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1.男爵令嬢の受難

 結婚することになりました。

 わー、パチパチパチ!

 祝福のお言葉、ありがとうございます。


 お相手はなんと、辺境伯の嫡男であらせられるクラウス・ドワイアン様。御歳21歳。国境警備を担当する軍に所属されています。

 燃えるような赤い髪に夜色の瞳、背が高く軍に所属しているだけあってがっしりとした体格。端正な顔立ちは見る者を魅了すると言われています。


 いやー、そんな方と私、男爵令嬢のレティシア・コウトナーがなぜ身分違いの結婚をしなければならないのか。

 不思議ですよね?


 クラウス様、実は元々わが国の第三王女の婚約者でありました。ところが、この方……辺境に住んでいるため、王都から目が届かないのをいいことに、平民の女性と浮気しまくりだったのです。

 あまりの素行の悪さから、第三王女から婚約を破棄されました。

 まあ、いくら辺境伯令息だからといって、そんな醜聞がたてば、結婚相手なんて見つからないですよね。

 娘思いの親御さんなんかに忌避(きひ)される物件です。


 そこで目をつけられたのが、しがない男爵令嬢であったというわけです。

 コウトナー男爵領は、はっきり言えば田舎です。気候だけはいいので、のんびりと農作物を育てながら穏やかな生活を送っている普通より庶民派な貴族です。

 本当うち貴族かなってくらい普通です。


 そんなわが家に辺境伯から結婚の打診が来た時は、まあ大騒ぎ! 両親やきょうだい達はものすごく心配してたし、私も嫌だなーと思ったけど、上位貴族からの結婚の打診を断れるわけがない。


 そんなわけで、私とクラウス様の結婚が決まったわけです。

 あ、でもうちに全く利益がないわけじゃありませんよ。持参金もいらないし、結婚式費用も全部向こうが負担してくれる。それに男爵領の農作物を定期的に納品できることになったので、わが領も潤うわけです。


 素行が悪かろうが、外で愛人作りまくろうが、気にしなければ大丈夫! 大丈夫!

 そもそも貴族なんて政略結婚が当たり前、愛のない結婚上等です。


 愛人を作られたら、愛人を作り返せばいいじゃない。はははっ!

 というわけで、私は晴れて今日からレティシア・コウトナー改めレティシア・ドワイアンになりました!


 結婚式はそれはもう盛大に行われましたよ。

 ドワイアン辺境伯領の一番大きな教会で、二人は愛を誓ったわけです。嘘の誓いですね、普通に天罰くだります。


 誓いのキス? ないない。そもそもクラウス様ってば、ずーっと眉間にしわを寄せっぱなしでしたからね。とっても不機嫌。

 幸せいっぱいの新郎の顔じゃあ、ありませんよ。気をつけてください。

 その横で呑気(のんき)に微笑んでいる私が間抜けに見えるじゃないですか。ひどいやつですねー。


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