えごとをしていると、モニカに質問されます。


「これから?」

「はい。前回もそうでしたが、あのように、無礼な態度をとる女をこのまま放っておくわけにはいきません。

 きっちりと制裁を……」

「しませんよ」


 え?なんでそんなに目を見開いて、驚愕しているんですか。

 発言が怖いですよ。


「人は、どうにもならない気持ちをぶつけたくなる時もありますしね。そもそも怒っていません」

「レティシア様は、優し過ぎます」

「優しくはないです。言い返したし……」


 結局、私にはどうにもできないんですよね。断れない結婚でしたし、もう妻ですから。

 ヤーナさんのクラウス様への気持ちは、自分でなんとかしてもらうほかありません。

 冷たいようですか、今回気持ちをぶつけたことで、少しは気持ちの整理ができるといいのですが。


「帰りましょうか。明日、ラウラちゃんの様子を見に来ましょう」

「はい」


 私にできるのは、ラウラちゃんを無事にルルナちゃんの元に帰れるよう気をつけてあげることくらいです。

 大人の事情は、子供と猫ちゃんには関係ないですからね。

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