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wO-LVes ~オオカミのいる日本~  作者: 海野遊路
第十章 『生物と無生物のあいだ』
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2. 〝告発のとき〟

「告発のとき」(ポール・ハギス監督 2007年のアメリカ映画)から

「しーんや」

 右手を見つめる深夜に萌が抱き着いた。

「萌ちゃん」

 スマートフォンの画面を見ていた深夜が振り返る。萌の笑顔が夕日に映える。

「どうしたの、こんなところに呼び出して? コク?コクっちゃう?」

「もう、萌ちゃん」

 電話をしまいながら、深夜もつられて笑う。

「萌ちゃんこそ、『相談したいこと』って、何?」

「え、あ、何だっけかな?ハハ、ハハハ」

 萌が視線をそらして笑う。深夜もクスクスと笑って答える。

「ありがとう、萌ちゃん」

「深夜」

 萌が今度は深夜を真顔で見て、親指で自分を指さす。

「惚れんなよ?」

「今更?ずっと大好きだよ」

「ちょ、何真顔で見つめて?照れるじゃん」

 ひきつった笑顔の萌に、深夜が言う。

「昨日はごめんね」

「え?」

「ううん、昨日だけじゃない。私、いつも萌ちゃんに甘えて」

「そ、そんなことないよ!」

 萌が慌てて手を振る。

「微笑があんなこと言いやがるから。思い出したらまたムカついてきた」

「エミちゃんに怒らないで」

「てか、元をたどればキモオタが悪いんじゃない? あいつがエリア担当替えとか余計なこと言うから」

「それはいくら何でも、砧さんにとばっちりじゃ」

「いいって! たいていの悪いことはキモオタのせいにしとけば片付くし! どうせあいつは元から最低なんだから、多少付け足したってオッケー!」

「ひどい。また伝さんに怒られるよ?」

 深夜がくすくすと笑った。萌もつられて笑う。

「ほんと私、野宮きょうだいがいないと生きていけないかも」

「そ、それはいい傾向かも」

「え?」

「な、何でもない。そ、それより、マジでコクなの?」

「そうだね。萌ちゃんに告白しなきゃいけないけど」

 深夜が真顔になり、腕時計を見せた。

「ついさっき、田村警部に電話したところ。『大事なお話があるので、ぜひお会いしたいです』って」

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